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【OW2メタレポート】OverwatchLeague2023PlayOffをもっと楽しむための記事

レバンガ☆SAPPOROOW部門コーチのclank(@clank_ccc)です。

タイトル通りOW2の競技シーンメタレポートになります。
2023上半期はメタの動きが非常に乏しかったのですが、イラリー実装後からメタが激変。八月中旬から非常に変化に富んだ競技環境が形成されました。

今回はイラリー実装後からのメタの移り変わりを振り返りつつ、ザリア強化によってさらなる変化を迎えるOWLplayoffの環境をさっくり考察していきます。

1:メタの振り返り

1.1:イラリー実装!

まずは現在の競技環境の基となったイラリー実装ですが、彼女の登場とそれに伴う大幅なバランス変更によって、半年近く続いていたウィンストンダイブ構成は大きく数を減らすこととなりました。

見慣れたを通り越して若干飽きてきてた

その代わりに台頭してきたのが、のちに4DPS構成とも呼ばれるオリーサポーク構成。

大量のヒールをしながらトレーサーを単騎で追い返せるサポートラインを手に入れたことでダイブ構成を受けて返す、またはダイブの準備段階で体力を削ってジリ貧に持ち込むことができました。

DPSはマップや相手によって使い分ける

初期は特に対ダイブ構成に寄せたトールビョーン採用が目立ちましたが、ダイブ構成が減るにつれ、ミラーマッチ意識でソルジャーやソジョーンとイラリーでサイドのエリアから囲い込む戦術へと移行していきました。

バスティオンは数を減らす時期もありましたが、プレイイン終盤になるにつれ復権。正面の削りとサイドからの囲い込みの両面で戦おうとすると、どうしてもバスティオンがいる分正面が有利といった試合展開が多く感じました。

ちなみにダイブ構成は大きく数を減らしたものの、特にプレイオフへの参戦が既に決定していたAtlanta,Houstonなどのチームが起用してオリーサ構成に勝利も収めているため、実はオリーサ構成に対してダイブが不利というのは思い込みの可能性もあったりなかったり。
↓はAtlantaがダイブ構成で4DPSを破壊している試合。

プレイオフ確定組が構成隠しに流していただけの可能性もあるだけに判断がつかないところです。

1.2:環境は動き続ける

というわけで一旦イラリー及び4DPS構成が最強かと思われたんですが、全くそんなことはなく。

イラリー実装後1~2週間ほどの爆速で4DPS構成に対する解答が徐々に現れ始めます。
一つ目は主にDallasFuelが用いていたJQラッシュ構成。

攻撃力全振りで防御面はそこそこ
かなりピーキーな構成

イラリー実装前にもコントロールマップで対ダイブ構成として出ることもあったJQラッシュがこの環境でも活躍していました。
4DPS構成相手には角で射線を切って待ち伏せし、スピードを活かしてバックラインに突撃して一気に勝負を決めるような形です。

はDallasFuelによるJQ構成の殲滅力の恐ろしさがよくわかる動画

二つ目は主にゲンジの採用。
JQラッシュでも採用されていたゲンジですが、オリーサ構成にも採用される形が増えていきました。
ヒットスキャン多めの4DPS構成はゲンジへのカウンターが難しく、龍撃剣も比較的通りやすいことから採用が増えていきました。

この二つは4DPS構成の”足の遅さ”につけ込む戦術と言えます。
4DPS構成は足が遅くバックラインに一度取りつかれてしまうと中々振り払えず火力を発揮することが難しくなるので、機動力を使ってその状況の再現性を上げようというアプローチです。

特にゲンジは4DPSのサイド取りも潰しやすいことから。シナジー無視で採用されることも多かった印象です。

1.3:もうラッシュでよくね?

さて、イラリー実装から動き続けた環境ですが、同パッチ最後の大会のOWLplayinではラッシュ寄りの構成に落ち着きを見せます。
4DPS構成もルシオを採用し、ラッシュとゲンジを対策する傾向が強くなっていきました。

ポーク構成対決になるとどうしてもサイドのエリア取りの対決となり、それを有利に進めようとすると機動力が欲しくなってだんだんとラッシュ(ルシオ、シンメなどの採用)に寄っていったという環境の流れでした。

そして以下がOWLplayinを見た後に作成した競技環境におけるtier表となります。

最終的に

環境の中心: オリーサ構成(4DPS&ルシオ採用型)、JQラッシュ
エスコートハイブリッド防衛:シグマ採用でポークに寄せた構成
高台マップ:Dvaを中心にダイブ&ポークのハイブリッド構成
LondonSpitfire:ハルトシンメバスバティルシオ

といった構造が出来上がりました。
基本的にラッシュとポークを折衷した構成コンセプトが多かったものの、ヒーロー構成が完全に固定されているコンセプトは殆ど無く、チームやマップ、相手の構成に合わせて柔軟にヒーローを組み替える環境でとなっていました。

そういった各構成にグラデーションがある対応力が求められた環境のせいか、4DPSにこだわっていたチームはPlayInですべて敗退する結果となりました。

そんなラッシュ優位の環境を象徴するのがLondonSpitfireのハルトラッシュ構成でしょう。
対オリーサの相性の悪さから敬遠されていたラインハルトを用いて数多のオリーサ主体のチームを下してPlayOff出場を決めています。

↓はLondonがPlayOff出場を決めた一戦。対するTorontoは4DPS主体チームの最後の生き残りでした。


一方でラッシュ系の構成が当時最強だったかというとそこは断言できません。
一部のチームはレッキングボールやドゥームフィストを用いたダイブ&ポークの構成でラッシュ構成に対抗しようといった動きが見られました。

実はGOATs時代から存在する。採用ヒーローは多岐にわたる
コラプションダイブとも言ったり言わなかったり

これらはディスラプション(混乱)ダイブと呼ばれ、グループアップしたい敵を広範囲のノックバックで攪乱、拘束、分断しながら一方的にエリア展開を行い、ダイブやポークにつなげていく構成になります。

コンセプト上運用すら難解な構成であるものの、陣形を広げられない構成に対しては有利に立ち回れます。

最近では日本のVarrelがContendersの舞台で披露し勝利を収めています。

最終的にPlayInでディスラプションダイブが主流になることはありませんでしたが、現在のザリア強化後のパッチでは少なくないチームが採用しており、同じパッチで行われるPlayOffではさらなる発展が見込まれます

1.4:ヒーローへの補足

ここでは環境で活躍したもののやや説明不足となったヒーローへの補足となります。

バティスト
集団で動く構成と相性抜群。バスティオンとの相性も非常に良好でラッシュメタに移り変わった後も高いピック率を維持していた。

アナ
ピック率はバティストに大きく譲るもののシールドが少ない環境で活躍はしやすかった印象。特にエコーとのシナジーが◎。

ソルジャー76
イラリー実装後の出世株。エリア取りのためにマップを走り回って囲い込みに回るのが役割。「火力が高くて鈍いトレーサー」のようなイメージ。

シンメトラ
対オリーサの最終兵器。ジャベリンスピンを無視して火力を通せるだけでなく、エリア取りのためのTPが非常に強力だった。

エコー
環境的には非常に立ち回りづらいものの、その瞬間火力が高く評価されダイブ構成を成立させるためのキーパーツとなっていた。

キリコ
イラリーよりも攻撃的なエリア取りが可能。JQミラーではJQの脆さをカバーし、ランページへのカウンターにもなる。

2:PlayOff考察

2.1:環境考察

ここからはPlayOffの環境考察となります。

さてOWLPlayOffではライブサーバーに導入されているザリア強化パッチが適用されることとなっています。(バスティオンナーフも適用されるかは不明)

そんなザリア強化パッチで新たに台頭してきたのが以下のような構成。

別名ゴーストダイブ
CT2秒減少を活かすためバリアショット(他バリア)を多用する

ゲンジまたはリーパーがバリアをもらいながら前に出て、それに追従するように前線を押し上げていき、最後は高エネルギーザリアと再度バブルをもらったゲンジリーパーで近距離戦に持ち込んで〆です。

性質上ヒットスキャン多めの構成に強く出れるのですが、これがどこまでPlayInで戦えるか、その結果によってどのように環境が変化するかですが、

結論から言えば、ほぼPlayInからの地続き環境でそこまで大きな環境の変化は起こらないと考えます。

理由は主に二つ
1,ザリアがバフされたものの絶対的なほど強くなく、Contendersでも選択肢になる程度の採用率に落ち着いている。
2,PlayInでの主要な構成にナーフが入ったものの、どれも小幅で痛手と言えるようなものがほぼない(バスティオンのアーマー獲得の削除は痛手)

とは言え、あくまでPlayInから”地続き”となると予想しますので、それなりの変化はあるでしょう。

特にディスラプションダイブとザリア構成の台頭を切っ掛けに、それらに有利なダイブ構成を選択するチームも増えるでしょう。そうでなくとも最上位のチームは4DPS環境でもダイブ構成を好んで選択していました。

そのため、ダイブ構成に一度回帰し、そこに受け特化の4DPSが復権し、そのメタにゲンジルシオが増えて……のようにジャンケンのような環境、あるいはマップ、対戦相手に合わせて最適な構成を探る必要がある環境になることも考えられます。

メタの永久機関が完成しちまったなアア~‼

まあとはいえ、こういうなんでもアリな環境になったときは対応力の高い構成に収束しやすいというのがOWの通例です。

練習時間は限られますから、様々な構成に5分~微有利以上が取れる一つの構成に全力投入して練度で相手を超えてしまおうという理屈です。

その対応力の高い構成が何になるかは断定できませんが、個人的には今までの傾向から多分ラッシュ系の構成かなあとは考えています。

2.2:注目チーム

ここで長々とチームについて語ろうと思いましたが、当日実況解説を行うhoshimi(@tf2hoshimi)さん、gappo3(@gappo3gappo3)さんがチーム紹介&勝利予想動画を投稿していたのでこちらをご覧ください。

というわけで、僕も予想をしていきましょう。

1,Atlanta Reign:オールラウンダーチーム。どんなメタでも優勝候補。

2,Florida Mayhem:エリアコントロール最強。

3,Dallas Fuel:JQラッシュなら最強。

(4,London Spitfire):ハルトメタ最強。

僕の予想はこんな感じです。環境がラッシュ系に寄る予想を基にラッシュが強いチームを集めました。

ラッシュ対決だと正直この4チームに大きな差はないですが、Atlantaのタンクd0nghakがボールを扱えることで他チームをディスラプションダイブで出し抜ける分優勝に最も近いかなと考えます。

最初MayhemとDallasは逆だったんですが、hoshimiさんとまる被りだったので変更。
まあスローテンポな試合展開を作れるならMayhemに分があると思うので、正直ここは時の運しだい。

ラッシュメタ一点読みでLondonを四位予想ですが、グループ分け的にはPlayInで一度負けてるBostonと初戦を戦い、そこで負けるとディスラプションダイブを扱えるSparkと対戦する可能性が高いという死のグループです。Londonの勝ち抜け予想は相当大穴ですが、戦術的にも見ていてすごく楽しいチームなのでできるだけ沢山の試合が見たいというのもあります。

ちなみにHoustonを上位4チームに入れてないのはDPS二人がラッシュ系の環境とあんまり相性がよくなさそうだからです。ダイブメタに環境が寄るなら2位or優勝かなと思います。(さりげない保険)


というわけで以上となります。
2023OverwatchLeagueをめいっぱい楽しんでいきましょう。

それでは。

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