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暮らしや営みの中で零れ落ちそうなことを掬い上げたり、心や脳に浮かんだ閃きを忘れないよう書き留めたりする、思考や思想の直売所のようなものです。
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2023年7月の記事一覧

弱った心身にてきめんに効く、欲しかった言葉

「これは本当のところ、ただ私が怠けているだけなんじゃないか?」 という気持ちにずっと苛まれている。先々週疾患した疫病……からもう20日近くが経とうとしているのに、未だにずっと調子が悪い。嗅覚は2割方戻ってきたけれど、ダラダラと微熱は残り、寝ても寝ても眠いのだ。これはもうマジで、成長期以来の眠さ。中学生の頃は、授業の間の10分休み全てを睡眠に充てていて、6時間目が始まる前には「よっしゃ、今日はトータルで50分寝た」とか数えていたのだけど……それくらい眠い。今も大あくびしながら

ふつうの暮らしと、確かにそこにある私の違和感

冒頭からわかるように、以下の文章は秋に書いたものだ。秋に書いて、冬のあいだにあたためて、この春出た雑誌『広告』の文化特集号に収録された。で、季節は巡って夏……ということで、写真を補いつつここにも載せさせてもらう。文末には少しだけ、今思うところを加筆した。 ── ふつうの暮らしと、確かにそこにある私の違和感 秋の夜長。裏の庭でリリ、リリリと鳴いている虫たちの声は心地よく、裁縫をする手が進む。裁縫と言ってもくたびれたパジャマのウエストを繕う程度のことではあるのだけれど、そう

香りのない世界

他者の目で、身体で、この世界を生きることが出来たなら、それは一体どんな風になるのだろう……という小規模な、けれども到底無理筋な妄想を、物心付いた頃からなんとなく抱いていた。 私が見ている青と、あなたが見ている青は違う。私が感じている苦味と、あなたが感じている苦味もおおよそ異なる。目、舌、耳、鼻、肌……各所に敷き詰められた私たちの感覚は、みんな当たり前に少しずつ違う訳で、けれどもそれが「どれくらい、どう違うのか」というのは家族であってもわからない。 命って不便なもので、私た