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世間知らずの起業物語 その20

プログラミング研修で退職届?とよく分からない状況を管理部に感じながらも、その一方でO&Mチームは忙しい状況の日々を送っていた。日々の発電所の監視業務に追われていたのだ。


銀行引き落としの謎

グループで販売した発電所は、20年間のメンテナンスパックを提供している。
年間2回の草刈りと、3ヶ月ごとの機器の保守、そして、発電所が止まった時の再稼働対応だ。

日々、監視システムで発電所の状況を確認するとともに、O&Mチームには異常があった発電所情報がメールで通知されることになっている。

太陽光発電所の遠隔監視サービスは、数社の大手企業が提供しているのだが、監視の間隔が長く、発電が停止した時点から約2時間後、しかも、1時間に1度だけの通知がくるだけであった。

だから、昼過ぎに止まった発電所を検知できるのは、夕方となってしまい、再稼働させるにも最短で翌日となってしまうのだ。
業者の都合によっては、数日かかることも当たり前のようにある状況だった。

その監視間隔を短くし、5分ごとに10分後に通知するように自社の監視システムを開発した。
監視間隔が短くなるということは、発電所が止まっている時間が短くなることと同じで、結果、発電量も減らず、お客様の売電収入も減る分が少なくなる。

そんな監視システムの提供を含めたメンテナンスサービスをお客様に提供しているのだが、その費用が毎月お客様の口座から引き落とされていたのだった。
ただ、ある地方銀行のサービスを使ってメンテナンス費用の引き落としを行っていたが、これが使い勝手がとても悪かった。お客様の情報の変更に2ヶ月かかったりその上、変更できるタイミングが特定の短い期間しかなく、とても使いづらい状況であった。

そのため、管理部の武藤さんと、O&Mチームのリーダーである竹山さんで、収納代行サービスへの移行を検討していたのだ。

引き落とし

僕:『竹山さん、収納サービスの件どうなった?』

執務室でPCに向かって、なにやら忙しそうにしている竹山さんに声をかけた。

竹山:「いえ、それが・・・」

販売対応の山田に対して、竹山さんんと武藤さんが、収納サービス変更の打ち合わせをお願いしていた。

僕も出席しようと考えていたが、これまで山田がやっていた業務を、僕が変更しようとすることに、山田が拒否感を覚えるのではないか?ということで、3人で話し合い、出席しないことにしていた。

竹山:「ダメでした(笑)」

僕:『え???なんで?』

竹山:「山田さんに、勝手に今までのやり方変えるな、って言われました。」

僕:『え????でも、銀行のシステム使ってたら、口座変更も時間かかるし、社内の業務も煩雑じゃない?変えることになんもデメリットないし、むしろ、ミスも減るから良いことづくめじゃない?????』

数ヶ月前、山田から竹山さんが収納関連の業務を引き継いだ。
O&Mのリーダーであった山田が対応していたが、僕にリーダーが変わったタイミングで竹山さんが担当として対応することになっていた。

収納情報はO&Mチームから管理部の武藤さんに共有し、実際に銀行にオンラインで登録をするのだが・・・。引き継いだ直後のタイミングで、お客様からメンテナンス費用を2重で引き落とされてしまうことがあったのだ。

銀行の手続きのタイミングとオンライン登録のタイミングがうまく合わなかったのだ。

竹山さんは、山田の引き継ぎ通り対応していたし、山田も当然問題ない作業と考えていた結果だったので、その時はお咎めなしだった。ただ、このまま、同じ銀行のサービスを利用することは、煩雑な業務で、かつ、ミスが起こりやすいことは、山田も理解しているはずだった。

竹山:「山田さんからは、O&Mチームと管理部でダブルチェックをしっかりやれば大丈夫だから、勝手に変えなくていい。って言われました。残念ですけど、仕方ないです。」

僕:『やっぱり、私が指示したと思っているのかな?』

竹山:「いえ、そいういうことでもないと思いますが・・・」

と、その言葉に続く「そうかもしれません。」と呟く竹山さんの心の中の言葉を感じながら、簡単な業務改善にも横槍が入ってしまうことに、やりきれない気持ちでいっぱいになった。

つづく

※この物語はフィクションです
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