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人生最高の春の宵 〜村上春樹×川上未映子 朗読会 ①

村上春樹、好きですか?好きとかきらいとか、ノーベル賞をとるとかとらないとか、よく話題になりますよね。私はマイペースに、自分なりに大切に、この20年ほど村上春樹作品を読んできました。

一昨日、2024年3月1日に早稲田大学の大隈記念講堂で開かれた村上春樹の朗読会に参加してきたので、その様子を1人のファンの目線でご紹介します。いまだに興奮が冷めやりません!


村上春樹はスナフキンな私の憧れ

あるとき並べてみた、本棚にある村上春樹の本

10代後半から村上春樹を読んできました。はじめは『ノルウェイの森』。インフルエンザで寝込んでいるときに、たまたま学校の図書室で借りてあったので読むと、衝撃を受けて、ただでさえ体調が悪いのに気持ちまでどん底に。でも、なんだか心の深い部分に響くものがあり、文体にも惹かれるものがあって、読み通したのでした。

『少年カフカ』が読みたくて、学校帰りにセーラー服姿で片田舎の本屋さんに行き、取り寄せ注文したこともありました。わざわざ取り寄せるのは緊張!でも、読者からのメールの返事がどれもおもしろくて、ほくほくしながら読みました。

東京での大学生活を控えた18歳の春には、図書館で『国境の南、太陽の西』を読み、感受性の鋭い主人公たちの10代の心の風景や、傍目には幸せなのに喪失感のある大人になった様子に心を打たれます(最近、自分が主人公と同じ37歳になってからこの本を読み返し、それもまたよい読書体験でした)。

大学時代には、文庫になっている長編小説を片っ端から読み、20歳になるとこの適齢期を逃してなるものか、と主人公たちと同年齢の間に『ノルウェイの森』を繰り返し読みました。村上春樹好きな友達がはじめてできたのもこのころ。思春期から社会に出るまえの時期の不安定な心情に、この物語がそっと寄り添ってくれた気がします。『ノルウェイの森』が映画になると、一緒に観にいったなぁ。

社会に出てからエッセイの楽しみも知り、文庫で読めるものはだいたい読みました。とくに好きなのは、海外生活や旅先のことを綴ったもの。未知の世界に飛び込むのが好きで、数年おきに住む場所を変えたくなるスナフキン気質の私にとって、イタリアやギリシャ、アメリカに移り住み、その土地の人々を観察しながら現地に適応していく村上さんのライフスタイルは憧れそのもの。ウイスキーと旅が好きなので、『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を片手にアイラ島の蒸留所を巡るのが夢です。

駐在で香港に引っ越したとき、何冊か携えていった本にあったのは『遠い太鼓』(まだ電子書籍を使っていない頃)。この本の冒頭では、イタリアに到着した村上さんが、街の雑踏の騒がしさがいつまでも耳の奥に残って悩まされる様子が書かれています。同じように香港の街のエネルギーや喧騒に圧倒されていた私は、この本を湯船につかりながら読んで、はじめての海外生活で落ち着かない気持ちを回復させていました。村上さんも苦労しながらその土地に馴染んでいったんだよ、と思いながら。

朗読会の開催を知り、申し込み!

シンガポール駐在を終えて、東京での生活に慣れてきた2023年12月。川上未映子さんのInstagramで、朗読会が開かれることを知ります。

『村上春樹×川上未映子 春のみみずく朗読会』 ―――みみずくは春に本を読む は、2021年10月に開館した村上春樹ライブラリーの募金イベント。

みみずくと言えば、2017年のこの2人の対話集『みみずくは黄昏に飛びたつ』。村上作品を詳細に読み込んでいる川上さんが、読者として、小説家として、女性として、様々な切り口で村上さんに深く深くインタビューした本です。密度の濃いやりとりや楽しそうな雰囲気から、世代も性別もちがう2人が、とてもいい関係性で結ばれてることがうかがえて、とても楽しく読みました。まさかこの2人の朗読が聞ける機会が来るなんて!

https://www.shinchosha.co.jp/book/353434/

参加チケットの受付は、2024年1月15日からweb申し込みで先着順。一瞬で無くなってしまうかと思ったけれど、どうにかチケットを入手したのでした。

朗読会の前までに届いたものは

2024年2月13日、チケットが届きます。淡いトーンのベージュとパープル、やさしいフォントにふくろうのシルエットがなんともおしゃれ!ほんとうに朗読会に行けるんだな…とじんわり喜びを噛みしめます。

さらに1週間後、寄付金の領収書とともに、記念品が届きました。

じゃん!

和田誠さんのイラストが施された、村上春樹ライブラリーの文庫型のメモ帳です。

私をはるかに凌ぐ村上春樹ファンのお友達には、別のデザインのメモ帳が届いていました。こちらもかわいい!どちらも読書風景が描かれているんですね。

わくわくしながら、いよいよ当日。次回につづきます。

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