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富山マラソン2022の記録 ~サブ4から1年かけてサブ3を掴んだ軌跡~

ちゅんと申します。
今年も富山マラソンを走ってきました。自分にとって2回目のフルマラソン挑戦です。今回はサブスリーを目指してスタートし、なんとかそれを達成することが出来ました。その挑戦の軌跡を記します。

取り組んできたこと

詳しくは前回の記事をご確認いただきたいですが、昨年の初マラソンではジョグとロングジョグの2通りの練習で挑み、結果は3時間50分でした。そこからいきなりサブスリーを目指したわけではありません。しっかりと自分の実力を把握して、少しずつ走力をのばしてきました。

・期分け

富山マラソンは毎年11月第1週日曜日に開催されます。そこから逆算して期分けを行いました。
1~2月:土台作り(ジョグ、ロングジョグ)
3~6月:基礎構築(インターバル、閾値走、ロングジョグ)
7~9月:実戦練習(ミドル走、質の高いロング走、ロングジョグ)
10月:調整練習
11月:レース

他にレースを入れず富山マラソンに集中して、期分けごとにじっくり足りない走力を高めることにしました

・トレーニング内容

トレーニング目的をスタミナ基礎スピードスピード持久力の3点に分けて、それぞれの目的に合致したトレーニングを行いました。

スタミナ練習:ロングジョグ
フルマラソンで後半も足が残るように、毎週末ロングジョグを入れていました。距離は20~35km。月2回は30km以上を走るようにしていました。ペースはキロ5前後の気持ちいいと感じるくらい。この練習は全期間で取り組みました。

基礎スピード練習:1000m×5インターバル、閾値走、5000mT.T.
マラソンの基礎スピード=5000mのタイムだと考えました。そこで5000mのタイム向上につながる練習として、王道の1000×5バルと6km閾値走を水曜日と土曜日あたりに入れました。さらに、月に一回5000mのタイムトライアルを入れることで、実力を確かめるとともにモチベーションアップに繋げました。
スピード練習開始前は、5000mのタイムは21分くらいで全然でした。しかしそれまで全くスピード練習をしていなかったため伸びしろがあったのか、4月に20分切り、5月に19分切り、6月に18分30秒切りまで記録向上。ここまで来るとサブスリーが現実的に見えてきて、目標の上方修正を行いました。

スピード持久力練習:ミドル走、質の高いロング走
基礎練習のスタミナとスピードを掛け合わせる要領で、レースペースより少し早いミドル走(10~20km)と、レースペースより少し遅いロング走(25~35km)で仕上げを行いました。9月に入ってからは、ロング走のペースを徐々に上げていき、最終的にレースペースで30km走+‪α‬を行いました。

レースプラン

今回のレースには、一つだけ大きな懸念事項がありました。スタートブロックです。申告タイムを前年の記録である3時間50分としていたため、かなり後方となるGブロックからのスタートになってしまいました。号砲からスタートまでのロスが1~2分はかかると予想され、スタート直後の混雑もかなりのものになりそうです。サブスリーのペーサーはBブロックスタート。到底追いつけないだろうなあと思いました。
それを踏まえて僕が建てた作戦は以下の通りでした。

① 5kmまではウォーミングアップと割り切る
② ハーフまで4’10/kmで進み、中間地点は90分で通過する
③ 25~35km区間でペースアップ(4’05/km)してペーサーに追いつく
④ ペーサーと集団の力でなんとか失速を最小とし、サブスリーでゴール

スタート~5km区間

気候は快晴。気温は冷え込んでいた。3回目のトイレを済ませ、スタート地点へ。目の前には2000人以上のランナーが待機している。僕は静かに闘志を燃やした。
いよいよ号砲。スタートゲートをくぐるまでちょうど1分くらい。思ったより全然早かった。ランナーの隙間を見つけ、体を半身にしてすりぬけていく。序盤はウォーミングアップのつもりとはいえ、ある程度の無茶は必要だった。1kmの入りは4’47。
ようやく自分のペースが掴めたのは4kmに入ったくらいだったが、あらかじめプランニングしていたおかげで焦りはない。よし、ここから想定通り行くぞ!と気合いを入れたが、ふとある異変に気付く。何か、足の状態がいつもと違っていた。
【ラップ22’24 平均4’29/km】

5~10km区間

足に覚えた違和感。それは前スネへの負荷だった。いつもの練習ではこんな場所に負荷を感じたりはしない。なぜ?どうして?頭の中にクエスチョンマークが並ぶ。
そうしてひとつの答えに思い当たった。スタート前の冷え込みにより筋肉が固まってしまい、いつもの全身を使ったフォームができていないのか?それなのにいつものペースで走ろうとしていて、前スネに負荷のかかる悪いフォームになってしまった。くそっ、ちゃんと事前にウォーミングアップしておくんだった・・・
こんな序盤に足を使っていたら後半どうなるか・・・。考えただけでゾッとする。お尻とハムを使え!僕の頭は指令を飛ばした。だがそう簡単に改善するなら誰も苦労しない。正直焦りでいっぱいだった。
8kmくらいでようやく体が温まったためか、スネの負担を感じなくなり、いつもの体感で走れるようになった。しかし序盤の負担は後を引くのだろうな・・・そんなネガティブな念を必死に振り払い、淡々とペースを刻んだ。
【ラップ20’56 平均4’11/km】

10~15km区間

10km付近から庄川沿いの長い一本道が続く。ここからはしっかり4’10/kmで進んでいくだけだ。大丈夫、足の状態は悪くない。序盤に感じていた焦りも忘れてようやく気持ちよいスタートを切れた思いだった。なるべく脚を休ませるために、ちょうど良いペースのランナーを見つけたかったが、いない。必然的に単独走が続いた。
【ラップ20’43 平均4’08/km】

15km~中間地点

単独走のまま順調にコースを進んでいき、20kmで富山マラソン名物の新湊大橋が姿を見せた。昨年僕の足を破壊してくれたモンスターブリッジのおでましだ。

新湊の巨橋

僕はモンスターに敢然と立ち向かった。作戦はこうだ。できるだけペースを落として足に負担をかけない。むしろ、それしかない!
4’40/kmまでがっつり下げて約1kmの長い坂をのぼった。この日この時のために坂道トレーニングや起伏走もしっかりしてきた。大丈夫だ。辛さはさほど感じなかった。
そして頂点にたどり着く。中間地点通過時のタイムを確認。91分。うっ!予定より1分遅れてる。ここからはしっかり上げなきゃ・・・。弱い心が顔を出してしまった。その隙をモンスターは見逃さなかった。
【ラップ26’07 平均4’17/km】

中間地点~25km区間

遅れを取り戻さなければならない。ただ、橋の下り坂でペースを上げすぎるのは足の売り切れにつながるので、得策ではない。思考は冷静さを保っていた。なるべく足を使わないことに気を配りながら、ペースを抑えて橋を下った。
橋を下り終え、22km給水前でそれは訪れた。ピクピク。ふくらはぎの攣る『予兆』だ。いつか攣ることは覚悟していた。だがそれは『今』じゃない。あまりにも早すぎる・・・。橋の下りで足を使わないようにと思っていたが、逆にブレーキをかけすぎてふくらはぎを使っていたのか?もしくは序盤の負担が響いたか?いずれにしても練習不足だ。
ただ幸いなことにまだ予兆程度に留まっており、完全には攣っていない。本格的に攣るのをできるだけ後回しにするよう、今のペースを保って走り続けるしかなかった。昨年も経験していた、足攣り。そこから失速していった悪いイメージが抜けておらず、今年も正直ダメなのかな、という諦めに近い気持ちが生まれていた。
【ラップ16’11 平均4’08/km】

25~30km区間

26kmでそのときはやってきた。筋肉の強い収縮。右ふくらはぎがついに攣った。おしまいだ…と思った。ペースを確認するために時計を見た。4’10表示だ。
そのとき電撃が走った。確かに足は攣っているが、失速せずそのまま走れている・・・?もちろん強い痛みはある。しかしそれを無視し、全身を使って走れば失速しないことに気付いた。
ここでみなさんに声を大にして言いたい。脚が攣ってもサブスリーペースでは走れる。まるで世紀の大発見をしたようだった。これでノーベル賞は僕のものだ。
次第に右脚の攣りは気にならなくなった。そうすると、今度は左脚が攣った。しかしそれでもペースに影響はない。むしろ、両足とも攣ってバランスが良くなった。このままいけるところまで行く!希望が見えてきた。
【ラップ20’44 平均4’09/km】

30~35km区間

30km通過タイムが2時間8分14秒。少しずつ借金返済できていたがまだ足りない。でもここからずっと4’10ならサブスリーいける!
改めて体の状態を確かめた。ふくらはぎは攣ったり戻ったりを繰り返しているが無視。太もも、問題なし。呼吸、正常の範囲内。両足の裏が剥けてきて痛いがそれも無視。よし、OK!
この頃になると太陽が容赦なく照りつけ、体力と水分が奪われた。僕は全ての給水所でスポーツドリンクを飲み、水を体にぶっかけ続けた。ただ、給水などで減速加速をすると攣りがひどくなり、さすがにつらくなる。そんなときは誰かの後ろについて、しばらく休憩させてもらってからまた走るのを繰り返した。
ところで僕はずっとペーサーの姿を探しながら走っていたが、影も形も見つからなかった。どれだけ余裕を持って走ってるんだ?でももう少しできっと追いつくはず。そう信じて走った。
もう少し、もう少し・・・。
【ラップ20’51 平均4’10/km】

35km~ラスト

体の至るところが悲鳴をあげていた。ただ、周りを見るとみんなつらそうだ。歩いてる人もちらほらいる。つらいのはみんな一緒だ。そう思うと力が湧き上がった。脚はもちろん痛くて仕方ないが、壊れられるもんなら壊れてみろと思った。マラソンは最後は自分との戦いというが、こういうことかと思った。
40km地点。黄色いシャツと風船が見えた。ペーサーだ!架空の存在かと思ってた。本当に実在したんだと思った。いける!本当にいける!自分の中で初めて確信が生まれた。ようやく追いついたのは41km地点。安心したのも束の間、レースはもう最終局面に差し掛かっている。休んでいる暇は無い。3’50まであげて本当のラストスパート。まだこんな力が残っていたのかと自分でも驚いた。
ゴールの少し手前に、応援してくれている妻の姿が見えた。僕は三本指を天にかざして吠えた。
よっしゃサブスリー行くぞ!!!
全ての努力が報われたウイニングロードになった。

笑顔でゴール!(黄色いの)


記録2:58’25 (ネット2:57’16)

総評

最後に、良かった点悪かった点を振り返って終わりにします。
ラップ表示を見返すと、前半より後半の方が早いネガティブスプリットになっており、プラン通り。序盤と橋のロス以外は、イーブンペースが維持できたと思います。プランではもっと後半上げたかったのですが、それは叶いませんでした。ただ、30kmの壁を感じずに最後まで巡航できたのは、日々のロングジョグの積み重ねあってこそだと思っています
また、PBを50分以上更新し、サブスリー達成したという結果については素直に大満足です。

反省点もありました。ウォー厶アップの必要性、下りのフォーム改善などなど。特にふくらはぎの早すぎる攣りは筋持久力不足と反省していて、記録をのばすためには徹底した筋力強化が必要と思いました。あまり取り組まなかった下半身の補強も含めて、今後改善していけたらと思っています。
マラソンは経験が大きな力になるスポーツです。今回の経験を活かして、さらなるステージにステップアップしていきたいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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