ことのはのおと

ことばに携わるしごと一年目の新人OL。

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最近の記事

優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる (俵万智)

 高校生の時、表題の歌を引用して、「この歌について、「一球」とは具体的にどのようなもののことか、自分の体験を交えて200字以内で書きなさい」というような問題が現代文の試験に出題された。試験の最後の大問に毎回200字作文が課されていて、はなから書くのを諦めている友達も少なからずいた。昨年度、教育実習で80人分の作文の添削に泣かされた身からすると、毎回のテストの最後に200字作文を出題して採点し、3日程度で返却、優秀作品のピックアップと講評まで済ませていた先生方には頭が上がらない

    • 許せない自分に気づく手に受けたリキッドソープのうすみどりみて (穂村弘)

       わたしがいま使っているボディーソープがうすみどりいろだったので、表題の短歌を思い出した。  この歌が載った歌集『シンジケート』が出版された1990年(わたしが生まれるより8年も前!)にどうだったのかはわからないが、令和の現代において、うすみどりのソープはめずらしい気がする。多くの液体ソープは透明か、乳白色をしていないだろうか。  現にわたしが使っているうすみどりのボディーソープは、デリケートゾーン用のすこし高価なもので、海外製からの輸入品のようである。  歌の「リキッド

      • 働き始めてから痛感した他人との認識の違い

         先月頭、今年度いっぱいで同僚が仕事をやめることがわかった。ずっとやめたいと思っていて、やめることはとっくに決まっていたが人事異動の一斉開示まで隠し続けていたらしい。入社当初から大変お世話になっている人だったから、やめる、という事実が受け入れがたく、発表されてからしばらく落ち込んだ。いまだにすこし落ち込んでいる。  近しい人がやめてしまうショックもあるが、近くで見ていたくせにやめたいと思うほど思い悩んでいると気づくことができなかった自分が、不甲斐ない。大人はつらいことも大きな

        • 「心の恋人」という考え方 ー 江國香織『間宮兄弟』

           友達に、普段あまり本を読めないがしいて言うなら江國香織が好きだと話したら『間宮兄弟』をおすすめされたので読んだ。金曜の夜と土曜の移動時間を利用して3時間程度かかったと思う。  江國香織については、日常を生きているのにどこか非日常的でアンニュイな女性たちが恋に没頭する物語を好んで読んでいたため、『間宮兄弟』というもてない中年男性2人が主人公の小説は、自分から進んで手に取ることはしていなかった。  読んでみて、江國香織は女性を主人公とした恋愛小説のイメージが強かったのに、も

        優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる (俵万智)

          はじめの一歩

          2022年3月12日(土)、ひさしぶりの2連休に気をよくして、noteをはじめることにした。 過去を振り返りながら、きっかけを整理してみる。 わたしは幼いころから、本を読むことがたいへん好きであった。幼稚園生のときには何冊も読み聞かせをねだったという。 小学2年生のころだったか、毎週末図書館で20冊借りていた本を土日のうちに全て読み切ってしまって、母親にたしなめられたことを覚えている。それでも一気に本を読むわたしを見かねた母は図書館だけではなく公民館でも10冊借りるように

          はじめの一歩