OW2のVCの使い方完全解説

こんにちは、AkihabaraEncountのclankです。
Overwatch(無印)からコーチ、大会解説、解説記事といった形で活動をしています。現在は個人での活動が主です。

今回は、”OverwatchのVCで何を話すとよいのか”について、試合の時系列に沿って難易度別に解説していきます。

チームでも有用な項目まで解説してるので、OW2でチーム活動始めたけどVCの使い方よくわからんって方の助けになるかもしれません

ちなみに今回の内容、完全に筆者流となっています。一応、合わせて5年以上の選手及びコーチ経験で得たノウハウで構成されているので信頼性はそこそこあると思います。

難易度解説

初級編:とりあえずやっといて損がない上、難しい判断もない
中級編:OWの知識や味方との連携が必要、チームにおける最低ライン
上級編:よりハイレベルな知識、連携を必要とする、チームレベル
IGL編:チーム向け、チームメイト間の強固な共通認識が必要になってくる

ヒーロー選択~試合開始

初級編

挨拶
→VCでは雰囲気をよく保つというのが最も重要です。大切。
特に即興性の高くなる野良では雰囲気の良さが勝率に直結すると言っても過言ではありません。
まずは「よろしくお願いします!」から始めてみて、可能そうなら雑談や構成の相談につなげてチームの雰囲気を良い方向にもっていきましょう。
威圧的な態度は味方を委縮させるので、できるだけ明るく爽やかに挨拶できるとよりよいです。

中級編

構成の相談
→味方のピックプールを聞いたりしてどんな構成をするか相談しましょう。
大事なのはそれぞれのできる最善で構成や作戦を作り上げることです。
競技シーンの構成や環境のメタにとらわれ過ぎず、柔軟にその時その時の最適解を味方と一緒に探しましょう。

例:「自分キリコとルシオ自信あるんですけどどっちがいいです?」

敵の構成見えたら報告
→マップによっては攻めリスポーンから敵の構成が見えることがあります。
見えた構成やヒーローのカウンターヒーローを運用できれば勝てる可能性は上がります。情報を味方と共有し必要であればピック変更を検討しましょう。

例:「ウィドウ見えますね。どうします?」

上級編

開幕後のルート取りやポジショニング、クリアリングの確認
マップによってはルートが複数あったり、抑えるべきポジションが複数ある場合も多く、どこを通ってポイントに向かうのか、どこに攻撃を仕掛けるのか、誰がどこを担当するのか、などの確認をしておくと開幕でぐだってそのままずるずると負けの展開につながることを防ぎやすくなります。

例:「基本メインルートですけど、正面きつかったら迂回してエリアとりましょう」

IGL編

大まかな戦術の確認と修正
→ミーティングで打ち立てた作戦やマップ攻略における要点の確認、イレギュラーの予測とその対処の確認をしておくとよいでしょう。
また、対戦相手によっては戦術を変える場合、前のラウンドを踏まえた修正も必要になります。

鼓舞
→チームの雰囲気が勝率に直結するのはチームでも変わりません。
軽い雑談や冗談で緊張をほぐしたり、時には激励などでチームの士気を高めましょう。

試合開始直後

初級編

掛け声
→チームの士気を高めるためのルーティンです。大切。
チームの雰囲気を損なうようなものでなければなんでもいいですが、代表的なもので言うと「ファイティーン」「よろしくお願いします」などです。
チーム活動でやる場合は、掛け声を統一しておくとルーティンの一つとして効果を発揮しやすいです。事前に決めておくとよいでしょう。

中級編

敵構成の確認と共有
→試合開始後、敵の構成が確認できた段階で構成とポジションを味方に共有しましょう。ピンも立てるとなおよしです。

例えば敵にウィドウメイカーが見えた場合、「ウィドウいる。射線注意しよう。ピンたてとく」といった程度です。
簡単すぎると思うかもしれませんが、たったこれだけでウィドウを視認できてない味方がピークした瞬間に撃ち抜かれる事故が起こる確率をぐっと抑えることができます。(それでも撃ち抜かれるときは撃ち抜かれますが…)

リスポーン解放後15秒が経過するとtabキーで見れる戦績から敵構成が見えるので、接敵まで余裕があるマップでは戦績から確認したほうがより確実です。

例:「敵ファラいるからバティだす。ちょっと待ってて」

上級~IGL編

作戦の修正や敵対策の共有
→敵構成の共有するだけでなく、敵構成への対策や注意点まで共有したり、あらかじめ決めておいた作戦の修正も併せて行いましょう。大抵の場合、難しいことを話す時間もないのでできるだけ簡潔に行うのが良いでしょう。
とにかく判断の早さとVCに従って動ける統率力が大切になります。

また、エスコートハイブリッドの攻めで構成不利の場合は一旦リスポーンに戻って構成を変更することもできるので、その旨を味方に伝えて集団戦を起こさずに構成を変えることも選択肢に入れておくとよいでしょう。

例:「敵ラッシュ構成。前でれないから外周からポイント入ろう。落としと詰めてくるの注意」

集団戦開始前

初級編

人数確認(リグループ判断)
→集団戦を起こす前には必ず敵味方の人数を確認して、本当に今集団戦を起こしていいのかどうかを確認しましょう。
5人揃っているまたは相手より人数が多い状況なら集団戦を起こしてもいいですが、人数が揃っていない場合は一旦引いてリグループを待つ必要があります。
この時、デスしている人は「今こっち○○(自分のロール)1人いない!もうちょっと待てほしい!」などデスしているアピールをしてリグループを促すといいでしょう。

例:「人数揃ってないよ。一旦落ち着こう」

ヒットコール
→敵にスキルや大きなダメージが入った場合に報告します。代表的なとこで言えばアナの阻害瓶やスリープなどですが、DPSのヘッドショットなども集団戦を始める上での大きな足掛かりになります。
これによってフォーカスを絞って集団戦に入ることで1kill目がスムーズに取れたりするので非常に重要です。

重要なので言うときは声を張ったほうが良いですが、場合によってはただうるさいだけになったり、フォーカスを乱すことにつながるので注意しましょう。

例:「○○に阻害入った!!!」「○○あと1ミリ!!」

中級編

ULT確認
→ULTは集団戦を左右する非常に重要な要素になります。
敵味方にULTがそれぞれ何個あるのか、それらをどう使うのか、どう対策するのかなどを話しておくと目の前の集団戦の勝率を上げられるだけでなく、ULTの無駄撃ちを防いで次の集団戦に回すことで次の集団戦の勝率を上げることも期待できます。
1つ前の集団戦で敵が使っていたULTの確認からすると次の敵のULTが予測しやすくなります。

例:「敵何使ってた?」「レイジとデスブロかな」「じゃあ次狐あるね。使われたらサウンドバリアでカウンターするよ」

例(IGLレベル):「さっき敵、狐とレイジとデスブロ使ってた。次はULTの数有利だから勝ちに行こう。狐走りスタートで最後デスブロで〆る感じで。相手が2個ULT返して来たらサウンドバリア使う」

エンゲージポジションの選定、確認
→要はどこで敵を押さえるかの確認です。特に主導権を握りやすくセットを組みやすい防衛の時必要になります。
代表的なポジションはドラド第1の橋下、キングスロウ第2の門などです。
OWのマップにはこういったわかりやすいチョークポイントが設定されていますが、中にはこういったチョークポイントが設定されてないセクションも多く存在します。
そういう場合には何かしらの障害物やピンを目印にして、敵を押さえるポジションを味方に共有しておくと連携が取りやすくなります。
また、ダイブ構成やラッシュ構成は押さえるポジションとは別に、どこに飛び込むかの共有もできているとその後の展開がスムーズになります。

例:「この角で当たるよ。チャンス来たら奥の門あたりまで飛び込む」

敵の位置とルートの報告
→集団戦を起こす(イニシエートする)には敵の位置情報が必須です。
敵の位置やルートにピンを撃ちながら報告することで、よりよいポジションで集団戦をおこしやすくなったり、ポジションによってはチョークポイントを抜けさせずに抑えることもできます。
特に敵がメインルートを避けてサブルートを通ってくる場合や、単独でルート取りしてくるフランカーやアングルを取っているロング~ミドルレンジDPSの位置など、それらは共有できてるかどうかで集団戦の勝敗が分かれるほどなので気づいたら必ず報告しましょう。

例:「敵サブルートと通ってきてる」「トレーサー裏にいる」

上級編

ルート取りとポジショニングの確認、修正
→敵の位置やルートが共有できたら今度はそれに応じたルート取りやポジショニングの確認と修正を行いましょう。
この時、味方との位置関係も重要になるのでポジションを変える場合は適宜報告しつつ、極力互いが連携の取れない位置取りにならないように味方を制止したり誘導したりすることが重要です。

例:「敵下がってるから前詰める」「OK。左に入りすぎるとカバーできないから気を付けて」

スキルとHPの管理
→こちらもイニシエートするための判断材料になります。
敵の重要スキル(無敵、回復、移動、CCなど)が無ければファーストフォーカスで敵を倒せる確率が非常に高くなります。
また、人数が同じであればHPがより多いほうが有利といえるため、敵味方のHPを把握、共有できれば次の展開を作りやすくなります。
こういった重要スキルを敵や味方が使った場合、HP差が大きく開いた場合は試合展開が大きく動く場面となります。必ず報告しどう動くか判断しましょう。
これらはバックラインから視野を広く持つことができるサポートが請け負うことが多くなります。

例:「リーパーレイス切った。フォーカス!」「こっちヒール足りてない。一旦引いて」

ファーストフォーカス対象の設定
→OWにはフォーカスといってチーム全体で同一の敵を狙うことで確実に迅速にキルを取る基礎的な連携がありますが、その対象というのは集団戦が始まってからではなく始まる前に大雑把に決めて、その対象にフォーカスをかけるためにポジショニングすることが必要です。

大事なのは”大雑把に決める”ということです。誰か一人を最初から狙うことも珍しくありませんが、2人位に的を絞っておいて展開次第でどちらかにフォーカスを定めるという形をとることで柔軟性を確保することができます。

例:「ラインハルト押さえながら、ソジョーンかアナが門まで上がってきたらダイブしよう」

IGL編

プランニング(戦術目標の設定と作戦立案)
→単にULTをどう使うか、どこで当たるかだけではなく、ラウンド全体を見渡した時に目の前の集団戦で何を達成すればラウンド取得につながるかを考えて戦術目標を設定し、それを達成するためのプランを味方に共有します。

中長期的な視野とそれを基にした高度な判断力が必要になります。

例:「ULT負けしてるからULT使わせたい。じっくり有利作ってプレッシャーかけよう。ULT使われたらいなすためにスピブ用意しといて。人数差できたらULT使わずポイント触りながら1kill狙う感じで」

集団戦開始~

初級編

イニシエートコール
→特にダイブ構成とラッシュ構成で重要な前に飛ぶためのVCです。
これらの構成はチーム全体で動き出すタイミングが揃わないと効果が半減します。
なので慣れないうちはカウントダウンなどをしてタイミングを合わせることで味方全体の動きを統率するとより効果が高まります。
ただしカウントダウンは高いレベルになるほど悠長な行動になってくるので、慣れてきたら最終的にカウントダウンなしでも息を合わせられるのが理想です。

例:「3秒後飛ぶよ。3,2,1,飛んだ」
例(上級):「一旦高台押さえたい。飛ぶよ」

フォーカスコール
→OWの基礎連携であるフォーカスを成立させるためのVCです。基本はフォーカス対象のヒーロー名を連呼する形になり、他ゲーでOW勢のVCは大変やかましいと言われる主な原因です。先ほども説明した通り最初のフォーカス対象は事前に決めておきましょう。

慣れてきたらセカンドフォーカスに移るためのコールもできるようになるとフォーカス対象の切り替えが上手くいきます。
また、事前ミーティングで条件を設定しておいて、ファーストフォーカスの敵が倒せてなくてもフォーカスを切り替えるパターンなどを決めておくとより柔軟な戦い方ができるようになります。

例:「アナアナアナアナアナアナアナアナ!!!!!!!!!!!!」
例(上級):「ゴリゴリゴリ!!!リーパーレイス切った次リーパー!!!リパリパリパリパ!!!!!」

ヒットコール
→集団戦前にも説明した項目ですが、これは集団戦中でも、というか集団戦中のほうがより重要です。
ヒットコールによってセカンドフォーカスが決まったり、不利な状況をひっくり返すチャンスが共有されることもあるので重要なスキルを当てたり、敵の体力を大きく削ったときは必ず報告しましょう。

例:「アナアナアナ!!ソジョーンヘッショ!!!!!次ソジョーン!!!!!」

人数差報告
→人数差はキルが発生した際最も明確に有利不利を把握できる指標となります。キルまたはデスが発生するたび必ずカウントしていきましょう。

特にデスしている人は人数報告しながらリスポーンを待つと生き延びているメンバーが少し楽になります。

例:「今3対3、ULTで勝てそう」

中級編

カバーコール
→味方にカバーしてほしい時のコールです。
デスしそうなときや、これからリスキープレイやチャンスメイクをするときに重要となります
このコールが通らないと大抵デスにつながるので声を張ったほうが良いですが、不必要にカバーを要求すると狼少年になるので使いどころは見極めましょう。
また、カバーコールしたところで無理なものは無理なので諦めも重要です。たとえカバーがこなくても味方を責めることだけはやめましょう。

例:「裏からデスブロする。無敵とスピブちょうだい」「レイス切っちゃった!!カバープリーズ!!!!!お願いします!!!!!」

スキルコンボ、ULTコンボ
→ナノ龍撃剣などのコンボを決めるときの合図のコールです。細かいものだとフック+阻害(鈴)、スピブ+チャージなどもあります。
こういった細かいスキルコンボを決めることができれば、より強力にスキルを運用することができます。
カウントダウンまですることはないですが一言発するだけで成功率がぐっと上がります。

例:「ナノちょうだい!龍剣使う!」「フック投げる!」

スキルとHPの管理及び押し引き
→集団戦前と同様サポートが主に担当します。敵味方のスキルとHPを管理、共有することで、今有利なのか不利なのかを報告していきます。

また、これによって集団戦を継続する(押す)のか中断して回復に努めるのか(引く)の判断まで下します。
押し引きはタンクが判断することもありますが、より視野を広げられるサポートが行うことでより正確な判断がしやすくなります。

例:「今HP有利、アンプ5秒後。注意しながら前でていいよ」

ラウンド間

基本はヒーロー選択時と同じになりますがいくつかラウンド間だからこそできることもあります。

上級編

敵の対策、戦術の修正
→前のラウンドで起きたことを整理して、対策を立てましょう。ただし、前のラウンドと全く同じとは限らないこと、基本は自分たちの得意を押し付けたほうが練度は高いということを念頭に置くのが大事です。

マップの変化や自分たちの用意しておいた作戦と照らし合わせながら調整していきましょう。

例:「さっきファラマやられたから、対策でエコー出そう。出してこなくて刺さらなかったら捨て身でダメトレしてデスしたら変えて元の作戦に戻そう」

試合終了後

初級編

挨拶
→大事です。
どうせなら気持ちよく終わりましょう。

例:「ggs ありがとうございました~」

よりレベルの高いVC連携のために

主にチーム向け、特にIGL向けの内容になります。

簡潔にわかりやすく

VCの内容が複雑だと伝わらず連携ミスが頻発します。できるだけ短い内容を分かりやすい単語で伝えましょう。

とにかく即断即決

悩めば悩むだけ実行するための時間は減り、チャンスを失います。
試合中に100%の解答は出せないと割り切って、プランの内容が正しかったかは反省会で吟味しましょう。

状況把握→指示→目的

集団戦中など差し迫った状況では上記の順に指示を出すと効率が良くなります。
個人個人の作戦理解度、ミーティングでの共通認識の醸成状況によりますが、それらが十分であれば状況把握の時点で次の一手はほぼほぼ頭に浮かんでくるようになり、そうなればより迅速に行動できます。

言い出しっぺの法則

最初の発案を採用するというもので、これも時間を節約するためのテクニックです。
あまりにも妥当性がない時はストップをかけていいですが、基本は最初に出た案を軸に作戦を肉付けすることでプランニングにかかる時間を短縮してセットアップのための時間に回すことができます。
1人1人の理解度を深めることでより効率的な発案を可能にします。

VCはリアクションが大事

VCは聞いているだけでは意味がありません。
VCで共有された情報を基に行動することこそがVCを使った連携の本質です。
味方の発案、情報共有には「了解」「OK」などで返答し、その状況に即した行動をとりましょう。

VCはあくまで補助輪、本質はミーティング

VCを支える根底は共通認識にあり、それを作り上げるのが綿密なミーティングです。
例えば複雑な作戦内容も、「あの作戦やろう」で済めばそれだけ他のVCに時間を割けますし、ダイブタイミングなどの細かな連携もいちいちコールするのと勝手にそれぞれが味方の行動に合わせるのでは効率が全く違ってきます。

阿吽の呼吸も、試合の裏で膨大な話し合いがあってこそです。
動きが合わない、呼吸が合わないときに安易にVCでタイミングを合わせようとするのではなく、しっかりと話し合うことで共通認識を固めましょう。

あとがき

以上、VCでしゃべったほうが良いことの解説でした。

項目めっちゃ多かったので抜けがないか不安ですが、気づいたらちまちま追記していきます。

野良ランクだと中級編を完璧にこなせれば十分だと思います。
上級、IGLレベルだと結構VCだけでキャリーできるのでチームで活動したい人は意識してみるといいかもしれません。

というわけで、ここまでお読みいただきありがとうございました。
普段は夜に配信してますので、何か質問あればお気軽に聞きに来てください。

それでは。

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