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祝!バリアフリーPROJECT成功! 民宿「唐桑御殿つなかん」訪問記 ◯『ただいま、つなかん』3/12迄上映中!

なんと先日、1泊2日でつなかんを訪問してきました!
その様子を少しレポートさせていただきます。

文:柴田 笙

本作は、宮城県気仙沼市唐桑半島・鮪立(しびたち)にある民宿「つなかん」を巡るドキュメンタリー。
間も無く2/29よりチュプキでの上映が始まります。
震災時の学生ボランティアからはじまり、当時学生だった彼/彼女らが土地や人とつながっていく様子が映されるのですが、
本作のバリアフリー化には、つなかんを巡る今の学生さんたちの新しいストーリーがあります。
日本財団ボランティアセンターさんのもと、学生さんたちと共に音声ガイドとバリアフリー日本語字幕が制作されたのです!

バリアフリー日本語字幕は日本映像翻訳アカデミーさんが協力。チュプキは音声ガイドチームにご協力させていただきました。
プロジェクトについてはこちらの記事もご一読ください↓
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000098085.html

● 日本財団ボラセン 日本語字幕・音声ガイド制作ボランティア! 映画バリアフリーPROJECT
運営協力:橋本一郎氏
音声ガイド チーム:協力チュプキ、モニター/QC 石井健介氏
バリアフリー日本語字幕 チーム:協力  JVTA 日本映像翻訳アカデミー、モニター/QC 高畑寿延(としゆき)氏

学生さんたちと映画をみつめて歩んだ数ヶ月間はとっても刺激的でした。
そして、映画を通して、音声ガイドや字幕を通して人と繋がっていくことのパワーを確信しています。。!


さて、本題のつなかん訪問のレポートに入ります。
東京から新幹線で仙台へ。まずは気仙沼市「海の市」を観光しました。
風の吹く気仙沼に雪が積もることは珍しいそうで、今回の旅では特に特別な景色を堪能することができました。
映画にも協力されている岡本製氷さんの「氷の水族館」や、市場に並ぶ魚、「おかえりモネ」展など、
広い施設内には賑やかなお店や施設がたくさん!
続いて行ったのは、飲食店やまちづくりの拠点施設が複合されたエリア「ないわん」。
海のすぐそばにあるため、漁船や防潮堤を間近に見ることができたり、
気仙沼のコーヒーを代表する「アンカーコーヒー」を飲んで一休み。
今まで字幕チームと音声ガイドチームは別々の場所での活動が多かったのですが、
修学旅行の様な雰囲気で、学生さんたちやスタッフの仲も一気に深まった様に感じます。
◯気仙沼 海の市
https://www.uminoichi.com
◯ないわん
https://kesennuma-kanko.jp/naiwan/

そして念願の「鶴亀食堂」へ!
音声ガイド制作時に、定食のお盆に乗ったメニューをどうガイドするかについて悩んだあの場所。。!
映画にも登場するこの食堂は、漁師の生活リズムに合わせ朝早くから昼過ぎまで定食を販売されています。
遠く県外から漁に来る方や、外国人の漁師も多い気仙沼。
「鶴亀食堂」のある「みしおね横丁」には、トレーラーのお店が並んでいます。
海から帰る漁師のための銭湯「鶴亀の湯」や、メキシコやインドネシア,沖縄料理のお店、そしてモスクまで、
漁師の方の暮らしに沿って、かつ気仙沼の多くの人に愛されている場所なのだと実感しました。
肝心の「鶴亀食堂」の定食ですが、やっぱり美味しい。
甘い味の煮付けや醤油が、潮風を浴びて帰ってきた漁師さんの身体に染みるのだろうなぁと考えたりしながら、
あっという間に食べ終わっておりました!
◯気仙沼 鶴亀の湯・鶴亀食堂
https://kesennuma-tsurukame.com

みしおね横丁内、鶴亀食堂のすぐ前にある居間スペース。畳が敷かれ長机が並ぶ別室のような場所。定食を前にして、学生さんたちに記念写真をいただきました!


次はバスで2時間ほど進み、唐桑半島・鮪立へ。
細い道をクネクネと曲がりながら登っていくと、「つなかんはこちら!」の標識が!

ワクワクを募らせながら、ついに民宿「唐桑御殿つなかん」に到着。
手を振って迎えてくれた一代さん。
映画と変わらないあの笑顔!いや、映画以上のパワーをいただきました!
「おかえり〜!」と元気よく迎えてくださり、自然と「ただいま〜!」と返しているツアーメンバーたち。
何度も観た『ただいま、つなかん』で、毎回感じたあの気持ち。
「つなかん」の包容力、実家に来た様なあたたかさを、一瞬で体感しました。

つなかんについてまず、広間で「まるオフィス」の方のお話をお聴きしました。
当時学生ボランティアとして気仙沼に入り、後には移住した若者や地元の若者が2015年に立ち上げたのが「まるオフィス」。
現在は、教育とまちづくりを掛け合わせて活動されていいます。
映画で観たあの人から、直直にお聴きできた気仙沼の魅力や未来について、また移住についてのお話。
実体験をもとに、学生さんたちからの質問にも応えてくださいました。
予定時間を過ぎてもご一緒してくださったまるオフィスの加藤航也さん、映画にも登場しているさちをさん。
ありがとうございました。
◯まるオフィス
https://maru-office.com


「つなかん」での時間を表すとすると、「贅沢」と「幸せ」という言葉が浮かびます。
映画で観たままの豪華な夕飯。美味しい海の幸(個人的にはホヤ、そして肉厚のワカメ!)や、星空を見ながら入ったトースターサウナ。
ふかふかの布団で眠ったり、朝はイベントや上映会も行える蔵や海の近くにあるもう一つサウナを見学したり。
「つなかん」のあたたかさに包まれておりました。

中でも特に忘れられないのは、一代さんをはじめとする、「つなかん」の方とのお話。
輪になってお話を聴く時間以外にも、掘りごたつを囲んで談笑する中でも、
震災のことについて話してくださいました。
当時の状況や気持ち、「復興」へ進んだ力溢れる姿勢、これからの未来の話。
学生さんたちの聴く姿、真摯に受け取ろうとしていく姿に応えてくれたのだと思います。
ついに「つなかん」を発つ時、一代さんたちがバスが見えなくなるまで手と福来旗(大漁旗)を振って送り出してくださいました。
絶対また、「ただいま〜!」と伝えに戻ってきます!!
◯唐桑御殿つなかん
http://moriyasuisan.com


風の強い気仙沼では珍しい雪景色のつなかんの広場。海と山を背に、皆んなで記念写真!


訪問ツアーの最後は「伝承館」へ。
気仙沼向洋高等学校の旧校舎の大部分が遺構として震災当時のまま保存されています。
映像や写真、校舎内を屋上まで実際に歩きながら、場所に居て感じる、学ぶ体験。
ある学生さんが、「3.11は子どもの頃にニュースで見たくらいの記憶しかなく、どこか遠いところで起こったような、どうしても実感を持てないままでいる。」と、話してくれました。一人ではなく、複数の学生さんがそう言葉にしてくれました。
だからこそ、今回のツアーをとても大切に、一つ一つと向き合っていました。
一代さんたちのお話や伝承館でのこうした「体験」に対する、そうした学生さんの姿に、私は頼もしさを感じていました。
◯気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館
https://www.kesennuma-memorial.jp


「つなかんツアー」には、障害のある当事者として、音声ガイドのクオリティチェッカー:石井健介さん、字幕のクオリティチェッカー:高畑寿延さんもご参加してくださいました!
驚いたのは、たった2日間の間に、
学生さんたちが手話,文字通訳や即興音声ガイドをしていたことです。。!
世代や場所も超えて、みんなで取り組んだ「映画バリアフリーPROJECT」。
伝える気持ち、繋がる気持ちを噛み締めました。
音声ガイドや字幕制作は、そうした気持ちと向き合うことなのだと改めて感じます。

3.11の時、学生ボランティアとの絆から民宿としてはじまり、コロナ禍を超え、そして現役の学生さんたちによってバリアフリー化された今。
まだまだ紡がれていく「つなかん」物語を是非お楽しみください!
観たらきっと、観た人も紡ぐ一員になっているほど、パワーをくれる映画です。
そして気仙沼に、「つなかん」に、是非行ってみてください。
あらゆる人に届きますように。

*掲載写真
撮影:日本財団ボランティアセンター


●上映情報
2月29日(木)~3月12日(火)
   10時00分~12時00分
*6日(水)休映

©️2023 bunkakobo

⚠️小さな劇場ですのでご予約をお勧めしております。👇
◯web予約
https://coubic.com/chupki/3072914
・プロフィール @cinema.chupki > hp > 予約サイト >作品ページへ
◯電話/FAX:03-6240-8480(10:00~)


見出しと同じ写真。つなかんを出発する前に一代さんと一緒に撮影した記念写真。つなかん2階・正面玄関の前のテラスで、晴れ渡った青空と立派な「唐桑御殿つなかん」を背景に、みんなで撮影しました!

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