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【中編小説】借りパク奇譚

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【あらすじ】 過去の "借りパク"の罪を懺悔し、みそぎができる寺、俗称「借りパク寺」。 友人の山田に連れられ、寺にやって来たおれ。謎の坊さん「亮潤」の登場後、現実は「ひずみ」、「… もっと読む
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記事一覧

借りパク奇譚(22)

「ええ、もちろん」 クールに返事をするも、おれは自分の胸の鼓動が大きくなっていくのを感じ…

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借りパク奇譚(21)

思考の途中、亮潤が切り込んでくる。また時間奪いの話か。 「……酒を飲んで眠くなるのは誰に…

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借りパク奇譚(20)

「本日はお休みのところ、ご苦労様でした。東京から3時間ですか。遠路遥々、ありがとうござい…

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借りパク奇譚(19)

かつてこれほど旨い水を飲んだことがあっただろうか、いや、ない。 ポチが用意してくれた寺の…

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借りパク奇譚(18)

「はらい、整いましたので、次は表現し、創造しましょう」 亮潤の言葉を受け、ポチが再び皆に…

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借りパク奇譚(17)

「さて、皆様は無事、"懺悔の門" をくぐられました。一見今までとなんら変わらいように思える…

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借りパク奇譚(16)

"特殊な状況"? 確かにどの参加者の話もいささか奇妙ではあったが。ただ「偶然という名の必然」。その言葉には言い知れぬ説得力があった。それが声質なのか、トーンなのか、響きなのかわからない。ただ、その言葉がおれの胸に静かに浸透していった。 「いったん、話し合いはここまでとします。皆の話を聞いて各々考えを巡らせたこと、それが何よりも重要です。私が先ほど問いました、返したいと思うか、思わないか、それに正解はありません。答えはそれぞれが育んで下さい。ただ、『懺悔の門』の門番だからこそ

借りパク奇譚(15)

極め付けは今の奥さんです。彼女と付き合い始めた頃、僕はまさに例のタイヤをつけた車に乗って…

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借りパク奇譚(14)

「すみません。自分の時間が増えるという感覚がいまいちピンとこなかったんですが、それはどん…

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借りパク奇譚(13)

3日後、私は初めてそのバイトをしました。そして結果、自分の時間が増えるという体験をしまし…

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借りパク奇譚(12)

「過去、人生の中でどうしても時間が必要な時期がありました。時間がいくらあっても足りない。…

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借りパク奇譚(11)

もっとロマンチックな言い方ができなかったものか。ただ、その時口から出た言葉はそれだった。…

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借りパク奇譚(10)

その日、山田は仕事終わりに神宮球場の前で柳田を待っていた。一体、柳田が今日は誰を連れてく…

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借りパク奇譚(9)

「不謹慎かもしれませんが、僕はやっぱりカンバルさんの話にすごく興味があって、次、カンバルさんの話を聞いてもいいですか?」とボンネが今度は山田に話を振る。 "ボンネ" ナイス! おれは心の中で叫ぶ。人を借りパクしたという、冗談にしてもきわどすぎる話。内容次第では山田との友情は終わりだ。正直おれには山田に話を促す勇気がなかった。 「えっ、はい。でも、つまらない話ですよ」と無駄に謙遜する『ケンソルジャン』。 大丈夫、つまらないことなどあり得ない。おそらくここにいる誰もが聞きた