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ジブチ人にバカにされた話3選

2003-2006年にアフリカのジブチ共和国で暮らしたアリアリ♡香田有絵です。

ジブチ人の、特に男性にはよそ者をばかにする風潮があります。
本気であざ笑うというのでなく、「おまえの母ちゃんでべそ」的な子供っぽさ(今はこんなことをいう子供はいないかもしれませんが、昭和時代にはいたんですよ)。

そして、自分がバカにされると、すぐしょげるという可愛さもあります。

今日はわたしがバカにされた話3選をご紹介します。

その1)英語話せる?

あるとき、若者に声をかけられました。

若者:「Are you speak English?」(彼がこの通りに言いました)
わたし:(言いたいことはわかるから)「Yes.」
若者:「Parfait(パッフェ)?」 (あれ、もうフランス語?)
わたし:(「完璧に?」って聞きたいのね。日本人の習性で完璧ではないからと)「No.」
若者:「ハン!」(思い切りばかにしてきました)

こういうとき、みなさんならどうされますか?
本気で怒るほどのことではないですけれど、バカにされたままでは終わりたくないと思いませんか?
わたしより英語を話せない若者にバカにされたままでいいのか。

無視してもいいですけれど、ちょっと言い返してみることにしました。

わたし:「あなたは完璧に英語が話せるの?(Peux-tu parler l’anglais parfaitement?)」
若者:(思い切り首をうなだれてがっくりと)No-----n。(そしてあろうことか)「ごめんなさい」(Je suis desolé)。

意外に素直でした。
そんなにしょげるくらいなら、最初から人をバカにしなければいいのに。
勝ったら相手をバカにでき、負けたらしょげるゲームみたいです。

腹の立つこともあるけれど、ジブチ人は人を緊張させることのない人たち。気楽に付き合える良さがあります。

その2)アリババ!

「アリババと40人の山賊」という話をご存じでしょうか。
この場合アリババは良い人で、40人の山賊が泥棒なのですが、ジブチではアリババが中国人の泥棒と言う認識になっていました。

なので、ときおりアジア人であるわたしにも「アリババ!」と侮蔑してくる人がいるのです。
冷静に考えたらアリババは良い人なので、話を知っているわたしがアリババと呼ばれて機嫌を損ねることではないのですが、言い方が気に入らない。
侮蔑されるのは気分のよいものではありません。

ある日スーパーの前で、若い男の子に「アリババ!」と言われました。

またか。無視してもよかったのですが、そのときはスーパーに入る寸前。
被害もないだろうとその子に向き合い
「あー、あなたアリババっていう名前なのね。わかったわ。こんにちはアリババさん」
と言い放って返事を待たず、スーパーに入りました。

「言い返してやった!」と気分すっきり。

でもよく考えたらそれで終わるはずはありません。
ガラス張りのショーウィンドーから外を見ると、その子がスーパーの外でわたしを待ち伏せしているようなのです。

仕返しするつもり?
やり過ぎたかしら。

恐がっていても問題は解決しません。スーパーにずっと隠れているわけにもいかないですよね。
人通りはあるし、なにかあったら周りに助けを呼べばいいか。
すぐにタクシーに乗って帰るという手もある。覚悟を決めて買い物した後すぐ外に出ることにしました。

男の子は入り口にいます。
そしてわたしに言ってきました。
怒るのかと思ったら傷ついたようなしょぼんとした話し方で。

「ぼくの名前はアリババじゃない」

思わず笑ってしまいました。
しょげることないじゃないの。
こちらをバカにしたくせに、自分がバカにされると怒るのでなくしょげてしまう。やっぱり可愛いですよね。

わたし「そう、じゃああなたは何という名前なの?」
男の子「ムハメッド」
わたし「そうなの、ムハメッド。わたしもアリババという名前じゃないわよ」
男の子「知ってる」
わたし「じゃあもう、そう呼ばないでね」
男の子「わかった」

仲直りしてちょっと気分がよかったので、そして注目されたから気をつけようと、その日はやっぱりタクシーに乗って帰りました。

ジブチの夏は暑いですからね。
世界で一番暑い国。午後には55℃になることもあります(百葉箱の中がです)。

あの暑さの中、よくジブチ人に交じってミニバスにも乗っていたなあと懐かしく思います。

その3)おつり

買い物に行った時のことです。
お店でおつりを大きなお金でもらうために、例えば700円の買い物に1200円出すような形でお金を払うことありますよね。

あるとき大きなお店で、そういうやり方で支払おうとしました。

そうしたら、レジのおじいちゃんがこちらを憐れむようなバカにするような態度で「おまえ、700Fは1000Fより小さいだろ。1200Fも出すなんて、なんてバカなんだ。お前の国では算数を学ばないのか」と言うのです。

ちょっと腹は立ちました。バカにされるのは気持ちのよいものではありません。
でもその時は、さすがのわたしも言い返せませんでした。

その計算や考えを教えるには、おじいちゃんは手遅れかもしれないととっさに思ったからです。

彼は計算ができると誇りを持ってレジに立っているのです。
言い返してはいけない気がしました。

このわたしの態度が相手を尊重したことになるのか、あるいはバカにしたことになるのか、微妙ですね。
でもわたしだって聖人君子ではない。
そのときの自分にとって良いと思う方法をとります。

1人ではなかったので、同行の彼と顔を見合わせ、しょうがないね、と200Fを引き取り、おつりの300Fをもらいました。

あれ、もしかしたら彼の前だから言い返さなかったのかも?偽善者?

まあいろいろあります。

世界にはいろいろな価値観、生き方があります。
ジブチ人のこういう一面、いかがでしょうか。

日本にいるだけでは引き出されることのない、自分も知らない自分を引き出されるところも、外国に住む魅力の一つです。

日本の中でも地方が変わると違いますよね。その幅がより大きい感じ。

それにしてもジブチ、楽しい国でした。
またその思い出を書きたいです。





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