借りパク奇譚(16)
"特殊な状況"? 確かにどの参加者の話もいささか奇妙ではあったが。ただ「偶然という名の必然」。その言葉には言い知れぬ説得力があった。それが声質なのか、トーンなのか、響きなのかわからない。ただ、その言葉がおれの胸に静かに浸透していった。
「いったん、話し合いはここまでとします。皆の話を聞いて各々考えを巡らせたこと、それが何よりも重要です。私が先ほど問いました、返したいと思うか、思わないか、それに正解はありません。答えはそれぞれが育んで下さい。ただ、『懺悔の門』の門番だからこそ