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#12 ALS患者になるまで③

大学病院での検査入院初日。
主治医が女医さんに変わっていた。
あの外来医師だったら…と不安で仕方なかったから、まずは一安心。
主治医から、検査入院は5日間と聞いた。

採血、検尿、心電図、レントゲン、CT、MRIと、一般的な検査が終わったところで、主治医から針筋電図検査の説明があった。

筋肉に針を刺して電流を流し、筋肉の異常があるかどうかの検査だと。
聞いただけでも鳥肌もの。
何日もに分けて、足や腕など、刺された回数は数十ヶ所。
痛みを伴う検査で、これが一番辛い…と、この時は思っていた。

最初、5日間の予定だった入院は、追加追加で日数が伸びていく。
それだけでも不安だったが、
入院から2週間目、病室に主治医が来てこう言われた。

「あなたのお病気は難病です。近い将来、寝たきりになり介護が必要になります」

「筋肉が異常なのか、神経が異常なのかがわからないので、あなたの筋肉をください。東京の専門機関に検査してもらいます」

…言葉を失った。難病宣告だ。
気づけば涙があふれていた。
それをグッと堪え、主治医に一礼して1人になると、堰を切ったよう涙が出て止まらない。
主人や娘の顔が浮ぶ。

4人部屋の、カーテンを閉めきったベッドの上。
泣き声が聞かれないようにタオルで顔を覆って。
白い無機質な天井を見上げながら、この先に訪れる動けなくなる自分を想像してはかき消してかき消して…

この難病宣告後待っていたのが、「筋生検」という検査だった。
難病宣告で頭が真っ白で、この検査の説明が全く記憶がない。

この検査で、私はあることを決意するきっかけとなった。


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