小林かびる

ショートショート,短編小説などを執筆中。できるだけ皆さんの発想を裏切れるものを書いてい…

小林かびる

ショートショート,短編小説などを執筆中。できるだけ皆さんの発想を裏切れるものを書いていきます。 気になったら「スキ」や「コメント」いただければ、ありがたいです。■mail:chokubokuakutagawa@gmail.com ■twitter@chokubokuaku

マガジン

  • 短編集 ゴウ - 上野 -

    第21編から第25編の全5編を収録した短編集の一集です。

  • 短編集 ヨン - 御徒町 -

    第16編から第20編の全5編を収録した短編集の一集です。

  • 短編集 サン - 秋葉原 -

    第11編から第15編の全5編を収録した短編集の一集です。

  • 短編集 ニイ - 神田 -

    第6編から第10編の全5編を収録した短編集の一集です。

  • 短編集 ロク - 鶯谷 -

    第26編から第30編の全5編を収録した短編集の一集です。

最近の記事

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        定数と変数

        • 決まった終着駅へ向かって、 敷かれた線路をただ進む人生か。 道も、あてもない、 恐ろしい程に自由な人生か。 どちらを歩むにしろ、 そこから最初の一歩を踏み出さなければ、 何も変わりはしない。 ジャン・P・クー

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        • 決まった終着駅へ向かって、 敷かれた線路をただ進む人生か。 道も、あてもない、 恐ろしい程に自由な人生か。 どちらを歩むにしろ、 そこから最初の一歩を踏み出さなければ、 何も変わりはしない。 ジャン・P・クー

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        • 短編集 ゴウ - 上野 -
          0本
          ¥300
        • 短編集 ヨン - 御徒町 -
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        • 短編集 ニイ - 神田 -
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        • 短編集 ロク - 鶯谷 -
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        • 短編集 ナナ - 日暮里 -
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        記事

          “年中ムキュっ!”

          “年中ムキュっ!”

          落ち着け、落ち着くんだ。

          “コロッケ”の本名は、 “滝川広志(たきがわひろし)” と、 ブツブツつぶやいていると、 話しかけられにくい。

          落ち着け、落ち着くんだ。

          まずは、“ひのきのぼう”から。

          まずは、“ひのきのぼう”から。 素手よりは、マシ。 そんな攻撃力の“ひのきのぼう”。 こんぼう どうのつるぎ などよりは、小さな数を沢山叩かなくてはいけない。 ただ、はがねのつるぎを得る為の お金を貯めるため、素手のみで 数を叩くよりは、総合的に考えると、 有意義なことだと思う。 大きな山は、すぐには登れない。 少しずつ登れば、より高いところにいけるだろう。

          まずは、“ひのきのぼう”から。

          第53編 殻と卵の中

           博士は、物質転送機の開発に彼の持ちうる全てを注ぎ入れていた。 夢の技術、物質転送機の完成。それは、天才科学者と謳われた博士の長年の夢であり、博士の人生そのものだった。  あれはいつだったか、まだ博士がほんの子供だった頃、母親に連れられ新宿は繁華街の端にあるうらびれた映画館、人間の博士自らが開発した、その物質転送機に自らが入り転送を行い成功したと思われたが、実際には転送機に一匹の蝿がまぎれ込んでおり、細胞の再構築にあたって、遺伝子レベルで人間の博士と蝿が融合してしまい、博士

          第53編 殻と卵の中

          第52編 瞳孔

          時計の針が進む。  もうすぐ私はとある組織とそこに所属するあの女によって拘束される。 それを免れることはできないだろう。その前に、この記録をもってとある驚くべき事実を世の中に公表しなくてはならない。しかし、その頃には、当然私の存在は・・・。 ***  都市部に住んでいる私は、よく電車を利用する。車を使うこともあるのだが、電車は突発的な事故で止まることはまぁあっても、渋滞することがないので、その点、車よりは移動にかかる時間を先読みして行動することができるのでとても便利だ。

          第52編 瞳孔

          第51編 不思議な部屋

           ある不思議な部屋のことを話そうか。  その部屋の中には何も無い。あるのは、扉が一つと、部屋の中心に備え付けられた丸いテーブルが一つあるだけだ。その他、家具らしきもの、例えば、本棚や食器棚、椅子や花瓶すらも、その部屋の中においては目にすることはできない。  部屋には、先に話した通り、扉が一つあるが、はたしてドアと呼んでもよいのであろうか。扉の内側には、取手やドアノブらしきものは取り付けられてはいない。おそらく部屋の内側からは開けることが不可能な、それをドアと呼ぶことに必要

          第51編 不思議な部屋

          第50編 蛸日和

           今年の夏も、例年通りに暑い日が休みなく続いた。御天道様も少しはお休みになったらいいものを、根が生真面目だからしょうがない。毎日決まった時間に東の空から昇ってきて、決まった時間に西の空に沈んでゆく。これが逆さまだったなら、この夏も少しは静かだったのかもしれません。 「ちょっと一郎、あんた、また髪が伸びてきたんじゃないの?」 「なんだよ。髪ぐらい誰だって伸びるもんだろう」 「あんたの伸び方はちょっとおかしいんだよ。つい一週間前に切ったばかりなのに、もう切る前の長さに戻って

          第50編 蛸日和

          第49編 三分間

          携帯のデジタル表示は、今、PM23:57を示している。  都会の一室。暗い部屋にテレビの明かりだけが灯っているが、この部屋の中に男が一人いることは、誰も知らない。関心がないわけでもないのだが、誰も知るべきすべがない。男はいままでに様々な失敗を犯してきた。その失敗は、今日、いや、あと三分後にようやく成功へと導かれるのである。 「戦後最大のあの事件が、明日の深夜零時をもって、時効となります。今も悲惨なあの光景が思い出される方もいるでしょう。深夜零時、時計の針がちょうど重なる時

          第49編 三分間

          第48編 甘い誘惑

          あたりに静寂がこだまする。 まだ、陽も昇り切らない薄暗がりの中、 部屋の電気がポツリと息を吹き返す。  部屋から少し離れた道路、大きくもなく、小さくもなく。ただ一直線に、 その上を車はそれぞれの目的地に向かって、進んでは、戻ることを繰り返している。部屋の中には、繰り返される車の行き交う音、耳に届くか届かないかのその小さな音だけが、遠くで聞こえるさざ波のように波打っている。  まだ温もりの残るベッド、男は体をねじるように、そして全身が硬直するのを防ぐように立ち上がり、その寝

          第48編 甘い誘惑

          第47編 猫の手も借りたい

          「いいですか。今日はなぜ猫がニャーと鳴くかについて、皆さんの意見をお聞きしたいと集まっていただいたわけです」 「しかしですな。それはなぜ地球に水があるのかと問われているようなものなので、答えにくい質問になりゃしませんか?」 「実際、猫は、ニャーと意識して発しているわけですか?人間がそう聞こえるから、そういうことにしておこうなんてことで、今の今までニャーということが定説となり世間に浸透してしまっているのではないのですか?これは、いたって人間の怠慢から生まれた猫に対するある意

          第47編 猫の手も借りたい

          第46編 君を待って

          君を待つ喫茶店。 先日の冷えた風が君の頬を染めたとき、夏はもう終わりを告げていた。 向かいの席では、紺色のスーツにネクタイを緩めた少し年を感じるサラリーマンが新聞を大きく広げ、コクリコクリと首を傾げている。 新聞の一面には季節を越えた台風が接近していることを告げている。 またその荒々しい渦巻いた混沌をここにもたらすのだろうか。 喫茶店の中、煙草のヤニで茶色く汚れた壁にかかった丸い針時計は、ゆっくりと午後の三時を告げる。 会う約束は、もう30分も前に過ぎていた。 僕の

          第46編 君を待って

          第45編 水と羊

          蛇口から、水がポタリポタリと落ちてくる。 まるで、何か話をしているように。 湯船には、ひと一人分の血が溜まり、その中を大量の肉片が漂っていた。 ***  若い二人の時間は、結婚してから三年が経過している。  お互いに惹かれあって一緒になったのだから、二人の間にはわだかまりもなく、毎日とても平穏幸せに三年の月日を暮らしていた。しかし、周りからはそうは見られていなかった。若い男女が結ばれ、三年が経つ。周り、特にお互いの両親、親戚筋から次に望まれるものは、子供だった。  世

          第45編 水と羊