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外国ではじめて合唱の練習をするときに気付いた日本との共通点

前回前々回の言葉の問題に続いて、シンガポールで合唱の練習に参加してみて、練習内容について思ったことです。今回は、日本と同じだったこと、似ていたことをご紹介します。

違いは英語でしゃべってることくらいで、実は私は日本のいつもの合唱団にいるんじゃないか、と錯覚するくらい似ていた発声練習

まずは発声練習。この日は、「あ」、「い」の母音で発声練習がスタート。母音が変わるときに、口の形とともに音の響きを変えない練習のようです。これはよく日本でもやりました。

「い」のときに口角を後ろに引かないで。「う」の口の形で「い」を歌いましょう」

発声を担当する団内指揮者(合唱団員であり、指揮も担当するひと)の指導で、くちびるを「う」の形にして「い」を歌うと、平べったかった音が深くなり、響きが増しました。

「Nice!」

この練習方法には、なんだか覚えがあります。日本でドイツ語の曲を演奏するときに練習した、ü(ウムラウト)の発音練習みたいです。(注 : üは、u のかたちに口をすぼめるように丸くした口で「イー」と発音します。 )そこまでüの発音にはしないけれど。

日本語でも「い」の母音の歌詞になったときに響きが変わってしまう、平べったい音になる、とよく指摘を受けますが、シンガポールでも似たような指摘をされるんだなぁと1人感慨に耽りました。

団内指揮者「次はmの子音を付けて。「まー、めー、みー、もー、むー」で行きましょう。」

団員「まー、めー、みー、もー、むー」

感慨に耽っていたら、衝撃の展開です。まるで日本の発声練習。なんで日本じゃないのに「あ、え、い、お、う」の母音!?

日本語が母語なのは私だけなので、周囲とはこの不思議を共有できないまま、内心ずっこけました。ここは日本だっただろうか。パラレルワールドに迷い込んで、英語で練習する日本の合唱団で練習している気分……。

中華系のひとが多いので、このあたりは中国語の母音にヒントがありそうです。

練習中の意外な共通点

発声練習だけで衝撃で、ちょっとめまいがしましたが、続いて曲の練習に入ります。まずはパート練習。パートのことは、英語でsectionと言っていました。パートに分かれて、まだ練習回数が少ない曲の音取りをしたあと、今日の練習の最後に全体で合わせる予定です。

パートリーダーが前に出て、ハーモニーディレクターを弾きながら音取りをしていきます。この日は初心者や見学者もいたので、丁寧に説明しながら進みます。

「もし間違えてしまったら、手を上げてくださいね。「(私は間違ったことを)分かってます。(練習を中断して、)指摘する必要はないですよ」って指揮者に伝えてください」

"If you made a mistake, raise your hand and let the conductor know “I know, I know ! You don’t need to correct me.”"

これにもびっくりしました。日本で練習しているときも、間違えると手を上げている人を見かけたことがあったのです。国際的にそういうマナーがあるのでしょうか。

日本の合唱仲間に聞いてみると、日本で手を上げていたのも目的はまったくおなじで、練習を効率的に行うために、本人が気づいていることを指揮者に知らせるためだそうです。

練習時間をいかに大事に使うかを考えた結果、各地で、各合唱団で自然と生まれた習慣なのでしょうか。思いもよらないところに共通点がありました。

楽譜の工夫

初心者向けに、楽譜の工夫もパートリーダーから丁寧に紹介があります。

「私は自分のパートの五線を、蛍光ペンで色付けしてるのよ。すぐにどこが自分のパートか分かるように。私の場合は、わざわざ定規を使ってきれいに引いてる」

これ、私もよくやっていました。定規は使ってなかったけれど。ページをめくるとどこが自分のパートか分からなくなってしまうので、すぐにわかるようにしていました。ところ変わっても、同じことをやっているんですね。

高校時代に使っていた、音楽之友社の第九の楽譜
自分のパートに蛍光ペンで印を付けていました


リュックなど楽譜が入る大きめのカバンを持って、水筒と楽譜を抱えて練習に集まる団員たち。ある日は、練習の前に、合唱団にゆかりのある人の結婚パーティーに団をあげて出席して祝福。練習のあとの定番は、みんなで食事会ーーー。

ほかにも、日本で参加していた合唱団の日常と変わらない風景がいくつもありました。ところ変わっても、合唱団って、合唱人って、似ているんですね。

次回は、日本の合唱練習と違ったことをご紹介します。

おまけ1

現在、シンガポールはハングリーゴースト期間中。日本で言うお盆のような風習のようです。街中で、こんなお供え物を見かけます。きゅうりを使っているのは日本と似ていますね。でも、1か月間続くこと、お供え物の意味や、この時期タブーとされていることなど、日本のお盆と違うこともたくさんあるようです。気になった方は、こちらを見てみてください。

おまけ2

8/9のNational Day(建国記念日)が過ぎた今も、街にはシンガポールの国旗が飾られています。大きなコンドミニアムやHDB(シンガポールの公団住宅)に飾られている国旗、見えるでしょうか?

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