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CIALという名前の意味

言葉と向き合う中で常に気にかけているのは「差異」です。

言葉を選びとるときに、それが意味する「概念」は自分が表現したいことを正確に伝えるのに適切だろうか、と考える。

そこにズレを感じるのであれば選び直す。
何度も選び直して、選びきれなかったら自分でつくってしまえばいい。

「CIAL」という名前もこうして生まれました。

意味のない言葉をえらぶ

「私たちはどう、ここからあるのだろう」

私たちのチームに名前をつけるにあたっては、そんな問いが起点となりました。

どのようなことを考え、何を行い、何に喜びを感じ、何を成し遂げるための集まりなのか。

私たちはそもそも何なのだろう。

コミュニケーションのために生まれた言葉は、話し言葉であれ書き言葉であれ、人が何かを伝えたいと思ったときにいちばん身近な存在です。

人は言葉にすることで、ものごとの概念を定義し、理解し、既知化したうえで、思考や日常生活の中にそれを取り入れていくのだと思います。

じゃあ私たちという概念は何なのだろう。
その答えは考えれば考えるほど分からない。

常に更新されていく私たちの思考や取り組む領域を表すのにしっくりくる言葉を、すでに定義されたものの中からを選びとることができない。

それならば、私たち自身がすでに存在している、理解されている概念に追いつこうとするのではなく、この世にない言葉を選び、その意味を私たち自身でつくってしまう、さらには私たちのことを見てくれた人たちにその印象をつくってもらえばいいんじゃないか、と考えました。

これが「私たちらしい名前をつける」という遊びであり、挑戦のはじまりです。

名前のつけ方

じゃあ、まだ存在していない言葉をつくるにはどうしたらいいのだろう?

まず考えたのが、封筒に入れたアルファベット全26文字から、ランダムに取り出した4文字を順に並べて言葉をつくるという試みです。

やってみて分かったのは、取り出した文字を1回ごとに封筒に戻すか、文字が重複したときはどうするかを決める場合に、どうしても意思が介在してしまうこと。

存在していない言葉をつくるという遊びにおいてそれはできるだけ避けたかった。

次に試したのが、コンピューター上で完全にランダムな文字列を生成するプログラムを書き、以下の3つの条件を課したうえで言葉を選ぶ、という方法です。

・グローバルに、誰でも大きく違わない発音をすることができること
・1秒以内に誰でも認識することができること
・意味の制約が強くかからないこと

この方法を試してみて気づいたことは、この3つの条件を満たす単語が意外に出てこないということ。

そもそも読む、発音することができる単語が10個にひとつくらいしかなく、存在していない単語であったとしても意味の制約がかかってしまうことが多い。

例えば、いちばん最初に出たなんとか読める単語の「BYKO」。

バイコ、と口に出してみると、頭に浮かぶイメージは自転車のシェアリングサービスだったり。

意味がないはずなのに、文字列や音自体の持つイメージがある。1単語を選びとるのに、最終的には1万語くらい新しい言葉をつくりました。

そして、最終候補に残ったいくつかの言葉から、もっとも「ピュア」で「澄んだ」印象を持っている言葉、いちばん透明に近かったのが「CIAL」でした。

名前をつけてみて

試行錯誤を経て、CIALという言葉が生まれ、それを選びとってから、不確かだった私たちの輪郭は少しずつ、でもくっきりと形を取りはじめていると思います。

もっと良い状態があるんじゃないか、いつもそう思い込み続けていることができている状態。

ただとても「CIALらしい」。

私たちたちがやっていること、想っていること、やろうとしていること、全てがCIALらしいと感じています。

何かに追いつこうとするのではなく、私たち自身を発見して、掘り起こそうとしている。そんな感覚です。

▽ CIALについてはこちらをご覧ください。


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