見出し画像

世界を美しく観る目

最近、本屋さんで見つけて
思わず「素敵」とジャケット買いしてしまった写真集。

『何気ない日常をアニメチックに。』
Kindle版:https://amzn.to/3PG4HPH
単行本版:https://amzn.to/3PGxu6z
著者:shota

空や海の青色がとても印象的なのだけれど
日常的な風景…
田舎によくある寂れた街の風景なんかを
「こんなに美しい場所なんだ」と
ハッとさせられるように撮っておられて
それがとても印象的だった。

(以下、stand.fmで話した内容をだいたい文字起こししたものです。)

shotaさんのinstagramには
いろいろなコメントが
寄せられるそうなのだけれど
その中に『君の名』はで有名な
新海監督の絵と似ている
というコメントがあるとのことだった。

確かに、
水たまりに空が写り込んでいる写真などが
新海監督の『天気の子』を彷彿とするような
写真だなと感じる。

また、アングルなどを吟味するのはもちろん、
撮影した後に調整をするというところが
この方の特徴かなという風に感じた。

ビフォーアフターの写真も紹介されていて
「実物よりも美しいなぁ」と感じるのだけれど
実際のものに近づけるというよりも
shotaさんの心の目で見た姿に近づくように
パラメーターを調整しておられるんだと思う。

新海監督の作品『君の名は』で
東京の風景が非常に美しく描かれる
というところが特徴と聞いたことがある。

これは都会に憧れるド田舎の高校生の主人公
三葉ちゃんの心の景色を表しているからでもあり
東京を「美しい」と表現をするのは
新海監督独特の見方だと聞いたことがある。

以前、私は会社から
数ヶ月の長期出張の辞令を受けたことがあり
三葉ちゃんのように
都会に憧れる気持ちももちろんあったが
どちらかというと
ちょっと怖くて行きたくないなという
印象を持っていた。

というのも都会では
立体駐車場で銃撃戦が行われていると思い込んでいて
(『City Hunter』の観すぎなんなのだけれども)
日本は世界でも屈指の治安の良い国ということは
頭ではよく理解してるはずなのに
心が怖がってしまい、
辞令を受けた時には
「嫌です。まだ死にたくないんです。」と言って
「アホか」と上司に呆れられたことがあった。

ただ実際行ってみるとすごく楽しくて
本当に個性的なお店がいっぱいあるし
賑やかで見る場所がたくさんあって
美味しいお店に行って
太って帰ってきたっていう経験があった。

そのため田舎者が東京に行った体験から考えても
東京を描写する時に
楽しいとか、にぎやかとか、華やかな表現をする
というのは分かるのだけれど
「洗い清められたような美しさ」というのは
確かに独特だと思う。

どうして美しく描くかと言うと
やはり監督が東京の景色を「美しい」と
思っているからこそだと思う。

ストーリーや魅力的なキャラクターが
もちろん新海監督作品の魅力だとは
思うのだけれど
この「美しく見れる」という
稀有な目を持っておられることも
人気の秘密なのかなと思う。

写真とか、あるいは文章もそうだけれど、
否応なしにその人自身の考え方が
表に出てきてしまうものだなと思う。

以前、写真愛好家のイベントに参加したことがあった。
写真愛好家と言っても
素人でもいいし、スマホでもOKという風な
ゆるいイベントだった。

その時は桜の満開の季節だったので、
川沿いの桜を撮影し
みんなで見せ合うという風なものでした。

もちろん上手、下手というのはさておき
人によって全然撮るものが違うんだということを感じた。

私は、
「トンカツ屋に行ったらトンカツを頼むもの」という
謎の義務感を持っており、
花を撮るからには、花を撮るぞと、
花ばかりとっていたのだけれど

中には花を撮らずに花を表現するという
文学的な撮影の仕方をされる方もおられたり、

花を撮っている人たちを撮影するという風
人を中心に撮るという方もおられた。
この方は本当に人に興味があるとか、
人が好きなんだなと感じた。

以前こちらのチャンネルで
『知覚力を磨く』
という本を紹介したことがある。

この本の中でAIと人間の目の違いに関する話があった。

AIは先入観とか価値観がないので、
とにかくフラットに見ることができるという
特徴があるとのことだった。

例としてレントゲン写真を見る実験について載っていた。
レントゲン写真を渡されて
「何か異常を見つけてください」
という風に言われたら、
先入観として
何か病気を見つけなくてはいけないんじゃないかと
考えて一生懸命見ると思う。

けれども、こちらの写真
一体どういうものなのかと言うと、
ゴリラのイラストが紛れ込んでいるという加工が施された
偽物のレントゲン写真とのことだった。

人間はやはり先入観があるため、
ゴリラを見つけられる人は
かなり少ないという風なことを書かれていた。

このように先入観や価値観をもって
景色を見るというのは
人間のある種バグという風に言うこともできるかなと思う。

ただこの価値観…
何を重点的に見るか
何をどう見るか
というのが人間にしかできないものであり
非常に貴重な個性だという風にも書かれていた。

この見るという行為については
意識的に「見る」という事は普段していなくて
本当に自動反応的に
目の前の景色が流れていくという風に
過ごしてる事が多いなと感じる。

鈍ってしまっているというのもあるし
もう少し言うと
ひねくれてしまっているところもあるかなと思う。

こんなの当たり前だよねとか
珍しくもなんともないわとか
面白くないわというように
見てしまってるところがあるかもしれない。

なので「美しい」と思って
世界を見る人に非常に憧れるんだろうなあと思う。
そういう方のエッセンスを少しでも感じたくて
写真集や、アニメーション、映画を観る
というところもあるのかなと思う。

ヘッダー写真:
UnsplashBilly Huynhが撮影した写真

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?