高矢 色

古の四季箱推し民による書きもの。ありのままで生きているので愛した日々に悔いはない。 あ…

高矢 色

古の四季箱推し民による書きもの。ありのままで生きているので愛した日々に悔いはない。 あわよくば感想文書いて百万円貰いながら生きていきたい強欲な生き物。  Bluesky→@cicacica.bsky.social

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プロのモブ観客でありたいという話

プロのモブ観客でありたい。 私の定義するプロのモブ観客とは、舞台の上の演者さん、裏方さん、スタッフさん、周りのお客さんにめちゃ感じよく映り、セットの一部になることである。大丈夫?伝わってる? こう思うのには昔の実体験が関係している。 まだ学生だった頃。 とあるソロアーティストのことが大好きで、行ける限りライブを見に行っていた。 だいたい小さなライブハウスで基本的に自由席だったので私は後ろの方のテーブル席でその人が幸せそうにピアノを弾きながら歌うのを毎回楽しく見ていた。

    • 映画パプリカを見た、という話

      数年前に突如ハマった平沢進で知った映画『パプリカ』をレンタルしてようやく見た。 公開されて随分経つ作品なので見る前からネタバレも情報も色々目にしてからの鑑賞だったが、見終わってまず思ったのが監督が亡くなってしまったのが本当に惜しい、ということ。もっと作品が見たかったなぁとつくづく思った。 このセンスがもうこの世にないのが本当に悔しい。私の余命を全部差し上げるので甦らせてほしいくらいである。 見る前はトリッキーで複雑な印象を受けていたがいざ見ればすぐに引き込まれて時間を感じ

      • JCSと駆け込み訴えの話

        ジーザス・クライスト=スーパースターというミュージカルがとても好きだ。何か奇跡が起きて「一回だけ好きなミュージカルで好きな役をやらせてあげる」と言われたら「じゃあJCSのシモンやらせてください!シモン!」と即答するくらい好きだ。いや、アンサンブルでも構わないし、もう携われるなら何でもいい。それくらいこのミュージカルが好きだ。 ファンをしてJCSと略されがちなこのミュージカル、太宰治の「駆け込み訴えによく似ている」という話をちょこちょこ聞く。「申し上げます。申し上げます。旦那

        • ラウルって余計なことしかしなくない?という話

          オペラ座の怪人といえば泣く子も黙るミュージカルの金字塔である。 いや、たぶん実際見たら泣く子は泣くんだけど。急に大きい音とかするし。 ブロードウェイではロングランに終止符を打ったが日本ではまだ続いている。ファンも多い。ありがたいことである。私も若い頃は足繁く通った演目である。 ところでこのミュージカルに出てくるクリスティーヌの恋人役、はたまたファントムの恋敵であるラウル・シャニュイ子爵、本当に余計なことしかしない奴だと常々思っている。 ロイヤルイケメンで育ちが良く、正義感も

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        プロのモブ観客でありたいという話

          リア王めちゃむずい、という話

          リア王を読んだ。家に鈍器のようなシェイクスピア全集があるが持ち運びに便利な文庫本を購入して読んだ。 これ全部めちゃむずいな、というのが率直な感想である。 そもそも全然名前が覚えられない。三姉妹はかろうじて覚えた。エドガーとエドマンドがすぐごっちゃになってしまう。なんで二人ともエドで始まるの?やめな?どっちかアドとかにしたらいい。いや、よくない。 エドガーといえば序盤は正統派ボンボンだなもうちょっと危機感を持ちな?と思いながら読んでいたのだが、中盤以降の活躍っぷりがすごい

          リア王めちゃむずい、という話

          何故舞台を見ているのか、という話

          「ミュージカルを見るお客様はハッピーエンドを求めている方が多い」 ある舞台俳優さんがイベントで話していた。 言われてみたら私は自分が何故観劇が好きなのか全然考えたことがない。 物語に触れるなら舞台に限らなくても色々なコンテンツがある。本や、映像媒体。細分化すれば小説だったりアニメだったり、ボイスCDなんてのもある。 それぞれいいところはあるし、大好きな作品もあるけれど、ダントツで舞台が好きだ。ミュージカルとストプレは同じくらい好きなので私はミュージカルファンというよりは観劇

          何故舞台を見ているのか、という話

          幸せと紐ついている、という話

          若い頃は見た舞台のパンフはもれなく買うもの、という常識のもとで生きていたので、一番観劇回数の多いキャッツは小首を傾げるくらい何冊かある。劇場でわざわざスタッフさんが「新版です」とアナウンスして売ってくれるのだからそりゃあ買う。買っちゃう。増えちゃう。 とはいえ今の私からしてもいい趣味だと思うので若い頃の私にブラボー!と拍手を送りたい。 表紙違いでも中の写真は大体同じだったり、かと思えば追補でキャストさんが挟まっていたりと、その頃を色々思い出せて楽しい。過去に臨場感がある。

          幸せと紐ついている、という話

          スラムダンクの映画を見た話

          戯れに映画スラダンをレンタルしてきた。 ドンピシャ世代だし評判がすごく良かったので公開中に観に行きたかったが行かなかったということはそこまでの情熱がなかったということでレンタルで見るのが妥当だったのだろう。 で、見た結果すごく良かった。 もうホント良かった。 漫画を全巻読んだので山王戦については知っていたはずなのにそれでも見入ってしまったし実際の試合を見ているくらいのテンションで見てしまった。 もうとにかく構図がいい。作者の井上雄彦氏が監督をしただけのことがある。見たい場

          スラムダンクの映画を見た話

          風立ちぬを見たと言う話

          ジブリの風立ちぬをレンタルしてきた。 ジブリはなんというか、芳醇でふくよかだなぁといつも思う。こう、手触りがふんわりしているというか。 風立ちぬは戦争にまつわるパートでそこにカッターの刃みたいな鋭いところも感じられて良かった。 あと時の流れ等の場面転換がスムーズで上手い。不要な台詞回しがないのもいい。全体的な無駄のなさがお見事。余白はあるのに無駄がないからふくよかに感じるのだろう。 二郎の夢パートがおそらくは内面を伝えるための場面なのだと思うのだけど舞台の整え方が綺麗。憧れ

          風立ちぬを見たと言う話

          人間と怪物、どこに違いがあるのだろうという話

          四季のミュージカル、ノートルダムの鐘を観劇して随分経つ。 ディズニーミュージカルと銘打ってはあるがその内容は原作に近く、アニメ映画化されたそれとはだいぶ筋が違う。エスメラルダがちゃんと死ぬ。内容が複雑なので冗長な印象を受けたことは否めないがそれでも素晴らしかった。サラッとネタバレしたけど大丈夫? 兎にも角にもセットがいい。シンプルでありながら情景が分かりやすく、場面転換がスムーズなので興が削がれることがない。 カメラが動くような二次元的な見せ方の演出があるのも面白い。三次

          人間と怪物、どこに違いがあるのだろうという話

          美女と野獣のストーリーなど私が考えてはいけないという話

          美女と野獣が新演出になって観客をガンガン感動させているらしい。観たい。私もガンガン感動してボロボロ泣いてバスタオルをびしょびしょにしたい。泣きすぎじゃない? 美女と野獣を最後に見たのはまだ20世紀だった気がする。世紀が違うとか嘘みたいでしょうが当方、改元も2回経験してるんで。時代の生き証人なんで。とかちょっと誇らしげに言ってみたりして。 閑話休題。 なのでもちろん初演から続く旧演出を見ているのだが、それは本当におとぎ話の絵本をそのままミュージカルにしたような作品だった。

          美女と野獣のストーリーなど私が考えてはいけないという話

          マンカストラップ突然歌うやん、という話

          キャッツばっかり見ているのでキャッツの話ばかりしてしまう。CDも新旧国問わず聴いてしまう。ここ最近キャッツだらけ。この人生は夢だらけ。 ところで新演出からランパスのナンバーが追加された。初演まもなく姿を消したあの喧嘩猫のナンバーだ。 最初こそ突然の青い猫に「青て…マントて…」と動揺したが慣れた今、ランパスキャットは好きなナンバーのひとつである。まぁ全部好きなナンバーなんだけどねキャッツ。 しかし慣れてくると新たに気になるところが出てくるものである。 同じく新演出に慣れてき

          マンカストラップ突然歌うやん、という話

          結局ハムレットはいいという話

          人生初シェイクスピアがハムレットだったのでハムレットが好きだ。 最初に触れたものには無条件に懐く、雛鳥理論である。 シェイクスピアの戯曲はいい。何がいいって登場人物ほぼ全員に名前がついている。「この人、名前、要る?」という人にまで名前がついている。全然覚えられない。 そしてべらべら喋る。長台詞というボリュームではない。半ページくらい平気で喋る。全然覚えられない。 一人喋ると関係性とか記憶から飛ぶので読み終わるまでずっと人物紹介ページを見る羽目になる。リア王なんて絶望的だった

          結局ハムレットはいいという話

          冒険には挑めるかという話

          先日、およそ20年ぶりに劇団四季のキャッツを見た。 2018年の大改変後、初の観劇である。 子育て等あって観劇からは少し距離を置いた生活が長かったが元々劇団四季箱推し、キャッツは好きな演目だ。 人生初観劇が志村幸美氏、ヘビロテ期が坂本泰子氏のグリザという中年の四季オタである。 なので久しぶりのキャッツにワクワクして見たわけだが、思いの外変わっていて初観劇時にはジェニエニドッツのタップシーンの曲が変わっていることを咀嚼しているうちに一幕目が終わった。追い打ちをかけるように小

          冒険には挑めるかという話