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「容疑者が自閉症・発達障害」と早々に報道してしまう事の弊害

みなさんご存知かと思いますが、新幹線で悲しい事件が起きました。

私はアメリカ在住なので、みなさんほど事件に対する情報を持っているわけではないとは思うんですが、
いくつかのメディアが、容疑者が自閉症であり、自殺願望があったと報道しています。

このタイミングで、容疑者が自閉症の診断を持つことを報道する事に私は憤りを感じます。


それはまるで、「容疑者が自閉症だから犯行に及んだ」「事件を起こした原因は、容疑者が自閉症だから」というミスリーディングを誘発しようと意図的にコントロールされているように感じるからです。

こういった報道を見た時、自閉症の事をよく知らない人は「だから自閉症は・・・」「自閉症の人は怖い・・・」と恐怖心を覚えるかもしれません。それは、更なる自閉症や発達障害の人達への偏見・差別を助長します。

私が言いたいのは、今の状況で言えるのは「事件を起こした人が自閉症」というだけで「自閉症だから事件を起こした」ではないという事です。

人は、自分の属性とは違う属性の人や、自分が「よくわかっていない」属性の人に対して不安を覚えますよね。例えば、精神障害の人に対してだったり、よく知らない国の出身の人だったり。

そしてその不安は、このような事件が起き、報道される事で「その属性の人達特有の事件」という事で「自分とは違う」「だから排除しよう」「その属性の人は信用ならない」という無意識の行動を起こすのかもしれません。

例えば「アメリカ人が事件を起こした」より「よく知らない国の人が事件を起こした」だと、「そのよく知らない国の人は皆恐ろしい人だ」になりがちだと思うんですよね。

だからこそ、私達、自閉症などの発達障害の人に関わる人達は、もっともっと正しい理解を広げる事が、こういった誤解を今後できるだけ防ぐ為に必要なんだと私は思うんですよね。

まず、どうしても多くの人に知ってもらいたいのは、自閉症の人は「ルールに従う事に厳格」な人が多いんです。幼少期から適切な支援を受けていると、むしろ犯罪に手を染める可能性は、障害がない人より格段に低いんですよ。

もう一つ付け加えると、容疑者は22歳で、このくらいの年齢の発達障害の診断のある人は、幼少期から適切な支援を得ないまま大人になってしまった世代で、二次障害の苦しみを抱えている可能性は否めないという事です。二次障害は防げます。

事件の本質とは離れますが、こういった、診断や支援が今以上に手薄だった時代に義務教育を終えた人達への支援の必要性は、もっともっと議論されていくべき事だと思うんですよね。

亡くなられた方のご冥福をお祈りするのとともに、こういった事件が起きない事、今回のような偏見や誤解を招く報道が無くなる事を切に願っています。


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