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新世紀の寺子屋 第11回

第11回の授業の内容の一部を紹介します。今回は、前回の復習からです。前回は牛乳1パック5千円が高いか安いかをクイズしました。生徒さんは、全員が「それは高いよ」との回答でした。こういうものは、誰に習うわけでもなく、実感として価値を判断できるのです。しかし、金融商品は簡単ではありません。その時点の株価や為替レートが高いか安いかは、実際には分からないのです。

投資と言うのは、どこまで突き詰めても、「不確実性」が残るのです。そのことを忘れてはいけませんね。ところで、世の中で多くの金融詐欺が起こっています。先般も愛知県の小学校で、生徒さんが友達に93万円を騙し取られる事件が起こりました。その生徒さんは、他の生徒から金メッキのメダルを見せられ、かつ金の価格が高騰していることを説明され、「保有していれば、儲かる!」と言われたそうです。結局、その言葉を信じて、家のタンスの引き出しから、現金を持ち出し、僅か数百円の「金メッキのメダル」を数十万で購入したとのことでした。こういう売買が複数回行われたようです。大人でも芸能人とか、よくこの手の詐欺に騙されますよね。世の中には、必ず儲かるような案件や、うまい話は、皆無というわけではないでしょう。まだ未公開の超優良企業の情報などがそういう話です。しかし、こういう話は、イーロンマスクとか孫正義さんとか、ピーター・ティールとか、一部の人間にしか入ってこないです。これだけは覚えておきましょう。皆が入手したい秘密の情報は、私のところにも、あなたのところにも、たとえお金を払ったとしても、入ってくることはありません。騙されないようにしてください。

さて、今回は「お金に働いてもらう」ということを学ぶのですが、その前にお金と利息についてです。

お金と利息は、どちらが古くから存在したでしょうか?生徒さんは、悩んでいましたが、「お金」と回答しました。お金があるから、利息がある。そう考えるのが普通ですよね。しかし、人類とは面白いものです、お金が生み出される前から、利息という考え方を使いました。

登場するのは、有名は「ハムラビ法典」です。この石碑は高さ2メートルを超え、この石碑には楔形文字で色々なことが刻まれています。研究者によると、ここには280を超える法律やルールが記されているようです。その中に、なんと利息が登場するのです。「穀物を借りた場合の利息の上限は30%程度」みたいな内容が決められていたようなのです。こんな石碑にルール化されているということは、もっと昔から、人と人との貸し借りには、「利息」的な慣行が根付いており、恐らくは喧嘩や揉め事の要因になっていたんでしょう。だから、ルール化されて、ハムラビ法典に刻まれていたのです。面白いですよね。

日本にも出挙(すいこ)制度として、7世紀くらいには、利息の始めとなるような制度が律令制度の一環としてあったようですね。

ところで、お金って何でしょうか?
古代のお金って、牛とかラクダです。例えば、牛の1頭=稲100束とかで交換されたり、牛一頭=ラクダ2頭みたいにやり取りされたのでしょう。数字はでたらめですよ。しかし、こういう基準がある程度成立すると、牛を基準にして、ラクダ2頭=稲100束という交換ができますよね。これは、広義の意味では「お金」の機能を持っています。

次の問題をやりました。

生徒さんからは、「牛は食べられるから価値がある」、「ラクダは乗り物として使える」とか回答してくれました。そうです。価値があることと、価値があることが社会の中で皆が共有していたからです。これは、重要なことです。
でも、牛やラクダがお金だと、色々な問題が起こりますよね。生徒さんからは、「個体差がある!」と素晴らしい回答が出ました。そうです、大きい牛、元気な牛、病気な牛・・・個体差がありますね。また、お財布に牛を入れて持ち運ぶわけにはいきません。牛をやり取りするのは、大変です。
そこで、古代リディアで世界最初の鋳造貨幣が誕生しました。
これはかなり凄いことです。だって、牛やラクダはそのものが役に立ちますが、こんな鋳造貨幣は、金色で綺麗なだけですよね。この鋳造貨幣が、お金になるということは、お金そのものに価値があるという段階から、お金が約束事で価値を持つように変化していくことを示すのです。

お金の3大機能も取り上げました。交換、尺度、保存です。これはリディアの貨幣の頃から、現在の電子マネーに至るまで、基本的な構造は同じです。お金には、この3つの機能が必要なんです。

そういえば、今年は日本では紙幣が変わりますね。実はエコノミストの中には、この新札が出ることで、家計のタンスに保有されている旧紙幣などが、交換のために世の中に出てくることで、景気が良くなるとかを分析している人もいますね。
授業では、渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の功績も取り上げました。
これらの紙幣は、製造原価はどれも30円程度です。その和紙に印刷した30円の製造費用のお金が、どうして1万円になったり、5千円、1千円として価値を持つのでしょうか?

ヤップ島の有名な石貨の話も取り上げました。ヤップ島の石貨は大きくて動かせません。しかし、その石貨の所有者だけが変更されていくのです。これこそが、お金の本質です。ちなみに、ヤップ島で最も価値のある石貨はどこにあるのか?それは誰も運べない海中に沈んでいるという話は、オチとしては完璧です。

ヤップ島の石貨に価値があるということ、原価30円の紙幣が1万円として使用できることは、政府や社会がそれを認めているからです。約束事が守られることが信用されているからです。信用がなければ、30円の原価の紙幣は30円です。お金とは信用なのです。歴史の中では、政府や社会が崩壊して、その国のお金が紙屑になった事例は色々ありますね。
左下の写真は有名なやつです。第一次世界大戦後のドイツのマルクですね、何の価値もなく、子供が積み上げて遊んでいる写真です。真ん中はベネズエラですね。紙幣に価値がないから、服にしています。そして最も有名なのはジンバブエのハイパーインフレですね。

ここまで、お金と利息の成り立ちを見てきました。次はあなたが、自分のお金を働かせて、利息を得ることについてです。但し、誰かにお金を貸して、利息を取ってはいけません。これは免許がいるビジネスです。
国にお金を貸し付けることは良いですよ。日本政府の発行する日本国債、米国政府が発行する米国債、こういうものを購入するということは、日本や米国政府にお金を一定期間、貸すということです。貸したお金には、利息が付きます。ハムラビ法典にあるように、余っているお金を動かして、利息を得るというのは、人類の古代からの自然な投資です。
銀行に預けている預金も、銀行にお金を貸しているのです。だから、銀行はあなたの預金に利息を払いますね。ちなみに銀行は、人々から集めた預金を、もっと高い金利で企業に貸して、利息を取ります。世の中は、お金の貸し借り、利息で成り立っているのですね。

同じように、個人でも自分のお金を動かして、利息を得る対象はたくさんありますよ。

投資でお金を増やす仕組みを2回に分けでやりましたね。株式のように購入した株価が上昇して、その値上がり益を期待する投資もあれば、お金に働いてもらい、利息を得るという投資もあるということです。

さて、お金の話はここまでです。次は米国の政治です。米国ではスーパーチューズデーも終り、11月の大統領選はバイデン氏とトランプ氏の戦いになることが、ほぼ確定していますね。米国の三権分立を説明しました。特に司法の最高裁判所の役割が、いかに重要かを話しました。この9人は米国という社会を形成する9人なのです。

議会における二大政党制を説明しました。民主党と共和党の考え方の違いを説明しました。下のような点ですね。民主党と共和党の考え方を比較していますので、対比して見てください。両党の違いがイメージできます。

第11回の授業は、こんな内容でした。

最後にお知らせです。新世紀の寺子屋は、子供を対象とした金融教育を行っています。現在4つのタイプの塾生がおります。
① 教室に直接現地参加の生徒さん
② オンラインで参加の生徒さん
③ 授業の録画配信だけの生徒さん
④ 金融教育に関心のあるお父さん、お母さん(オンラインか録画配信)
生徒さんは、いつでも募集中ですので、お気軽にご連絡ください。お試しに、録画授業を見てみたいという場合も、無料で送ります。

詳細は、以下のリンクを確認ください。

お知らせ③(金融教室 オンライン)|村松 一之(和キャピタル 運用本部部長) (note.com)

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