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読書感想文 『方法序説』 デカルト

※ネタバレ注意


概要

真理を見出すための方法が記されている。
「われ思う、ゆえにわれあり」
すべてを疑ったとしてもそれを疑う自身は疑いようがない
という事をベースにしてどのように真理に辿り着けるかが記されている。
また「前例や習慣だけで納得してきたことを、あまり堅く信じてはいけない」などすべてを疑ったうえで真理に近づく方法が記されている。

キリスト教とデカルト

方法序説を読んで驚いたことは神学がどこまでもベースにあることだ。
デカルトは決して神を否定していない、むしろ神を畏れているようにも思えた。
本書内で神の存在を証明したり、デカルトが医学で不老不死を目指しているのだがそれもキリスト教的なそもそもは人類が不老不死であったという事に起因しているだろう。
また、本書の書き出しで「良識はこの世でもっとも公平に分け与えられているものである」と記している。
方法序説のベースともなる良識というものを神から与えられたものと記していることもデカルトが神を信仰していた証だろう。
だからこそ、神すらも疑うという現代では少し物足りないようにも感じる。

いかにして真理に近づくのか

本書内で「真理を探究するよりも、真らしさで満足する方が、はるかに容易に目的に達するだろう」
と述べているが真理というのは本当に難しい。
これが神秘的なものでなく、いわゆる陰謀論などにも通じるだろう。
明らかに証拠が出ていても「われ思う、ゆえに事実なり」というスタンスで真らしさに満足する人物は少なからずいると思う。
しかし、デカルトはそのことについても釘をさしている。
「多数の方が一人の人間だけよりも多く見ることができる」
「最初に浮かんだ考えはまずけっして信頼しない」
全ての学問に言えることだと思うが
「自分の精神が、どんな点でもふつうの人より完全などと思ったことはない。」
という精神が必要であると改めて気付かされた。

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