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ミュージカル 東京ラブストーリー 空キャスト 感想②

はい、すみません、感想というよりは物語の流れの覚書みたいなもんなので覚えてる限り書きたくなっちゃって長くなってしまうのだよね…。
さて、二幕はじまります。

ベランダにリカが一人座って、小さな声で「ハッピーバースデーカンチ〜…」と歌いながらスケッチブックに何か描いている。HAPPY BIRTHDAYの飾りつけに、テーブルにはケーキやシャンパングラス。時折スマホを確認してはため息をつく。そこへ、カンチが気まずそうに帰宅してくる。
「……遅い。今何時だと思ってんの」
「10時」(キリッ)
「あたしたちの約束の時間は」
「7時」(キリッ)
キリッじゃねえんだわwww可愛いけどwwwリカの立場だったらこの態度めちゃむかつくよな…それでも観客に嫌な奴と思わせないのはカンチがここまでで重ねてきたキャラ―クターがあるから。(そして私がかっきーのファンだから)
3時間もどこで何やってたのよ、というリカに、即座に「納品の件で」と嘘をつくカンチ。嘘つかないって約束したのに速攻で破りましたね。ここ、この作品でカンチが一番悪いところ。リカはカンチがさとみといるところを目撃してるわけだからそれは嘘だって気づいてるはずなのに、仕事なら仕方ないねと受け入れてしまう。早速パーティーを始め、カンチがケーキのろうそくを吹き消す。ろうそくは2本。イチゴのショートケーキ。リカは話していた通り、焼き鳥や、今治のご当地グルメ焼き豚卵飯などカンチの好きなものを用意。ここちゃんと食べてて可愛い。
カンチが何を描いてたのか尋ねながらスケッチブックを取ろうとする。まだ完成してないから見ちゃダメ!とリカは慌てて隠す。「私意外と絵心あるんだ。日本に帰るときにチャムノダにも描いてあげた」「ああ、ジンバブエの親友だっけ」
チャムノダわざわざ2回も名前を出す必要あったのだろうか。別にストーリーに大きく絡んでくるわけでもないし。ワッハッハのときは「ジンバブエの言葉でね、」とかでもよかったわけだし、ここなんてそもそも「絵心あるんだ~」で会話終わってもよかったわけで。チャムノダで軽く調べてみたけど原作にもないマジの造語っぽいし。
「何お願いしたの?」と聞かれ、ハッとして「忘れてた~」というカンチ。ろうそく消すときに願い事するのって全国共通なの? 私この文化大人になるまで知らなかったので、さっき何お願いしたの?って急に聞かれても、お願い?何が?ってなってしまいそう。今治では願い事があるときは海に行ったと話すカンチ。海に一番近い灯篭に願い事を書いた紙を入れると願いが叶うらしい。これも創作? 御崎神社の海の鳥居というパワースポットは実在するそうだけど、写真見た感じ灯篭はなかったし、そもそも鳥居自体が海の中にあるのでラストシーンみたいに歩いてくぐってくることはできないので…。学生時代に生徒間で流行ったおまじないとかだったら可愛い。
行ってみたいなあと漏らすリカに、じゃあ今度一緒に行く? とカンチ。何も考えず未来の話ができるのは幸せなことだよね。リカは大喜びで、私の誕生日そこでお祝いして!約束!と言う。
星空の伝説の話(この辺順番が前後してるかも)
リカが語り出す。空に星があるのは、人が願い事をするから。人々の願いが星になって空へ上っていく。伝説の王女と青年の物語を話し出す。100と1日願い続けた王女の元に、一人の青年が迷い込んできて、やがて二人は恋に落ちる。【恋人たちの伝説〈恋〉】
ここで冒頭に踊っていた二人が舞台上手側で踊り始め、伝説の王女と青年だということがわかる。バレエに詳しくないので振付の意図とかを汲み取れなくて申し訳ないけどとてもロマンチックに見えた。バレエ作品とか全然見たことないけど、とても美しいなって思った。腕は絡み合うけど絡まることはないし、男性は女性を軽々持ち上げて回り、女性は羽のように軽やかに飛び上がる。倒れても転がっても全然無様じゃなく、起き上がり方まで優雅。極めし人々と言うのはこうも美しいのだな、と。好きな役者が舞台上にいるにもかかわらず、全く知らなかった二人のダンサーに目を奪われた。

カンチの携帯に着信。舞台上手にさとみが登場し、それがさとみからの着信だったことがわかる。さとみは何か決心したような表情を浮かべ「永尾くん、ありがとう」と呟く。カンチは着信を確認し「納品の件、もう大丈夫だって」と嘘に嘘を重ねる。
「カンチってさ、嘘つくの下手だよね。嘘つく時、右(だっけ?)のほっぺがぷくってなるんだ」と言われてわかりやすく動揺するカンチ。「冗談だよ〜」と明るく言うリカだけど、本心が分からなくて怖い。突然リカは「あたしもう行くわ。アメリカに行く準備しないと」と言って帰ってしまう。「それ、プレゼント今開けて!」と言い残し、引き止めようもするカンチを気にも止めずさっさと行ってしまう。リカを追いかけたいけどプレゼントを開けろとも言われアタフタしているカンチがとにかくプレゼントを開けると、びっくり箱だった。リカのささやかな仕返し(準備が早いなリカりん)

【私らしく】
さとみとリカそれぞれ荷造りをしている。さとみは三上と同棲している家を出て行くため。リカはアメリカに行くため。
さとみは畳んであった服を広げて畳み直し、丁寧にゆっくりボストンバッグに詰めていき、リカは割と乱雑にスーツケースに放り込んでいく。自分らしく生きるために男から離れて生きていくと決めた二人の歌声が重なる。個人的には、この曲聞きながら二人をめちゃくちゃ応援したくなった。タイプは違えど、二人とも男になんか頼らなくても生きていける芯をもってるので、このままどっちの男ともくっつかず自分らしく生きてってほしいって願っちゃった。疾走感があってさわやかないい曲で、この曲ふうか彩春で聴くの楽しみだわ。

(@ホテルまほろば)
リカがカンチの元を去ってからいつの間にか2ヶ月が経っている。現場視察?でホテルまほろばを訪れている一行。カンチと和賀が話している。和賀はリカとカンチの関係を気にかけていた。話している途中で、まほろばの社長とばったり。他社が魅力的な提案をしてきていると告げられ、強力なライバルの出現に慌てるカンチ。落ち着いてできることを考えて、と和賀。若いころに先輩からかけてもらった言葉をカンチにも送る。【自分を信じて】
高島さんお歌、長尺で聞くにはちょっぴりしんどかったので頑張ってほしい。お芝居は良かったんで(滑舌は気になったけど)。曲はあったかい雰囲気で、歌える人で聞きたかった…!となった。

(@尚子の家)
尚子の婚約者が来ていて、パパと二人で病院の設備について話している。ママは結婚式のドレスの話題を出し、結婚式が近いことがわかる。尚子は浮かない顔で座っていたが、突然「病院に行く」と言い出し、パパは尚子を窘めるが、無視してそのまま出ていってしまう。
家を出て行く当てもなく彷徨う尚子。ふと、純白のドレスを着たマネキンが目に入る。【鏡の中の私】もうすぐ結婚式を迎え幸せなはずなのに、自分はちっとも幸せじゃない。親に決められた服を着て、決められた本を読んで、決められた友達と遊んで、今度は親が気に入った男と結婚する。これまでの道は正しかったのか、自分の人生は本当にこれでいいのか、自分に問いかける。尚子が躍る後ろで、マネキンが尚子とシンクロして踊る。曲の途中からは、ドレスのマネキンの隣に座り込んでいた幼少期の尚子とリンクする。
弱った尚子の足が向いたのは三上の家だった(なんで家知ってるん…)
「…泊めて」
突然の尚子の訪問に戸惑う三上。自分でも何を言って何をしているのか説明ができない尚子。三上に抱きつき、家の中へ。

【恋をしたなら】(@どこかのカフェ?)
どのタイミングでこのシーン挟まってたかわからん。カフェのテーブルに座りどこかへ電話をかけるリカ。電話の相手和賀が舞台上手に現れる。「せっかく紹介してもらっちゃった仕事断っちゃってごめんね」とリカ。断ってたんだ。で、しまなみタオルは辞めてリカは今どこで何を…? ここでリカの派遣設定がまたわからなくなるんだけど、リカはしまなみタオルとの派遣契約を終了して、派遣会社も辞めてアメリカにいるってことでいいのかな? それはカンチと離れるため? でも和賀の紹介は断ったと言っているので別の会社で仕事している? ここちょっと引っかかっちゃった。
和賀は「このまま逃げてばかりじゃあなたらしくない」と檄を飛ばす。

(@東京タワー)
誰かを待っているような素振りのカンチ。そこへ、他の先生と遠足の下見に来ていたさとみとばったり会う。一緒にいた先生が気を利かせて、先にあっち見てくるね、と二人のそばを離れる。カンチはさとみが三上の元を出て行ったことを知っており気にかけていた。「三上くんに釣り合う女になりたかったんだと思う」とさとみ。逆にリカとは上手くいっているのかと聞かれるカンチ。リカがアメリカに行くと言って突然出て行ってしまったことを話し「たぶんこのまま別れることになると思う」と。まだ別れていないと思えるのは、リカが「きちんとお別れを言うべき」と言うタイプだからだろう。
「顔色あんまりよくないよ」というさとみの言葉に
12/2マチネ 「実は……昨日サッカー見ちゃってさ」W杯で日本が勝利した日の公演だったため、サッカー好きのかっきーのアドリブ。興奮して「日本中みんな寝不足だと思う」という柿カンチに客席から拍手。
流れを戻して、今度大事なプレゼンがあることを話す。金額の面で折り合いがなかなかつかないけど、職人を守るために値段は下げずにいきたい、今治タオルの良さをわかってもらいたいと熱を込めて話すカンチ。そんなカンチを見て、さとみが、小さいころ今治タオルの工場見学で職人さんを見たときにかっこいいなって思ったと思い出話をする。その言葉にカンチはハッとし、さとみに感謝を伝える。
そこへ三上登場。さとみの姿を見て思わず名前を呼ぶ。呆れたように笑い「まさか俺とさとみを引き合わせようとしたのか?」と言う三上に否定するカンチ。さとみは三上の前に立ち、黙って出て行ったことを謝り、改めてきちんと別れを告げる。カンチに「プレゼンがんばってね」と伝え、一緒に来ていた先生の元へ走っていく。
二人の様子を見て、付き合い始めたのか?と聞く三上に、俺はそんなに器用じゃない、と答えるカンチ。
カンチは、久々に東京タワーに登ってみたくなったこと、三上と話したいことがあって呼び出したのだと告げる。ベンチに座り二人で話し始める。
「三上は、今治と東京どっちが好き? 俺は今治の方が好きだなー」としみじみ言うカンチ。
「リカよりもさとみに惹かれるわけだ。リカりんは、東京そのものだからな。わがままで気まぐれで魅力的だけど、…(記憶が曖昧。なんか東京に対してすごく失礼なことを言っていた気がする)」
この作品において、リカは東京そのもので、さとみは今治の象徴らしい。俺たちは別れたんだからさとみに行けよとカンチを焚きつける三上。カンチは煮え切らない。お前は?と逆に聞き返す。
三上は、尚子が突然家に来た夜の話をした。結局尚子はあの後一晩泊まって、翌朝「親の決めた相手と結婚する」と言って出て行ったらしい。そして三上は尚子のことが頭から離れず、眠れていないと言う。カンチと三上はお互いに自分の気持ちに素直になれよと歌う。【勇気を持って】

(@尚子の結婚式)
誓いの言葉の途中で、三上が乱入。出て行けという親や新郎を尚子が止め、三上の言葉を待つ。三上は俺と行こうと歌い【ここに俺がいる】、尚子は決意をもって頷き三上の手を取り、二人で式場を出て行く。

(@最終プレゼン)
SNSでなんやかんやいろいろ言われてたシーン。私は話の流れ的にここはそこまでぶっちぎれてるとは思わなかったんだよね。まあいろんなツイートの言わんとせんことはわかるけど、あの話が広がりすぎて未見の人にはよくわからん困惑を与えて、あの盛り上がり方は嫌だった。あとSNSのネタ扱いにすぐ乗っかっちゃう公式もなんだかなーとモヤっと。
ホテルまほろばの社長への最終プレゼンを迎えたカンチ。東京タワーでのさとみとのやりとりでなんとなく察しはついていたけど、雇用を守るために値段は下げず、質の高いタオルを織り上げる職人達の真摯な姿勢を猛アピールして歌う。【プライド】スクリーンには今治ののどかな景色()と、タオルを紡ぐ職人達の姿。「職人さんたちカッコいいって思った」というさとみの発言から気付きを得て、ハートに訴えかける作戦。(当然のことながら)プレゼンは成功。まほろばの社長が何やら熱く語る。前身のホテルが価格の低いホテルに対抗して従業員を切ったりサービスの質を落としたりして失敗…そこから学んで…みたいな話。要は、ホテルまほろばは安さよりも(接客サービス含め)高い質を提供していきたい、ということで、目指す場所が同じだったということね。
固く握手を交わす社長と和賀の後ろで、商品であるタオルで涙を拭いて客席の笑いを誘うお茶目な柿カンチ。

【ふたりなら】
やった、成功だ、このことを君に伝えたい!と歌い向かった先は、リカではなくさとみ。だよねーーー。いや、話の流れ的にそうなるのはわかってるけどそっちかーい!という気持ちも若干あり。最終プレゼンへのヒントをくれたのはさとみだけど、途中まではリカも一緒に頑張ってたのだから、さとみ一直線じゃなくちょっとくらいリカへの感謝も…してるよね?笑
その勢いでさとみに告白するカンチ。いや先にリカとちゃんと別れてから言ってください? さとみも簡単に受けるんじゃありません!

場面変わって、「素人の手作りとは思えないわね!」と見上げる卒園式アーチにツッコまずにいられない。オタクのうちわの方がクオリティ高いよ! さとみ登場。早替えする暇すらないだろうからスカートなのもバレエシューズなのもしかたないとは思うけどちょっと違和感。
アーチ作りを終えた先生たちを先に戻らせ、さとみが一人で片づけをしているところにリカが現れる。玲奈リカ、ポニーテールを下ろして長い髪が靡いて綺麗~(ところでリカはなんでさとみの勤め先知ってるの?)「カンチとやり直そうと思って戻ってきた」という言葉を聞いて、女同士のバトル勃発か?とワクワクしたけど、リカはポケットからカンチの合鍵を出してさとみに渡した。「もう会いに行かない。約束も忘れていいから」と言って、さとみの呼びかけにも振り返らずさっさと去っていく。
リカから受け取った鍵をカンチに渡すさとみ。「リカに渡した合鍵だ……リカとちゃんと話してくる」というカンチ。さとみはカンチをまっすぐ見つめ「待ってる」と答える。

物語の冒頭でカンチが歌っていた鳥居に1人佇むリカ。二つの灯篭の片方に何かを入れる。バースデーパーティーのときにカンチから聞いた、願い事があるときのおまじない。空を見上げているところにカンチが登場。
誕生日の約束を覚えていて(というよりさとみから聞いて思い出した)、誕生日おめでとうと伝える。(本当に都合のいいタイミングで誕生日が来る作品だな)
リカはカンチの初恋がずっと続いていたことをわかっていて、カンチの決心を受け入れる。
「君を好きになったのも本当なんだ」←突然の"君"
この言葉、このタイミングで伝えるには残酷すぎるよね。リカ的には、カンチは間違いなく自分をを好きになってくれたけど、それでも自分では初恋を塗り替えられなかったんだからね…。
リカは星空の伝説の続きを話し出す。恋に落ちた王女と青年だったが、あるとき一際明るく輝く星を見つける。それは青年の恋人が願い事をかけて空に浮かんだ星で、それを見た青年は失っていた記憶を取り戻し、恋人の元へ帰ってしまう。【恋人たちの伝説〈別れ〉】
「え? じゃあ王女様は?」
「物語がみんなめでたしめでたしで終わるわけじゃないんだよ」とリカ。
柿玲奈のカンチリカは本当に自然体で見てて安心する組み合わせなので、この二人がこのまま幸せになって終わればいいのになあと思わずにはいられなかった。
柿カンチは誕生日の夜の嘘以外は、たぶん全部の発言や行動が本心で、ただ不器用でうまく立ち回れなかっただけ。リカを好きだった気持ちも本当に本当だっただろうし、だけどさとみを諦めきれなかったのも本当で、基本的に真面目だからこそリカを傷つけてしまった。さとみは確かにそんなカンチを理解して寄り添い合って生きて行けるだろうな…とは思う。リカとも上手くやっていけないわけじゃないだろうけど、それはカンチが望む関係性ではないのかもしれないね。
前半のリカはぶっ飛んだ女だったけど、後半のリカはイイ女だったよ。原作リカがヤベェ女って噂は聞いてたし、前半リカは確かにぶっ飛んでいたけど、どちからといえばリカ以外の倫理観が心配になった。
カンチとの恋愛はめでたしめでたしじゃなかったけど、いつかきっとめでたしめでたしと思える日が来ますように。
【24時間の愛 リプライズ】
「ありがとうね。ちゃんと伝えに来てくれて」と言い、「やっぱり離れたくないよ~」とカンチに抱きつくのは、カンチに罪悪感を抱かせないようにって、リカなりの最後の優しさかもしれない。バスの時刻表見てくる!と言って、そのまま一人で帰ったんだろうな。きっとカンチがそれをわかって追ってこないのもわかった上で。

鳥居の中、一人になったカンチはふとあの夜リカと話したことを思い出し、灯篭の中を覗いてみる。リカが入れていた紙を見つけ出す。折りたたまれていた紙を開いたところでキラキラ~とリカが描いたカンチ似顔絵が星空に浮かぶんだけど、これが非常に絶妙にダサい!! まあダサさはある意味リカらしくていいとして、空に浮かんでる時間が長い!! ここかっきーいい歌声でいい曲歌ってるのに絵柄が絶妙すぎて気が散るのよwww すーっと浮かんですーっと消えてくれ! いつまで残ってんねん!と心の中で突っ込んでしまった。
リカが描いてくれた似顔絵を見て、星空を見上げ、【願いの星 リプライズ】を歌うカンチ。

【この街で生きる リプライズ】
冒頭と同じメロディだけど歌詞は前向きになっていて、街の人たちも心なしか顔を見合わせたり親しげに挨拶したり。カンチ&さとみは上手側で和賀と話していて、三上&尚子は下手側でちょっとした喧嘩をして仲直り。(この辺は回によって違うっぽい)(基本的に柿カンチに視点固定だけど、三上と尚子があっち向いてホイしてたときはめっちゃ見てしまった)
二組のカップルを含め、街の人たちも、なんとなくペアになっていて、誰かと関わり合いながら、この街で生きるんだと明るく歌う。
そこにリカの姿はない。リカだけがいないこの街で、みんなが笑顔で歌って、舞台は幕を下ろす。


個人的には音楽は耳に残るしメインキャストの歌も芝居も、少なくとも空キャストの方は好きで、ストーリー展開も、共感はできないけど理解はできたし、ダンスは見応えもあって楽しかったです。柿玲奈の絡みは自然体でよかったし、廣瀬くん夢咲さん綺咲さんもキャラに合ってたと思う。
けど、伝えたいメッセージや、この作品をあえて今新作ミュージカルとして上演する"意味"というものは見出せなかったかな。そもそも今の時代恋愛も結婚も当たり前ではないし、誰もが憧れを持っているものでもない。そんな時代に、漫画もドラマもストレートに恋愛ものとして有名な作品を舞台化、しかも舞台化にあたって設定もいろいろ変えて、更に恋愛一本ではなくお仕事ドラマも絡めて、なんやらゴチャゴチャしてしまった印象。
この作品を通して、やっぱり恋愛っていいもんでしょ!って伝えたかったってんだとしたら大失敗だと思うわ。この作品観て、恋愛素晴らしい!私も恋したい!とはならん。少なくとも私は、やっぱ恋愛ってくそめんどくせぇな~という感情しか抱かなかったので。
単純に話題性だけで有名な作品のミュージカル化!ってことなら、もっと原作に寄せた方が良かったと思う。時代を当時のまま反映してれば、多少時代錯誤的な表現があっても「まあ当時の価値観だしね」で済んだものが、なまじ2018年に設定を変えてしまったばっかりに「こんな時代にこんなこと言わん」みたいな違和感に繋がってしまったように思う。
制作陣のお話とかもっと聞けたらもう少しテーマが理解できたり、いろんなモヤモヤに納得して観れたりしたんですかね。後の祭りですが。楽しめたけど、強烈に心に残るものはそんなにない。なんか爽やかと言うよりはあっさり塩味な作品だったな。

これは悪口ではなくて、なんというか、なんかなー、もったいないなー、って思ったところだったり、せっかくだから楽しく作品を見るためのワクワク探しだったり、まあ要は愛のあるダメ出しです。①や↑で言及してるところもあります。(もちろん技術やら予算やら大人の事情で現実的に難しい部分があることは承知の上で)
・あからさまに片づけや設置を"隠す"ためのパネル。青と赤で今治タオルのロゴカラーだし、一応パンフで意味は説明されていたけど、でも明らかに隠すために出てきたよね?ってところが多すぎて…そのせいか場面場面もブツ切りに感じた。
・和賀役の高島さんの滑舌。元々ご本人が早口なのか、キャリアウーマンを表現するために早口なのかわからないけど、時々ん?ってところがあってもったいなかった。あと衣装もいっつも黒のパンツスーツじゃなくて場面によって色変えたりスカートにしたりワイドパンツにしたりしてもよかったんじゃないかな~。ずっと喪服みたいでなんかもったいなかった。バリバリ働く女性もみんながみんなああいうファッションではないよね。
・冒頭に同僚が悪態突くときにポロっと発したリカの派遣設定は必要だったのか。そして派遣に重大なプロジェクトを任せるのか。
・WA.HA.HAが後半に活きない。最後カンチと別れて悲しいけどワッハッハって言えば前向きになれる!とかなかった。WA.HA.HAは原作準拠らしいけど、どうしても入れたいなら意味をつけないと。
・カップルが堂々とイチャついてそれをみんなが普通に受け入れてる世界線。発覚した時点で異動だし勤務地すら変えられる。
・派手なワンピが派手じゃない。青山生まれ青山育ちの同僚のママ行きつけのブランドのワンピースを買ってしまったさとみの今後の生活が心配。保育士の給料が心配。このシーンで尚子が羽織ってるジャケット可愛い。
・リカと和賀の電話のシーン、カフェっぽいテーブルと椅子は必要だった? そして所在地不明のリカ。
・結婚式乱入は普通に無理だろ。あと挙式してるならとっくに入籍してるのでは?
・「素人が作ったとは思えない」とは思えない卒園式のアーチwww
・星空に似顔絵。長い。
・今治ゴリ押しなのにバリィさん影も形もないの悲しい。みきゃんは愛媛の子じゃん。バリィさんは今治の子じゃん…
・東京”ラブ”ストーリーの割にラブに全振りじゃなく”お仕事”の比重がでかい。ここまで設定を変えるなら、もういっそ登場人物の名前も変えちゃって「東京ラブストーリーのミュージカル化」じゃなく脚本含め完全オリジナルの恋愛作品にしちゃえばよかったのにね。

やっぱり原作ものは、その作品が生まれた時代背景や当時の価値観が前提にあるから、その時代に話題になったり人気になったりしたわけで。時代や設定は違うけど登場人物の名前は原作からもらって、セリフや場面も全部じゃないけどちょいちょい原作から拝借してます、という、なんだか継ぎ接ぎの作品になってしまっていて、そりゃどこかでズレが生じてしまうよね、と思った。
『生きる』はとても好きな作品で、『東京ラブストーリー』のミュージカル化と聞いたとき私は原作やドラマの先入観から、この作品を好きになれるか不安だったけど、『生きる』の実績を信じたいなって思ったんだよね。観ないで文句は言いたくないし。結果としては、観て楽しかったけど観れなくても悔しくはなかったかな、という中途半端な感想。笑
役者さんたちはそれぞれ魅力的でした。柿澤さんは本人はシュッとしててカッコいいのに、カンチのときは背中丸めてリュックの肩紐を両手で持ってたり指をモジモジさせてたり、でもプレゼンではまっすぐ今治への愛を伝えていて、不器用ながら支えたくなるような存在。そして歌は抜群の安定感。玲奈ちゃんはかっきーとの関係が自然で、振り回し加減も絶妙。歌やダンスになってもリカらしさがずっとあってよかったし、派手柄シャツで似合ってたし、エクステをつけてちょこっと伸ばしたって言ってた真っ直ぐなポニーテールもリカらしかった。廣瀬くんは顔も声もいいし身長もあって遊び人の三上がすごく合ってた。56人の女もそうだし、他の女の子と話す時や尚子を口説くときも無理してる感じが全然なくて自然。夢咲さんの演じるさとみは可愛くて大人しいだけじゃなくて、青い炎のような静かな情熱があった。三上にカンチにフラフラしてるように思われがちだけど、それぞれの選択には彼女なりの考えと決断があるんだって思わせてくれるような芯の強さを感じられた。綺咲さんは、三上の前や自宅でずっと何か諦めたような表情を浮かべていて、最後のこの街で生きるリプライズで笑顔が見れてよかった。純白のドレスでは心情を表したダンスがすごく繊細で綺麗だった。
海キャストはまだ観てないけどふうかちゃんと彩春ちゃんは大好きな役者さんなので期待してる。龍臣くん増子くんは未知数なので、見てのお楽しみです。
イマイチな脚本を役者の力で押し上げる作品じゃなく、いい脚本で役者がのびのび演じてる作品が観たいなー。再演を見据えてるなら、ブラッシュアップできるところはいっぱいあるから頑張ってほしいです。
手放しで大好き!楽しい!最高!と褒める感想でなくて申し訳ないけど、観劇を楽しめたのは本当だし、再演あっても(キャストにもよるけど)たぶん観に行くと思うな。
海キャスト観てまた感想書くかも!

本当に長くなってすみません。初めて二つに分けての舞台感想となりました。ここまでお読みいただいた方、ありがとうございました。

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