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小説・ショートショート(つくり話)

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記事一覧

『軽く狂った感じのショートホラー本が頭に当たった!』 ~エピローグ~

 大学4年生の立希(たつき)は、アルバイト先から自宅に戻る途中、住宅街の夜道で頭に衝撃を受けた。  衝撃の正体は、『軽く狂った感じのショートホラー本』と題されたハードカバーの本であり、その表紙には、ピンク色の鳥が逆さ吊りにされた気味の悪いイラストが描かれている。  気になった立希が本を開くと、冒頭に『アヒル口の麗子』というミステリアスな美女が登場し、立希は本の内容に興味を持つ。  本を片手に近くの公園に移動し、ベンチに座って本を読み進める立希。  ストーリーはオムニバス構成に

『軽く狂った感じのショートホラー本が頭に当たった!』第3話 ~🤷🤷‍♀️🤷‍♂️←この人たちの恐怖~

『第3話 🤷🤷‍♀️🤷‍♂️←この人たちの恐怖』  オレが誰かって?  名乗るほどのもんじゃねえよ。  noteっていうSNSで投稿を続けている、いわば人気noter様だ。  未だに独りもんだけど、有料記事が売れているお陰で、とっくの昔に勤め人生活とはおさらばして、今はnote専業で食ってるってところだ。  まあよろしくな!  あぁ、もうそろそろ今回の投稿記事も完成だな。  最後は『会話劇』の流れにして……ここで、オレのお決まりの人気ギャグをオチにしておこうか……。 「まぁ!

『軽く狂った感じのショートホラー本が頭に当たった!』第2話 ~膝を失ったおっさんたち~

『第2話 膝を失ったおっさんたち』  20xx年、政府は未だに我が国の自殺率の高さに頭を悩ませていた。  今世紀初め、厚生労働省の人口動態調査を基にした自殺者数推移の統計では、毎年3万人前後であった自殺者が、その後、右肩上がりで増え続け、数年前に6桁に達して以降、未だに衰える様子はない。  支持率に悪影響を及ぼすことを心配した我が国の首相は、各関係省庁に徹底的な原因究明の調査を求め、国民にも広い範囲で協力を呼び掛けた。  根気強い調査と幅広い層を対象としたアンケート結果に基づ

『軽く狂った感じのショートホラー本が頭に当たった!』第1話 ~昔の人たち博物館~

『第1話 昔の人たち博物館』   小学1年生の桃彦(ももひこ)は、お父さんと2人暮らしをしていました。  自分のお母さんの顔は、見たことがありません。  お父さんからは、「お母さんは、お星様になったんだよ」と聞いていましたが、それはお父さんの嘘であると桃彦は思っていました。  お母さんはお父さんから『逃げた』ということを、前にお父さんがいないとき、お婆ちゃんと親戚の叔母さんが話しているのを聞いたことがあったからです。  桃彦には、大人の話はよく分かりませんが、お母さんはお父さ

『軽く狂った感じのショートホラー本が頭に当たった!』~プロローグ~

~プロローグ~ゴンッ!「痛ってぇ~! イテテテテテテテテテ! 痛ってぇよ、何だよ!」  季節は春、連休前の金曜日、時刻は午後10時41分と32秒のタイミングで、アルバイト先から自宅に戻る立希(たつき)は頭に衝撃を受けた。    立希は地方の大学に通う学生であり、今年、4年生になったばかりである。  彼女もおらず、大して仲の良い友達もいない立希だが、かと言って勉強に専念し、人間関係を築く余裕が無かったのかと言われると、そうでもない。  これまでの3年間、さほど勉強熱心な学生とも

ピンク鳥🐦🐦の『ピヲピヲ悩み相談室』-9(16人の怒れるフォロワーさまたち、バード🐦さんを食べる?!)

🐦GW企画! 涙ToTの特別ウザ回🐦《長らくハミング🐦の相棒ヲ務めてきたバード🐦がついに死ぬ?! 本作は、長編枠でヲ送りします! どうかバード🐦の運命ヲ見届けてやってくださいToT🐦🐦》 ~🐦前回のあらすじ🐦~ ついにハミングバード🐦との対面を果たした16名のフォロワーさまたち。 一向に「22羽の逆さ吊りピンク鳥🐦たちの脱出シナリオ」を完成させないハミングバード🐦に理由を問い質すが、どうやらハミングバード🐦は『怪しい集団』に脅されているようである。 そして、何とハミングバ

ピンク鳥🐦🐦の『ピヲピヲ悩み相談室』-8(16人の怒れるフォロワーさまたち、ハミングバード🐦を詰める)

~🐦前回のあらすじ🐦~ 一向に「22羽の逆さ吊りピンク鳥🐦たちの脱出シナリオ」を完成させないハミングバード🐦に怒りを燃やす16名の優しいフォロワーさまたち。 『甘ったれたピンク鳥🐦たちに説教をする団体』の3人組に導かれ、フォロワーさま一同は、ハミングバード🐦がいると思われるピンク鳥🐦村に辿り着いた。 一本の木の前に案内された一同は、幹の一部が切り抜かれ、中がちょうど鳥🐦小屋のような空洞になっているのを発見した。 空洞部の出入口には、小さな木の扉が付いており、ツン👉と指で

ピンク鳥🐦🐦の『ピヲピヲ悩み相談室』-7(16人の怒れるフォロワーさまたち~ハミング🐦を追え!~)

「あの鳥🐦め! せっかく私たちが『逆さ吊りピンク鳥🐦脱出シナリオ(A)』に投票したっていうのに!」 「いつになったら『脱出シナリオ』ヲ書くんだ!」 「抗議してやる!」 「毟ってやる!」 冒頭から、何やら怒り心頭の方々、、、。 そう、この方たちこそ、ハミングバード🐦の、、、 『16人の怒れるフォロワーさまたち』 、、、である(キラーン☆彡) それにしても、何をそんなに怒ってヲられるのか? 事の発端は、以下の記事をお読みいただきたい。 怪しい集団に捕まり、薄暗い倉庫の中で

【流行りの転生モノ】目覚めたら『ウザ絡み』が最高の美徳とされる世界の住人になっていた

 オレは『ピーチク・パーチク』というSNSサイトで記事を投稿している。  そのSNSにはコメント機能があるんだけど……他のピチカー……あっ、ピチカーっていうのは、そのSNSに登録しているユーザーの愛称なんだけど、他のピチカーが書いた記事のコメント欄で……オレは……その……何て言うか……ウザ絡みをしてしまうんだ……。  オレだって、後から冷静になると「あのコメント、ちょっとウザかったかなー」なんて悩んだりするんだけど、面白い記事なんか読むと瞬間的にハイな状態になっちゃって、コメ

[ピヲピヲ文庫 連載小説]『私に何か質問はありますか?』第17話

前回の話(第16話)はコチラ。ピヲピヲ。。。  八鳥六郎(はちどり ろくろう)は、ホテルの部屋のテレビで、人気討論番組『こんな時間にあーでもない!』に全神経を注いでいる。  今晩の同番組における議題は、自分に対する「質問」を禁止する趣旨の「八鳥条例」の是非である。  スタジオでは、クセの強いパネリストたちが同条例について議論を続けているが、一連の八鳥問題のバカバカしさを指摘するパネリストは未だに現れていない。  しかし、番組の総合司会者の鳥越権平太(とりごえ ごんぺいた)が

ピンク鳥🐦🐦の『ピヲピヲ悩み相談室』-6(いよいよ脱出なるか?!)

本作は経験豊富なピンク鳥🐦相談員たちが、毎回読者から寄せられる相談を聞くという人気シリーズである。 ※※※※※ (前回までのあらすじ) 昨年末、読者のヲ悩み相談解決のため、パタパタと飛んで来た2羽のピンク鳥🐦🐦相談員たちは、怪しい集団の策略によって、逆さ吊りにされてしまった。 『焼き鳥』という哀しき宿命から逃れられないかのように思われた2羽🐦🐦であったが、仲間の20羽のピンク鳥🐦たちが、勇敢にも怪しい集団のアジトに救出に現れた。 だが、残念なことに、怪しい集団のアジトに

【暗いショートショート三部作(最終羽)】- (3)その鳥たちは、ピヲと鳴いたか?

 そこはピンク鳥🐦たちが長閑に囀(さえず)る森の一画。  ピンク鳥🐦たちは平和を愛し、仲間と助け合いながら暮らしていた。  今日も200羽あまりのピンク鳥🐦たちが、止まり木の上で互いにピヲピヲ🐦と囀り合っている。  🐦「いい天気ですね! ピヲピヲ!」  🐦「そうですね! ピヲピヲ!」  🐦「ハミングしちゃいますね ピヲピヲ!」  🐦「そうですね! ピヲピヲ!」  🐦「甘い蜜が吸いたいですね! ピヲピヲ!」  🐦「そうですね! ピヲピヲ!」  🐦「ホバリングは楽しいですね! 

【暗いショートショート三部作】(2) - 負の先払い

 ケヴィンは子供の頃から役者になるのが夢だった。  彼は何度もオーディションを受け続けた。  そして、念願叶ってブロードウェイの初舞台に立った夜、それまで彼を支え続けてくれた恋人、その他の大切な友人すべてと縁を切った。  ケヴィンは、人生において「良いこと」と「悪いこと」は同じ数だけ存在するものと頑なに信じており、大きな幸運を得た場合、同じ度合いの不幸が必ず後からやって来るものと恐れていた。  仮に自分の身に「良いこと」が起こった場合、大きな不幸や損失を自ら「先払い」するこ

【暗いショートショート三部作】(1)- 満月の夜、願い叶うか

 健太は今年で29。  30歳まであと1年だが、生きているのが辛くて仕方がなかった。  子供の頃は人生に対する夢も抱いていたが、大学受験に失敗してからというもの、すっかり自信を失くし、鬱々とした毎日を過ごしてきた。  友人も恋人もおらず、今の仕事にも楽しさを見いだせず、かと言ってこれといった趣味もない。  生活のためとは言えど、オフィスと1人暮らしの自宅の往復で過ぎてゆく毎日。  いっそ楽に死ねたらと思うが、そんな勇気もなく、ただ漫然と惰性で生きている自分にも嫌気が差している