『PUI PUI モルカー』の面白さをじっくり考えてみる。

2021年になるや否や彗星の如く現れ世間を賑わせている『PUI PUI モルカー』。多くの人がそうであるように私も今、このストップモーション・アニメーションの虜になっている。
TwitterのTLで突然よく見かけるようになったことと、YouTubeの急上昇動画で常連になっていたことを機にとりあえず見てしまったが最後、毎日何度も動画を見てしまうほど、どハマりしてしまう結果に。何だこの中毒性は...!

初めて見たのは第2話の「銀行強盗をつかまえろ!」(現在YouTubeでは公開期間を過ぎたため非公開になっている)。これが衝撃的な面白さだった。続いて第1話がBANDAI  CHANNELで見られるので早速見てみた。(https://www.b-ch.com/titles/7173/001)やっぱり面白くて気づいたらにやけている自分がいる。

何がこんなに面白いのか、先週放送された第3話をベースに分析してみようというのが今回の記事です。好きなポイントを挙げ始めたらキリがないのだけど、個人的に思う『PUI  PUIモルカー』の良さを6つ挙げてみたいと思います。

第3話「ネコ救出大作戦」から紐解く「PUI  PUIモルカー」の良さポイント6つ

①愛らしい羊毛フェルトの容姿に加え、声優が本物のモルモットという最強の主人公

全編通して言えることだが、まずは言わずもがなモルカーの見た目の可愛さ。羊毛フェルトの丸みを帯びた誰にも愛されるフォルムに、意外と表情豊かなところが最大の魅力。第2話で銀行強盗に拳銃を突きつけられた時のシロモの表情は何とも不憫可愛かったです。ムンクの叫びにも似た間抜けな顔になり、この表情は本編でたびたび見られるのでついつい期待してしまうほど。タイヤであろう足は針金が通っており自由に動かせるそうで、本編でピコピコ歩いている姿がたまらない。

そしてモルカーの声は見里監督のペットのモルモットの声らしく、このほかにはない声と音の響きが思いのほか多彩で非常に癖になる。第3話ではアビーが車内の様子を確認するために一度目を閉じて車内から目が現れた時、言葉に出来ない独特な音を出していました。機械のような、でも生身の生き物の鳴き声。未知との遭遇なのになぜか親しみがある。アニメーションの中でモルモットの鳴き声が非常に良い味になっていると思う。

②素直で誠実なモルカーたちの性格

まだ4話までしか放送されていないが、モルカーたちはとても素直で優しい生き物だと思われる。第1話では、主人公であるポテトが渋滞に巻き込まれその後やって来る救急車をどうにか病院へ送り出そうと奮闘する。第2話では銀行強盗に乗っ取られたシロモが、助けに来た警察官たちに対して安堵するのではなく犯罪者に加担してしまった罪悪感から泣いてしまうシーンがある。第3話ではアビーが車内に自分の苦手なネコがいることに気づくが、自分が日差しを浴び続けると自分だけでなくネコに負荷がかかることを理解し、何とかネコを助け出そうとする話になっている。モルカーはいつも素直で、誠実な性格に思える。

個人的には第3話でアビーが自分の体温を下げようと駐車場の日除けの中に入るとき、あんなに切羽詰まった状態なのに律儀にバック駐車する姿にときめきました。そして、目をつぶり頭を低くして何とか自分の体温を下げようとしても一向に状況は変わらず苦しくて堪らないアビーの表情にはこちらも胸が痛みました…。あの時かいていた汗は暑さのものというより、「猫を助けられなかったらどうしよう」という冷や汗にさえ見えてくる。屋根の影もあいまって顔色が悪く、どんどん追い詰められているように見えて、羊毛フェルトではなくひとつの生き物として優しさゆえの苦しさを痛切に感じた。
素直で誠実なモルカーたちの頑張りに毎回感銘を受け、癒されているのかもしれない。

③回を重ねるごとに見えてくるモルカーたちの個性

毎回色々な模様のモルカーが登場し大変賑やかなモルカーの世界。今のところ第1話で活躍したポテト、第2話で頑張ったシロモは第3話でも登場している。3話続けて出演しているモルカーは他にもいて、回を重ねるごとにモルカーにはそれぞれ個性があることが見えてくる。公式のHPにはそれぞれモルカーたちのが紹介文があり、これもとても興味深く読んでいてにやけてしまう。(https://molcar-anime.com/)

第2話の主人公シロモは結構な臆病者ですぐ驚いて涙を溢してしまう性格なのだが、自分と少し似ている気がして個人的に気になる存在だ。他にも気になるモルカーはいて、それらが次の話ではどんな表情や一面を見せてくれるんだろう?と毎回ワクワクしている自分がいる。未知の生物だからこそもっと見たい、意外な一面を知りたいという気持ちが止まらない。これは間違いなくモルカーの魅力の1つだ。回を追うごとにモルカーに関する知識と記憶と愛しい気持ちが増え、夢中になる一方である。

第3話でモルカーそれぞれの個性が垣間見えたように思ったのは、駐車場で突然泣き出したアビーを心配して駆け寄ったモルカーたちがアビーの車内を覗き込んだところ天敵であるネコが現れ、どよめくシーン。モルカーたちはとても驚き慌てふためくのだが、その様子が十人十色で面白い。必死にとことこ歩いて逃げるモルカーも入れば、1秒でも早くその場から離れようとジャンプして移動するモルカーもいたり、第2話の主人公だったシロモは逃げる途中に他のモルカーとぶつかりそのまま右側へフェイドアウトしたかと思えばまた画面内に戻ってきて次は左側へと転がっていく。その結果、逃げ遅れてしまい陽の当たる不遇な場所に落ち着く。こんな風にして、性格までしっかりと色づいている個性豊かなモルカーたちから目を離せるわけがない。

④ストップモーション・アニメーションの魅力

詳しいわけではないのですが、全体を通してこれだけ「いい味」が出ているのはストップモーション・アニメーションだからというのは間違い無いだろう。アニメの中でのモルカーたちがただじっとしていることはほとんどなく、常に呼吸をするかのように体が波打っている。生命が確かにあるように錯覚してしまう素敵なモーションだ。第3話ではアビーの車内を覗く時、チョコの鼻がひくひく動いているのが小動物っぽくて印象に残る。

また、第3話で特に面白かったのは物語の序盤での出来事。アビーが自分の車内でネコが大きな鳴き声を上げたのを聞いてパニックを起こすシーンだ。再生速度を落として見てみると、実はこの時、3種類の回転をしていることに気づいた。まず、ジャンプ台からプールへ飛び込むかのように一度大きく飛び上がり、ゴロンゴロン車体を転がしたかと思うと次は大きな円を描くようにアスファルトの上を転がりながら移動し、最後は起き上がってフィギュアスケーターの如くスピンをする。この映像の面白さはストップモーション・アニメーションの醍醐味の1つだなあと思う。

また、全編通してだがモルカーは車内を映すとき、乗車している者は皆実写化されるという法則がある。この演出が羊毛フェルトで出来たモルカーの柔らかさとはちぐはぐというか、ある意味不気味さを感じさせて、いいスパイスになっていると思う。第3話では人間の実写化はなかったけれど、第2話の銀行強盗の実写化はちょっとゾワっとした。あとは、街の1つ1つに小さな動きや小物や何やらがあって発見した時はとても嬉しい気持ちになる。第3話では駐車場にある別の店の看板だったり、ファミレスの店内での人間の動きとか見ていると楽しい発見があって繰り返し見てしまう。

⑤謎がいっぱいモルカーの生態

突っ込みどころ満載のモルカーの生態。どうやらタイヤは足で、サイドミラーは耳らしい。運転手の指示に関係なく自分の意思で自由に動いてしまうことが出来るモルカー、冷静に考えたら結構怖いかも。あと、第2話でシロモはレタスを食べ、パトモルカーは人参を食べていた。そこはモルモットと同じと捉えて良いのだろうか?車の形をしたモルモット、モルモットの形をした車、どちらが近いのかさっぱり分からぬ可愛い生き物。

第3話ではモルカーが目を閉じて集中すると車内を覗き込むことが出来るという衝撃的事実が分かった。車内からモルカーの目が出現するという物理的な構造。先述の通り、目が出現する時の声が本当に可愛いのです。

第4話では公衆トイレにモルカー用のスペースがあることが分かり、これまた面白いラストシーンへと発展しました。モルカーとその世界の実態はまだまだ面白いことがあるはず。謎が謎を呼ぶモルカーの生態に今後も大注目!

⑥先が読めない急展開ストーリー

今のところ第4話まで視聴してきましたが、毎回予想を裏切る展開で面白い。第3話で、モルカーたちがファミレスに続々入店するシーンにはゾクゾクしました。あの場面はBGMの変化もあいまって面白かったなと思う。モルカーたちが駐車場からファミレスへ突進する際にはチャカポコチャカポコと可愛い音楽が流れていたのだが、ファミレスに入店した瞬間、電子音が入りどこか良からぬことがこれから行われるのだという予感を演出していました。モルカーたちがドリンクバーに突っ込んだかと思うと、「何が起こったのか?」と一回では理解しがたい超展開が繰り広げられ呆気にとられた。これはもう子ども向けっぽい何でもありな感じがして好きでした。たまにはこういうぶっ飛んだ展開嫌いじゃ無い。むしろ好きだ。最終話まで常に予想を裏切られ続けたいです。

最後に:モルカーを手元に置きたいです(グッズ化希望!)

そんなこんなで目が離せないPUI PUI モルカー。今のところグッズがほぼ皆無ということなので今後のグッズ展開に期待したい。個人的にはやっぱり本物そっくりな羊毛フェルトのマスコットが欲しいなあ。お家に並べたい。あと、LINEスタンプやマグカップ、Tシャツなど普段づかい出来るものがあれば欲しい。コロナ禍が落ち着いたら第3話に出てきたモルカーパフェを筆頭にコラボカフェもやって欲しいところ。

毎週火曜日が本当に楽しみです。特に限定公開でちら見せされた、雪の日にモルカーがちゅるちゅる滑りながら必死に走っている回を見るまでは死ねません。つまらない会社員の生活に楽しみをくれてありがとう、モルカー。もっと魅力がたくさんの人に伝わりますように。


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