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人生最高の春の宵 〜村上春樹×川上未映子 朗読会②

前回のつづきです。

夢なんじゃないかと思いながら会場へ

いよいよ朗読会当日、早稲田大学の大隈記念講堂へ向かいます。うれしすぎてこれは夢なんじゃないか、と思って、何度もチケットを見返します。なんだか泣きそう…。

道すがら、お友達から「物販もある!」と連絡が。到着予定は、開演15分前。物販を見る時間があるかな。夢見心地なので、できるだけ落ち着いて向かいます。

大隈記念講堂

無事に会場に到着。みみずくのイラストを手の上にのせるフォトスポットがあり、写真左奥に行列ができていました。(朗読会のあと、もちろん私もお友達とここで写真撮影)

はじめて見る村上春樹ファンの集まりに、静かに感動

無事に会場に入り、お友達に会って、物販コーナーに並びます。並んでいると、「口から心臓が出そう!」と困り顔と笑顔が混ざった表情を浮かべて話す男の子たちが。「わかる…、わかるよ!まさにそう。私もずっとそんな感じ…!」と心のなかで話しかけます。

列に並んでいて思ったのは、みなさん熱心なファンなんだなぁということ。「俺、『うさぎおいしーフランス人』のピンバッチ買う!」とか、「『中国行きのスロウボート』のポストカードだけほしい」とか、コアなファンらしい会話が飛び交います。

そして、老若男女、落ち着いた雰囲気で、気の利いたファッションを身に包んでいる人が多い。村上春樹作品に出てくる人物も、おしゃれで、絶妙な色の服を着ていますよね。ブルーのニットとか、えび茶色のネイルとか。

村上春樹ファンが集まる場所に来るのははじめてなので、その静かな熱気や一体感にじんわり感動しました。

朗読会のはじまり

席に着いて、開演を待ちます。手元にはハンカチを用意。なぜなら、感極まって、もう泣きそうだから。実際、前半だけで3、4回泣きそうになりました。

ここで内容に触れることはできませんが、耳からじんわり心が揺さぶられ、深く物語に潜る、幸せな時間でした。

友情出演はギタリストの村治佳織さん、俳優の小澤征悦さん。村治佳織さんによるギターの単独演奏と、小澤征悦さんによる朗読に合わせた演奏、どちらもよかったです。ギターの音色って、あんなに優しいんですね。「花は咲く」は合唱のレコーディングに参加したことのある、思い入れのある曲。歌はなくても、ギターの優しい音で、曲のメッセージは十二分に心に届きました。速い指使いで軽快なテンポの曲もすばらしかった!小澤さんは、さすがの朗読。川上未映子さんの朗読も、役者をされていたのかな、と思うほどの没入感がありました。物語のなかの女性が切々と語りかけているみたい。口調が自然なんです。村上さんの朗読も、とてもよかった。村上RADIOのDJそのまま。落ち着いていて、十分な間がある話し方。物語がすんなり入ってきます。英語だとどんな感じなんだろう。いつか世界のどこかで、村上さんの英語の朗読会にも参加したい、そんな夢ができました。

今回の朗読会では、村上さん、川上さん、それぞれが書き下ろした新作短編が披露されました。活字で読むのも楽しみです。村上さんの短編では、この作品が1番好きです。絶品でした。あまりにすばらしすぎて、出版されるときには内容が変わったり、結末が変わったりするんじゃないかと怖いです。それでもいいのだけれど。

長くなったので、に続きます。

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