Farsickness、それは遠い場所への憧れ
6月、欧州からはるばる日本に来てくれたAllaが、その旅を振り返りながらInstagramに"Farsickness"と綴っていた。
見慣れないその言葉を検索してみたところ、日本語訳が出てこない。英英辞書を引いてみると、それはドイツ語での"fernweh"から来た言葉で、ホームシックの逆を意味するという。私が始めて知った言葉だとコメントすると、Allaは「遠い場所への憧れ、という意味だよ」と答えた。
ここじゃない世界に行きたかった……という私にとって大切な一節は、彼女と出会ったダブリンでの日々を綴ったエッセイの表題としてつけた言葉だ。私にとっての憧れだった、遠い西洋世界への気持ちをそう書いた。けれども彼女にとっての「ここじゃない世界」は日本で、私たちの持っていたその似たような感情はどうやら、Farsicknessという言葉で表すことができるらしい。
sicknessという好ましくない言葉にFarがくっつくだけで、なんだか少し、夢見心地な言葉に変わる。良い言葉だな、と忘れないようにメモした。
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6月にデンマークからAllaとVitがやってきて、7月にはボストンからAesther Changがやってきた。私はしばらく彼ら彼女らのツアーガイドとして奮闘し、その後疫病やらで寝込んでしまって少し間が空いてしまったのだけど、愛おしい友たちと訪れた場所の写真を忘れないうちに載せておきたい。
(AllaとVitとの旅はこちらで紹介しているので、今回はAestherとの旅の様子を)
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新刊『小さな声の向こうに』を文藝春秋から4月9日に上梓します。noteには載せていない書き下ろしも沢山ありますので、ご興味があれば読んでいただけると、とても嬉しいです。