見出し画像

昨年の9月27日のこと、覚えてますか?映画『国葬の日』が問いかけること

 安倍元首相銃撃事件がもたらした衝撃のさめやらぬ間に、あっという間に十分な議論も行われぬまま国葬を2ヶ月後の9月27日にとり行うことが決まり、反対派が声を上げたものの、厳かに行われたのがちょうど一年前。あれだけ世論を二分した(と思っていた)割には、終わってからは潮が引くように、国葬の是非については語られなくなり、そして誰も検証をしないように見えた。大島新監督のドキュメンタリー映画『国葬の日』を観なければ、遠い昔のことと自分の中でも忘れ去っていたことだろう。実際、一年後の今日のニュースには全くそのことに触れることはなく、映画『福田村事件』(現在大ヒット上映中)のようにこのドキュメンタリー映画が取り上げられることもない。あえて報じないようにしているかのようだ。
 大島監督にインタビューでお話を聞くと、「世論を二分した」と声高に言われていたことに対する違和感があったのだという。それは前作『香川1区』で選挙期間中の有権者の姿や話を聞いてきたことから生まれた疑問だった。
 国葬そのものを映すのではなく、2022年9月27日の国葬の日を全国10カ所のカメラで捉え、人々が何を思っていたのかを記録する、現代日本人の肖像とも言えるドキュメンタリーになっている。山上容疑者をモチーフに、事件に至る人生を描いた『REVOLUTION+1』上映&足立正生監督トークの模様もあり、目が離せない。国葬の日から、どこか無関心な日本人の雰囲気が感じ取れる政治ドキュメンタリーというよりは、日本人観察ドキュメンタリー。みなさんは、あの日何をしていたか覚えていますか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?