車輪がまわる、それぞれのリズム
「リズムが悪いのはね、自分ではどうしようも出来へんから。でもリズムが悪いってことに、気付けるようになれたらええよね」
まだほの明るい夏の日の放課後、まもなく使われなくなる予定の母校の研究室で、日本画家の川嶋渉さんがそんなことを言っていた。私はこの台詞をそっくりそのままノートに書き込み、それからずっとなんとなく、リズムのことを考えている。
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私たちにはそれぞれ、リズムがある。目には見えないけれど、車輪 ──もしくは歯車のようなものを各々が持っていて、それをくるくると回