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ゲルト・R・ラング、自らが語る言葉  クロノスイスヒストリー Vol.4

時計は、この世で最も精巧な機械である。
それでも、時と言う現象を説明することはできない。

ゲルト・R・ラング

クロノスイス40周年アニバーサリーイヤーでもある今年。
そして、記念すべきクロノスイス公式note1周年でもあります。

記念すべき今回の記事は、ブランドの創設者でもあるゲルト・R・ラング氏について、ラング氏自身の言葉でもっと深堀してみたいと思います。

時計職人になるための最高の素質

私には時計職人になるための最高の資質があった。
それは、頭のねじが少々ゆるんでいたことだ。

ゲルト・R・ラング

こう私は評されていました。
利益を追求する人たちから見たら、私の哲学は根本的に異なっていたのでしょう。
時間をかけ、妥協を許さない最高の時計作りを追い求めることは、時として利益と相反する部分があります。

私が作る腕時計は最高なものでなくてはならない

私が「着けてみたい」と思わない時計は、決してクロノスイスのアトリエからは出ない。

ゲルト・R・ラング

私はアンティーク・ウォッチの、時を超越したデザインをベースにつくりあげる腕時計を、まず自分自身のために作ることからスタートしました。
モデルに絶えず改良を重ね、クラフトマンシップを完璧な域にまで昇華させるには、何より大切なものがあります。
それは「時間」、しかも十分な時間が必要です。
十分な時間は、品質やデザイン面において少しの妥協も許さずに、そして最高の製品を創ることが可能です。
違いのわかるごく少数のお客様に限られた時計しか製造しません。


私が時計作りで最も大切にし、時計の中に閉じ込めたいと考えているのは「時を超えて感動をもたらす瞬間」

時間を遡らない人は、現代の良い時計師にはなれないだろう。

ゲルト・R・ラング

私の作るすべての時計は、100年時代遅れです。
技術的にも、最も完成された機械式時計が製作されたのはすでに100年も前です。
いくら私のつくる腕時計が1日10秒の誤差しかなく、精度99.97%という信じられない精度を誇っていたとしても・・・本当に素晴らしい時計が私たちにもたらす感動と比べれば、この数字にどんな意味があると言えるのでしょうか。
たとえば、あなたのお爺さんが懐中時計を見せてくれ、それを耳元に近づけたとき、あなたの胸がどきどき高鳴った経験がおありでしょう。

私が時計作りで最も大切にし、時計の中に閉じ込めたいと考えているのは、このような「時を超えて感動をもたらす瞬間」です。
思わず息をのむ一瞬は、まるで時が止まっているような感覚でしょう
私は常にクロノスイスの時計作りにおいては、完璧な技術・明確でラジカルなまでの美意識を携えた高いレベルを追求していますが、このレベルは100年も前に達成されていることは忘れてはなりません。
つまり、時間を遡ることは、私にとっては「未来への一歩」なのです。
時を超越した価値を追求する、クロノスイスの哲学でもあります。

私が作る時計の中に、私の分身がいる

究極的に言うのであれば、私の時計は、時計製作の古典技術に関して私なりの定義を表現したものに他なりません。

ゲルト・R・ラング

最高のパーツが、ほとんどマニアックと言えるほどの巧妙な技術を駆使して創り出され、この組み合わせによって究極の腕時計が完成されます。
無駄な部分を取り除き、重要な部分にスペースを割くことができたとき、特に喜びを感じます。
腕時計は、小さなパーツを何百と組み合わせ、これ以上ない大きな調和が生み出された結晶です。このハーモニーの素晴らしさを伝えるには、ただメカニズムが完璧なだけでなく、外観も非の打ちどころがないものでなくてはなりません
私は、ムーブメントに組み込まれた小さな歯車さえも、最大限の注意を払います。

クロノスイスの時計の裏蓋に透明ガラスを用いた理由がもうおわかりでしょう?
よく内部をご覧になってみてください。
この完璧に調和された美しさを目の当たりにしたときに、あなたはきっと二度とこの時計を手放そうと思わないでしょう。


電池で動く時計には興味はない

孫のまた孫の代までクロノスイスの時計を楽しんでもらえるように、私のムーブメントは重力のみでゼンマイが巻き上がるようになっています。
私は、次の世代に対しても特別な責任を感じています。

ゲルト・R・ラング

子孫には、いつまでも愛される本当のに良いものを残したいと思っています。
ですから、捨てるものなど結局何もないのです。
私は使い捨てされるファッションのトレンドや一過性の流行に抵抗を示してきました。
こういった抵抗が、ともかく私の強い原動力でもあります。
自然や未来を犠牲にするような消費を私は良しとしません。

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