肺腺がんになった(4:PET-CT)
2023年12月初旬ににPET- CT検査の予約をした。
CT検査は形の異常を診るのに対し、PET検査はブドウ糖代謝が体内のどこで活発に起きているかを観察することができる。
がんは増殖するためにブドウ糖を大量に消費する。PET- CT画像では目印をつけたブドウ糖を注射して撮影することで、代謝が活発な部分ほど赤く表示されるという仕組みらしい。
また、全身を一度に診ることができるので、転移の有無など診断の精度を上げることができるのだという。
(やっぱり、がんなのかな)
当日は朝食抜き、水やお茶は飲んでいいと言われた。
朝一番に受付を済ませると、いつものレントゲン室とは違う地下の検査室に通される。
検査着に着替えるため個室に入ると、テレビモニターとリクライニングチェアがあった。
「今回は2回撮影します」
「1回目の撮影まではテレビは見ずに安静にしてもらいます」
「テーブルのコップには水が入っていますので、飲んでいただいて結構です」
「時間になったらアナウンスで呼びますので、個室横のトイレで排尿を済ませて、撮影室へお願いします」
「それと、個室の中は常にカメラで見ています」
「何かあれば駆けつけますので、安心してください」
着替えを済ますと点滴を通して検査薬を注射された。
言われた通り、リクライニングチェアで目を閉じて静かに過ごす。安静とは裏腹に頭は不安でフル回転だ。
わずかに体を動かすだけで、カチと小さな音がする。
(カメラにセンサーがついているんだ)
(安心というか…落ち着かないな)
(全身の検査)
(肺だけとは限らない)
(仕事どうしよう)
(部屋も片付けなければ)
(もしものことがあったら)
(保険証書、夫に渡した方がいいだろうか)
(母になんと言おう)
「3番の方はトイレの後撮影室にお願いします」
部屋に直接アナウンスが流れた。
細長いベッドに横になる。
閉所恐怖症ではないが目を閉じた。
結構な音がする。
痛くも痒くもない。
(エントリープラグってこんな感じかな)
1回目の撮影が終わると再び個室へ戻る。
「この後は、テレビを見ながらの安静で大丈夫です」
水を飲みテレビをつけたが、頭に入ってこない。
(夢を見てるみたいだ)
ワイドショーを眺めて過ごすとアナウンスがあった。
同じように2回目の撮影を終えて、着替えを済ませ、
昼食をとり次第、出勤すると職場に連絡をした。
ことごとく検査のタイミングと来客が被り、出社するなり頭を下げながら来客時の引き継ぎを受け事後処理に追われる。
定期検診以降、毎日がすごい勢いで過ぎていく。
翌日昼休み、担当業務の進捗状況をまとめつつ、12月から1月までの業務リストを作った。
がんの告知を受けるかもと、覚悟したからだ。
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