ネットで話題!広島県「働く女性応援よくばりハンドブック」。見直し案もやっぱり「欲張り」…みんなに意見を聞いてみた。
広島県が今月、改訂案を公表した「働く女性応援よくばりハンドブック」。そのコンセプト「欲張りなライフスタイルの実現」についてどう思うか、読者に無料通信アプリLINEで尋ねたところ、168件の意見が寄せられた。6割は「両立せざるを得ないのが現実」「欲張りという言葉にはやっぱりマイナスのイメージがある」など、否定的な受け止めだった。(久保友美恵)
欲張りじゃなくて、働かざるを得ないから
目立ったのは「働かざるを得なくて働いている」(広島市東区・40代パート女性)という実情を訴える声。三原市のパート女性(30)は「共働きでないと家計が回らないのに両立するのが欲張りとか言われたらツライ」とこぼす。
「欲張っているのではなく、しなくてはいけないのです」=呉市・会社員女性(27)、「欲張りでもなく教育費がかかり過ぎで、夫の給料だけでは払えないから働いているお母さんが多い」=広島市佐伯区・40代女性、「生活できないから両立している。毎日毎日分刻みのスケジュール、逃げ出したくなる」=呉市、パート女性(57)=といった意見もあった。
県は「欲張りなライフスタイル」について「仕事や暮らしへの希望をあきらめることなく、仕事と暮らしも妥協せず、両方で望む姿をかなえられること」とし、改訂案では知事メッセージも含めて2ページを割いて説明している。
子育てしながらフルタイム勤務を続けてきた広島県府中町の公務員女性(52)は「女性は必死で仕事、家事、育児をし、名前のない雑多な用事を押し付けられて気力体力ぎりぎりでこなしている」と吐露。「雑誌に登場する優雅なワーママのような『欲張りライフ』など描けない」と語った。
肩の荷が下りるようなメッセージを
「欲張り」という言葉を前向きな意味で捉えにくいという人も多かった。広島市南区の会社員女性(35)は「どうしても『強欲』『がめつい』のイメージがある」、庄原市の会社役員男性(49)は「度を超えて欲しがり、求めようとする意味」とつづった。
自治体が発信するものとして「別の意味に捉えられるかもしれない表現を用いることはやめるべきだ」(広島市佐伯区・50代教員女性)、「共通認識に落とし込めない言葉を使っていることに違和感がある」(庄原市・50代公務員男性)といった意見も少なくなかった。
「欲張り!より、もっと肩の荷が下りるようなタイトルがいい。女性が全てをこなさなければ生活していけない現実がある中で、そんなに頑張らなくてもいいよと言ってあげては」(三原市の50代パート女性)という提案もあった。
「『欲張り』はすてき」の声も
一方、県のコンセプトに賛同する意見も14件あった。三次市の会社員男性(23)は「欲張りは、何事にも全力で取り組んでいて積極的という意味合いもあると思う」、広島市佐伯区の女性(48)は「こうなりたいと欲張って頑張っている女性はすてき」と寄せた。
そもそも「欲張りなライフスタイルの実現」は、県が2015年10月から県総合計画で掲げ、湯崎英彦知事の「肝いりキーワード」(県幹部)でもある。今回のハンドブックの改訂版のサブタイトルに「欲張り」を残したことに「あれだけ話題になったのに残すとは、よほどの思い入れがあるのでしょう」=広島市安佐南区の市非常勤職員男性(63)=という冷めた見方もあった。
県は改訂案への意見を募るウェブアンケートを8月17日まで実施。その結果も踏まえて今秋に改訂版を作る。「欲張り論争」の行方はいかにー。