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総選挙どうなる 争点からの分析

〇2021年10月19日公示され、31日投開票となった衆院選挙。野党共闘が進んで、政権選択選挙と言われ、国民にとってはコロナ禍で政治の大切さを思い知った後初めて民意を示す大切な選挙です。そこで、公示の翌日の10月20日の新聞各紙(朝日、毎日、読売、日経、東京)を参考にしながら、私の考える今度の選挙の争点を説明するとともに、その争点の分析から見た、選挙の結果を占ってみましょう。

〇今度の選挙の争点は大きく分けて4つあると私は考えますが、その争点の第一はコロナ対策です。菅前首相が自民党総裁選に立候補できず、首相退陣を余儀なくされたのは、今年前半コロナ感染者が急増し、国民が政府のコロナ対策を納得しなかったためです。コロナ問題は一内閣を戦わずして吹っ飛ばすような力を秘めており、決して軽視できるものではありません。ところがなぜか、菅前首相退陣決定と軌を一にするように、コロナの新規感染者が激減しました。

〇コロナ対策はコロナ禍で打撃を受けた人々への経済的救済の問題と感染拡大防止の問題に分けられますが、救済問題では与野党とも打撃の大きい層や子供に対する現金給付や減税などのバラマキとも言える大同小異の対策を訴えています。また感染対策では政府の司令塔強化が複数の党の公約となっています。しかし、コロナ新規感染者数の激減で国民の緊張感の低下は覆えず(ずっと緊張してはいられませんよね)、そうした気分の反映でもあるのか、朝日の10月19,20日に行った世論調査では、新規コロナウイルスをめぐるこれまでの政府対応は「評価する」が51%で、「評価しない」の38%より多かった。「評価する」が上回ったのは昨年11月以来だといいます。

〇コロナ対策問題はこれまで圧倒的に野党側に有利に働いていました。しかし、この時点、選挙への影響という意味では、五分五分ではないでしょうか。
 
〇次の争点は経済政策です。朝日〈10月20日〉は、総選挙の公示を伝える1面で、「30年増えぬ賃金 日本22位(経済協力開発機構=OECD加盟35ヵ国中で)」と改めて大きな見出しで伝えました。「(賃金の)上昇率は4.4% 米47% 英44%(増)」というサブ見出しも添えて。まさにこの日本経済の信じられないような低成長が問題なのです。また同日の毎日は、「ばら蒔き一色 日本大丈夫?」「各党の経済政策財源論伴わず」として、国債頼りの各党の経済政策を厳しく批判しています。「分配か」、「成長か」の抽象論に終始している与野党の経済政策は、引き分けというより、両者とも負け、です。
〇三つ目の争点は、民主主義の問題。わかりやすく言うと、安倍・菅政権の評価です。安倍・菅政権は国民へ丁寧な説明を怠り、事実を隠し、私的なつながりの利益を図り、強権的な政治手法を取ったと批判を受けました。この問題で、新聞の「姿勢」まで明らかにする、極めて分かりやすい見出しがあります。いずれも10月20日のもので、今度の選挙の意義について、朝日は「岸田・菅・安倍政権に審判」、毎日は「安倍・菅・岸田政権に審判」と、全く同じです。これに対して同日の読売は「岸田政権の信任問う」。

〇これを読み比べて、つい、笑ってしまいました。読売さん、安倍さんと菅さんから、国民の評価を知る貴重な機会を奪うつもりですか。二人とも、首相はやめても政治家はやめていませんし、首相への再登板の意欲がある、とささやかれているのに。また、今度の選挙を岸田さんだけの審判だとするのもいかがなものでしょうか。岸田さんは、まだ何もしていませんよ。むしろ安倍・菅政権の亜流の政権のようだから、そのことから判断して、選挙に臨もう、としている選挙民が多いのでしょうに。
 この問題では、野党側の勝ち、でしょう。

〇最後は、防衛の問題です。政府は19日、北朝鮮が同日10時15、16分ごろ、弾道ミサイル2発を同国東部から、日本海に向け立て続けに発射したと発表しました。岸防衛相の発表によると、そのうち1発は約600キロを変則軌道で飛翔し、日本の排他的経済水域外に落下したと推定されるという。
これを受けて日本の危機管理問題とともに、首相官邸の危機管理問題も出てきました。ミサイル発射の方の時点で、首相と官房長官がともに選挙活動中で、官邸をあけていたというのです。これは批判的に報道されましたが、この「失点」が選挙で自民党側に大きなマイナスになるでしょうか。

〇私はそうならないと思います。むしろ、北朝鮮のミサイルの危機は、危機管理を経験の少ない野党に任せられるか、という問題となり、自民党側にとってプラスの要素になる。以上、4つの争点は引き分け2、与野党1勝づつでトータル引き分けです。

〇朝日の21日の紙面の世論調査では自民党中心の政権が良いが46%、立憲民主党中心の政官が良い、が22%と出ており、かなりの差です。しかし、私の勘では、各選挙区での釈烈なつばぜり合いの結果、世論調査よりも接戦になるという感じがします。##

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