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【TOMOO】こんな曲に会いたくて、音楽を愛してきた【関ジャム】

春、TOMOOを見つけ

 2024年1月14日、21日に放送された『関ジャム 完全熱SHOW』内で「プロが選ぶ2023年マイベスト10曲」に選出されていたTOMOO。
 私はドラマ『ソロ活女子のススメ3』のop『夢はさめても』をきっかけにTOMOOを見つけた。このnoteでは特に好きな2曲を紹介するよ!

①『夢はさめても』(2023年)

 この曲のテーマは、「人と人との関係性の岐路」。
 歌い出しから強烈。

化けの皮がはがれて 夢はたちまちくずれた
けれどこれでもう あなたはあなたね

 人と人がちゃんと関わっていくことって、綺麗なだけじゃない。関係が深くなればなるほど、相手の情けない部分や汚いところ、冷ややかな感情に遭遇することとなる。この歌では他者の素顔が露わになることを「化けの皮がはがれて」とか「夢はたちまちくずれた」と表現している。そして、そんな瞬間を乗り越えて、「けれどこれでもう あなたはあなたね」と相手に対する評価をプラスでもマイナスでもない0に戻し、再び関係を構築していく。 「理解していく過程で例え泥まみれになったとしても、互いを知れたならそれで良いよね!」というスタンスがTOMOOにしか書けない言葉で歌われていて、私は歌い出しからサビ前までが1番好きだ。

抱き合えるならば 骨まで抱きしめて
あてにしちゃだめよ この肌も その瞳も
ばらばらに燃える ふたつの心臓は
重なってゆける 甘すぎた夢はさめても

 この歌で、骨は絶対的に変わらない根幹という意味で使われていると思う。肌や瞳はその色や形を変えられるけれど、骨はなかなか変えられない。燃やした後でもその人がこの世にいた証として骨は残り続ける。この歌では上辺をなぞる日々を「甘すぎた夢」とか「魔法」などというロマンチックなキーワードで表しているけれど、そんなことよりも誤魔化しのない、むき出しの他者をまるごと受容する「骨まで抱きしめる」行為の方がずっと意味があるんだよと教えてくれている気がする。

 新たな出会いは新鮮で、刺激的で、ときめきを感じる。この時に感じる高揚感は相手に幻想的なフィルターをかける。でも、本当の人間関係とは「君はそんな人だったのね」と一方的にしていた期待を裏切られてからがスタートであり、その先にある関係に混じりけのない愛が宿ると思う。

②Super Ball

 この曲を聞くたびに思い出す言葉がある。
 
 それは、夏目漱石の「愛嬌とは、自分より強いものを倒す柔かい武器である」。「この人は軽やかに生きるな」という人は大抵愛嬌がある。これは決してヘラヘラしているとか、芯がないというわけではない。ただ誰かに攻撃されたときに暴力や暴言以外のコマンドを持っている人なのだと思う。

怖がりのままで踊って
あなたに見せたい虹色
‟槍出せ 角出せ”はいらない
丸いままつらぬいて

君の強さは とんがってるその先じゃないとこにだって宿ってる
君のかっこよさは 鉄壁のシェイプじゃないとこにだって活きてる
君の強さは とんがってるその先じゃないとこにだって宿ってる
君のかっこよさは 鉄壁のシェイプじゃないとこにだって生きてる

揺れもしないさなんていらない
いらない

 最近の流行りのコンテンツには「強さ=攻撃的、強硬的、尖っていること」みたいなメッセージが込められているものがいくつかあり、そういった姿勢が格好良いと評価されている気がする。確かにどんな時にも自分を曲げない強さや、攻撃されたときに反撃できる力は必要なものだと思う。
 
 でも、失礼な相手や理不尽さに対して、合気道みたいに華麗に受け流したり躱せることも大事だと社会人になってから感じることがある。この考え方は、地震があった時にあえて建物自体を揺れるようにしておくことで、エネルギーを逃し建物の破損を防ぐ構造と似ている。柔軟さや愛嬌といった丸みのあるものは一見頼りなく見えるかもしれないが、外部からの攻撃をそのまま食らわないように自身を守ったり、衝突自体を防ぐことができる。

 この歌からは「強さは、必ずしも鋭利な形をしているわけではない」というメッセージが感じ取られて、ついつい攻撃的になってしまうときの私をニュートラルな状態に戻してくれる。

コンテンツ紹介:TOMOO『Ginger』

  今回ご紹介するのは、本noteで取り上げたTOMOOの『Ginger』という曲。インタビュー内で、TOMOOはこの曲について「うまく生きれないな」と思っている人に対して「そういうところも好きだよ」と伝えるラブソングであると言っている。
 
 確かに歌詞の中には、世間ではマイナスな意味をもつ性質に対して「そういうところも好きだよ」と伝えている部分がたくさんある。

"ごめんなさい"がいまいちスマートじゃなくて 
許してもらえない猫みたいなきみは ぼくの自慢の人

やばんなままでいてよ

きみはfree! あくまでパッション 
でも腕の中で 今は 僕の心をいちばんあっためてる

気まぐれくり返してさ

 時々自分の好きな人たちについてのマイナスな意見を聞くことがある。ムッとしちゃうけれど、同時に「私はそんなところが好きだな」と相手にどうしても惹かれてしまう理由を再確認する機会になったりする。
 
 以前『SLAM DUNK』の宮城リョータについて書いたnote内でとり上げたIUの『Celebrity』という曲にも似たメッセージが込められているが、誰かを魅了する特徴は時に誰かにとって目障りになることもあるわけで、そのことが理由で中傷されることもあるだろう。でも、「たとえ世界が君を厄介者だと言って落ち込ませても、私にとっては唯一無二の特別な人だよ」と言ってくれる人が1人でも近くに居れば、人は自分を見失わずに愛していけると思う。

 この曲たちのように周りにいるピカピカ光って仕方ない愛おしい人たちにLOVEを伝えていかなければならない。そんなラブリーな気持ちにさせてくれる素敵なラブソングだ。


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