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4M管理の具体的な方法、変化点を見逃すな!

製造業に限らず、小売業でも、サービス業でも、顧客満足度を向上させるためにも、4M管理(変化点管理)を実施することが求められます。
4M管理のポイントは変化点を見逃すことなく捉え、予想される不具合を未然に防ぐ事です。

■ 工場の生産工程における4M
工場では生産の4要素「人 (Man)、機械 (Machine)、材料 (Material)、方法 (Method)」が生産や品質の管理を行うための重要な要素です。これは小売店や、飲食店なども、同じ考え方が通用します。

4Mが変化するとそれが原因で工程内で色々な不具合が発生するため、あらかじめ4Mの変化が起きないように、また変化が起きたときは予想される不具合を想定して、不具合が発生しないように管理を行うことが重要です。

(1)4Mの変化点と優先順位
では、4Mの変化点とはどのようなことを指すのでしょうか?以下に例を示します。
人(Man)・・・ 作業者の交代、現場管理者交代、始業/就業、深夜残業、休日出勤、病気、家庭事情・・・
機械(Machine)・・・ 修理、改造、点検、治具変更、型変更、故障、停電、破損・・・
材料(Material)・・・ 設計変更、メーカー変更、仕入れ先変更、購入ロット・・・
方法(Method)・・・ 作業方法変更、検査方法変更、工程変更、作業場所変更・・・

変化点はたくさんあり、全てを管理することは出来ません。そこでどの変化点を最優先に対応すべきかを決めます。優先順位付けは、変化点の発生頻度、製品の品質特性に与える影響度合、損失推定金額などを評価項目として、順位付けするという方法を取ります。

(2)変化点の定義と周知
優先順位付けされた変化点が決まったとしても、その変化点が現在起きつつある、あるいは今起きたということを何らかの形で知る必要があります。問題が発生してから、あの時のあの現象が変化点だったのだと、後悔しても後の祭りです。品質マネジメントシステムの規定の中で、決められた人が決められた通りに忠実に実行することで変化点が自ずと検知できるような仕組みを作っておきます。、

・設計変更の発生・・・設計変更が発生したとき、関連部署への設計変更通知の配布
・設備メンテナンス・・・メンテナンス予定表の配布
・定期的な生産会議、品質会議実施・・・材料の変更、治工具の変更、工程レイアウトの変更等の情報を、関連部署へあらかじめ通知し事前に対策が打てるようにする

(3)変化点の記録
また、不良の発生原因を追及したり、どのロットに影響を与えたかを後から調べるために変化点の記録を取ることも重要な管理の一つです。
・作業日誌・・・ 誰が,何日の何時から何時まで、何の作業をいくつしたか?を毎日記録する。
・設備記録・・・ 仕業点検、定期点検・部品交換、故障・修理の記録(いつどんな故障が発生し、いつ復旧したかを記録する。
・材料のトレーサビリティー・・・材料の入荷日、庫入日、庫出日、ロット番号、メーカー名等を記録する。
・設計変更記録・・・ 加工方法、作業方法、材料などの設計変更の内容、適用時期等を記録する。
・検査記録・・・ 抜き取り検査記録、寸法検査記録、不良品の修理記録等

(4)変化点発生時の処置
品質に重要な影響を与える変化点が発生したときは生産をそのまま続行するのではなく、変化点によって生産工程に支障が起きないかをます検討します。
・今までの製造方法を変更すること無く品質が確保できているか。
・その変化点内容が影響する管理ポイントは何か。新規に管理すべきポイントはないか。
・工程能力に変化はないか。影響があった場合は、所定の工程能力を確保するための対策はなにか。
・作業者変更の場合は、監督者が作業者の作業手順や生産された製品の“できばえ”を確認する。
・作業者変更後の製品を抜取り検査頻度を増加したり、測定個所を多くする。

(5)不良が流出してしまったら
不幸にして不良が流出してしまった場合は4Mのどの要因で不良が発生したのか、また流出したのかを、4M変化点の記録(3)項を基に調査し対策します。
その場合(2)項の変化点の定義と変化点発生時の処置に不備が無かったか?(4)項の変化点発生時の処理に問題は無かったか?について詳細に調べます。

そして、対策としては
・品質マネジメントシステムの規定を見直し変更する
・変化点の定義の見直しと関係部署周知の方法を見直し改善する
・変化点発生時の処置方法を見直し改善する
PDCAサイクルを回しながら、改善し管理のレベルアップを図っていきます。

(6)品質管理の目的
品質管理の目的は、外部から工程に不良を入れない、工程で不良を作らない、不良は外に出さないことです。それにはどうすれば良いか?工程を乱す要因は「ばらつき」です。一定のペースで工程を流すことを邪魔する「ばらつき」が4M変動です。4M変動をうまく捉え、コントロールすることによって不良の発生を未然に防ぐ事が出来ます。それが本当の意味の4M管理なのです(予防保全)

検査で不良の流出を防ぐことも品質管理の一つの方法ですが、それでは工程の無駄が生じ、しかも納期を守ることは難しくなります。

「強い工場」とは、「4M管理の仕組み」「PDCAを回す仕組み」がしっかり出来ていて、その通り実施している工場を指します。

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