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2023年秋冬ドラマ。私のオススメは「あたりのキッチン!」と「いちばんすきな花」



エンタメが大好き。テレビも大好き。

生粋のテレビっこな私は、このネットやサブスク全盛期でも地上波テレビは生活必需品。

今期もおもしろいドラマがたくさん放送されていて、嬉しい悲鳴をあげている。


なかでもとくに好きな作品が、2つ。

「あたりのキッチン!」と「いちばんすきな花」だ。



あたりのキッチン!



「清美さんは料理で、コミュニケーションがとれるじゃないですか」

主人公の大学三年生・辺清美(桜田ひより)は、コミュニケーションをとるのが大の苦手。人と目を合わせられない、話しかけられてもうまくこたえられず、空回り。そんな自分を変えようとアルバイトを探すも、第一関門である面接予約の電話で撃沈。そんな矢先に出会ったのが、定食屋「阿吽」だった。客の身体や調子を気遣い、一人一人にあった食事をだすという店主・中江善次郎(渡部篤郎)の想いに心を打たれた清美。実は清美には、一口料理を食べただけで食材や調味料を当てるという絶対味覚があった。居合わせた善次郎の幼馴染・楠木ハル(峯村リエ)のはからいで店で働けることになった清美だが、初めての接客に四苦八苦して…。

あたりのキッチン!あらすじ


土曜深夜放送のこちらのドラマ。

はじめは、つけっぱなしのテレビを流れで見ていただけだった。
でもなんだろう、この空気感。

注意深く慎重に歩いているはずなのに、なぜか盛大にズッコケて荷物をぶちまけそうな主人公に、自分を重ねてみてしまう。

だけどオロオロしているから頼りなくみえるだけで、彼女の芯には大きな優しさがある。

料理がコミュニケーションだなんて、気付かなかった。
でも言われてみれば、たしかに。

目の前にいる相手をよく見てよく考えて、自分にできる最善を尽くす。

それはまぎれもなく優しさであり愛であり、最上級の思いやりだ。




そして渡部篤郎演じるイケオジ店主たちも、良い。

清美が想いをうまく言葉にできずに止まっていたら、ちゃんと待っていてくれる。

そういう時ってつい焦ったくて、先回りして言ってあげたりやってあげたりしてしまいがち。

もちろんそれも悪いことではないんだけど。でも、
待ってくれる、見守ってくれてる人の存在って、それだけでとても安心するんだよね。




主人公の同級生、鈴代桜(工藤美桜)も気になる人物。

美人でキラキラしていて勉強が得意で。
だけど食に興味がなく、いつもバランス栄養食で食事をすませている。
子どもの頃から食が細くて、親にはもっと食べろと言われつづけてきたけれど、みんなと同じようには食べられない自分に、劣等感のようなものを抱いている。


うん、わかる。
他人からは「そんなことぐらいで」って、言われちゃったりするんだよね。

でも本人にとっては「そんなこと」が、とってもツラくて繊細で、大きな問題だったりする。


すこし話がズレるけど、私のまわりには会食がツラいという人もいる。

大勢がいる場だと、いろんな物事が気になってしまって、食事がノドを通らなくなったり、吐き戻してしまったり。
なのに「少食ぶってる、女の子ぶってる」なんて勘違いされるときがある。

何にどれくらい苦しみを感じるかは、人それぞれなのに。



あたりのキッチン、原作はマンガみたいだけど
雰囲気がすこし違うのかな?

自分が傷つくかどうかより、相手が傷つかないかを考える。
主人公を含め、そんな登場人物ばかりのこのドラマをみていたら、固まっていた心が溶けていくような気がした。

そういう人たちが、しあわせに生きてる世界がすきだ。

セリフの端々からも作り手が、テレビの前にいるだれかを思いやる、やさしいきもちが伝わってくる。


またひとつ、素敵なドラマに出逢えて嬉しいな。



いちばんすきな花




大人のラブストーリーって表現は
なんだか、しっくりこない。
男女のあいだに友情は成立するか?だけを抜粋するのも
なんだか、しっくりこない。

かといってカンタンでわかりやすいような、既存のことばで説明するのは、むずかしい。
だからこそ、このドラマは素敵なんだ。



私たちは日々、ちいさなトゲを飲み込みながら生きている。

他人の何気ないことばだったり、
視線だったり、期待だったり、要らない同情だったり。


そしてそれは、だれもが経験している。

年齢や出身、ジェンダー、環境、見た目、収入
マイノリティやマジョリティに関係なく、
きっとすべての人が、トゲを飲み込まされた経験がある。

でも「あれは痛かった」と誰かにはなせれば
それだけで、楽になったりする。

消化できたりする。

痛みをみせるのが苦手な主人公たちにとって、
偶然が重なって出逢えた、この4人組こそが
気をつかわずに、はなせる居場所になったのかもしれない。


ドラマをオススメするなら通常、あらすじや登場人物の説明をするべき。
だけどもしまだこの作品を見ていない人がいたらぜひ、事前情報をいれないでみてほしいな。

「いいひと」「女性」「イケメン」みたいな。
そういうラベルを張ってしまうと、偏ってみえる可能性があるから。

何にひっかかるかによって、自分が普段
どこに重きを置いて思考してるかが分かるとおもう。


もちろん楽しみ方は自由なんだけどね。

そんなこと言ってる私自身は、バッドエンドや鬱展開が苦手すぎて、いつもあらすじやネタバレを先にみてからじゃないと作品に挑めない軟弱ヤロウだし。笑



私たちが生きる世界には、いろんなタイプのトゲが存在している。
作中にも、いろんなタイプのトゲがかくされている。

これだけたくさんの視点の痛み・・を表現できるのは、
作り手が毎日の生活のなかで、とても繊細に世界をみているからなんじゃないかな。

繊細なのは、悪いことじゃないよね。


ところどころにあたたかい希望をしのばせてくれてる所も、このドラマを毎週楽しみに待ってしまう、魅力のひとつ。




5話現在ですでに私は感情移入しすぎちゃっているから、もしこのあと辛い展開になったりしたら耐えられないかもしれない!笑

どうかこのさきも登場人物たちが笑って生きていけるように、私のこころの平穏のためにも祈りながら、木曜10時を楽しみにしています(笑)





やっぱりテレビって、おもしろいよ。


テレビの時代は終わった。
テレビはもう面白くない。

そんな風に言われるようになって、10年ぐらいは経ったのかな。

でもやっぱり、テレビっておもしろいよ。



過剰な規制を乗り越えて
新しいおもしろさのカタチができてきたような、
深いおもいやりを表現してくれる人が増えてきたような、
そんな気もする。


画面のむこう側で、番組を作っているたくさんの人。
きっとそのなかに、戦っている人や守りつづけている人、積みあげてきてくれた人たちがいる。

そういう人たちの頑張りをうけて、イチ視聴者の自分にできるのは
「キライ」じゃなくて「スキ」の気持ちをことばにして発信していくことかな、と思う。


小さなちからかもしれないけど。
声の大きいヘイトに、かき消されてしまうかもしれないけど。

それでも素敵なテレビ番組を守るために。
大好きなエンタメを守るために。

これからも「スキ」を、どんどん伝えていきたいな。





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