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淡い夜とベージュ色

夜になる前の夕方。
アパートの前で、彼を待っていました。

お家の中で待っていても良かったし、いつもはそうしているのだけれど、その日は外の空気が気持ち良かったのと、どうしてか待ちきれなくなって、居ても立っても居られなくなってしまったから。

まだ青い空に、淡く浮かぶ半月を眺めながら。
角からヘッドライトの光がのぞくたびに、空から視線を落として、それはでも見知らぬ車で、また空を見上げて。

時々、薄い雲がすっと流れてきて、お月様を隠しました。
雲からまた顔を出す瞬間は、光が強まるようで、とても綺麗。



聞き慣れたバイクの音がして、今度こそ、と思って姿勢を正して待つと、彼がヘルメットの中で驚いた顔をしながら、近づいてきました。

どうして?と聞かれて、本当はずっと待っていたのだけど、もう来ると思ったから、と答えました。
すごいね、と言って喜んでくれたのが嬉しかった。

それからバイクの後ろに乗せてもらい、バーミヤンへ。
束の間のこの季節の、柔らかい風がとても好き。

バーミヤンでは、私はいつだって梅レタスチャーハン。それから餃子も付けました。
彼はわりといつも五目焼きそば、それとバンバンジーサラダ。

いつもとても空いていて、好きな席に座っていいと言ってもらえるので好きな店舗。
いつも窓際を選びます。この日も窓際。

美味しい中華料理を食べながら、今月末の旅行の話や、今風邪をひいている話、妹が一人暮らしを始める話などしました。

帰りにコンビニに寄ってお菓子を買ってもらって、夜のおやつの時間。



偶然、全部ベージュ色。

彼の買ったラムネに付いていたおまけがとてもちゃちで、可笑しかった。ちゃちなおもちゃ。

白濁したような空と、お菓子のベージュ色。
うすぼんやりと淡くて、甘い夜でした。


みほ

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