見出し画像

能楽堂につれてって 〜はじめに

僕は、能楽(能と狂言)に魅せられている、このあたりの者でございます。つまりごくふつうの男です(ふつうの男は能楽に夢中にはならないなんて言わないでください)。専門家でも研究者でも、ことさら詳しいわけでもありません。ただ、「かっこいいな〜。もう少しのぞいてみよう」と興味を持っているだけです。

そんな僕が無謀にも能楽について書いてみようと思ったきっかけは、これほど素晴らしい世界なのに、共感してくれる人が周りにいないからです。出来ればたくさんの人と、この魅力を共有したいと思ったのです。

ところが、ただでさえ分かりにくい能楽なのに、入門書のほとんどは「好きになった人」が手に取ることを想定して至極丁寧に解説されているため、関心を持った人の流入ハードルを下げることにはなっておらず、むしろ「やっぱ難しそうだな〜。そんな深い内容だったかのか、ぜ〜んぜん分かんなかったわ」を助長していると感じます。そりゃそうです。能楽についてきちんと書くには、それなりの人でなければ書けないからです。

そこで、ド素人の僕が、無責任に書くことを思い立ちました。好きになったばかりの無知なる興奮が冷めないうちに、どんなところが面白いと感じたのかミーハー感覚満載で記しておくのは、お誘いする上では意味があると思ったのです。

「このあたりの者でござる」というのは、狂言の演目で最初に発せられることの多い台詞です。言葉通りでは「この辺りに住んでいる者です」ということだと思いますが、これを高らかに言うことで、演者と観ている人が同じ世界、時間、物語を共有していくきっかけとして機能している面があるようです。僕もみなさんも同じ21世紀に生きる人間です。断片でも読んでいただければ、少しは能楽に興味を持っていただけるかもしれません。出来るだけ(嘘は書かない範囲で)、面白そうに紹介しますので、ちょっと耳をお傾けください。また、能楽師の方、専門家の方、愛好家の方は、「なんと浅はかな捉え方よ」ということにもなりかねませんので、一刻も早く記事か目を閉じてください。

一人でも多くの仲間が増えますように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?