スマホマルチで学生が失うもの
「こんなこと話せるのお前しかいなくてさ、、ほら、急にこんな連絡が来たらビビられるじゃん。だから練習だけでも付き合って欲しくて。全然契約とかいらないからさ!」
大学1年の夏、1年ぶりに連絡する友人KからLINEが来た。
確かに、部活ではお互い部活や監督に不満を持っていた二人組で、お互い励ましながら頑張っていたやつだ。友人関係が一気に変わる大学生活、信頼をここまで寄せてくれる友人はそういない。悪い気もしなかった。
Kのインスタは常にキラキラしていて、友達も多い。フォローもフォロワーも何百人もいる中で、自分を信頼のおける相手として認識されていたことに自分も少し嬉しかった。
Kは就活に向けて大学入学段階から結構頑張っているらしい。だから今は大手スマホ会社の下請け会社で営業しているらしい。
「今度、M(たまに3人で会う)も連れて一緒に来てくれよ。俺たち友達だから安くできるぜ!」Kは意気揚々と話したあと、じゃあなと言って電話を切った。
当日、Mを連れてKのいる雑居ビルに入っていった。
「なんでこんな雑居ビルにあるんだって思った?」Kはちょっと嬉しそうに聞いて、続けて話してきた。
「実はさ、看板がないことがミソなんだよ。大通りにあるような看板の広告費って異様に高くて、それが無い分、お前らに安く還元できる仕組みってわけ」
大体の言い分はこんな感じだったとおもう。自分はたまたま親が契約の全てを管理していたため、スルーしてただの「練習相手」として聞いていたが、Mが思いの外話に乗ってしまっていた。
そして気づけばその場で契約していたのである。そして、最終的には
「俺ら3人で写真撮ろうぜ」とKは言い、その写真をある文章と共にSNSに載せてくれとせがむのであった。
「もし、スマホを買い換えたかったら、この人に連絡してみて。めっちゃ良いやつやし、安くで買い替えることもできる!」
渋々載せることになったが、あれは自分の黒歴史だ。後日談だったが、Mは総合的に見て、全く安くなってなかった時自分に報告してきた。
契約したのがスマホだったから良いものの、さらに悪質なマルチや、カルト的宗教だったら…
失ったものは今回お金だけだったからまだよかったな、M。自分はそう思っていた。
それから約1年後、そこまで仲良くはない知り合いから電話がかかってきた。
「もしもし?久しぶり!実は頼みたいことがあって、営業の練習に付き合ってほしいんだよな。でも、こんなこと相談できるのお前しかいなくて…」
…なんだよ、テンプレかよ。
これが誘い文句であることに気づいたと同時に、一年前に言われたことが、やはり本音ではなかったことに気づいた。
でもやはり、1番むかついたことが、友人と思っていた相手にとっての自分が「絶縁されてもギリダメージを受けない相手」として認識されていることだった。
失ったものはお金だけではなく、友達もだった。
〜おまけ〜
今回の被害者は我々というふうに今回の記事を書いたが、もう1人被害者がいる。Kだ。
今回のいわゆる「友情商法」では「大手キャリアのインターンだから就活に有利、成長もできる」という誘い文句で「完全歩合制」で働かせる。つまり、やりがい搾取で低賃金で働かせる。
学生の貴重な少ない時間。こんな形で時間もお金も友達も失うようなマネをしないように皆さんも気をつけてくださいね。
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