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読書感想『一九八四年』ジョージ・オーウェル

ネタバレ注意



あらすじ

「ビック・ブラザー」を中心とする全体主義的の近未来。
思想の自由さえ許されない国で主人公は国家体制に疑問を抱く。
そんな中とても魅力的な女性と出会う。
彼女は容姿だけでなく、その思想も主人公と極めて似たものを持っていた。
禁欲を是とする国家思想に反するようにその女性に溺れていく。
彼女の紹介でレジスタンスとも出会い、その疑問は確かなものだと確信を持ち、革命に命を捧げると決意をする。
しかし、そんな主人公に国家の魔の手が。
徹底的に教育をされて主人公は何もかも捨てて。
国家に都合のいい人間となる。


2+2=5

〈自由とは二足す二が四であると言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由はすべて後からついてくる。〉
とは主人公が日記に綴った思いである。
国家により歴史も何もかも捻じ曲げられている現状に怒りの言葉だが最終的には主人公は2+2=5であると認めることになる。
この瞬間主人公はすべてに負けた。
一見、自分の生活には関わらないようなことでも、内心を変えたこの瞬間が大きなターニングポイントになったように思えた。

二重思考

〈二重思考とは、ふたつの相矛盾する信念を心に同時に抱き、その両方を受け入れる能力をいう。〉
この世界の人間には二重思考が絶対持っていないとならない能力として描かれている。
昨日まで敵国として10年間戦っていた国が、今日は友好国として30年間共に戦っていたとしても受け入れる必要がある。
一見突飛に見えるような能力だが、果たしてそうなのだろうか。
単なる暴力を、昨日までは「正義の鉄槌」今日からは「悪の所業」として取り扱っていないだろうか。
真偽を見極めるのは容易ではない。

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