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Mario Schifanoの作品を2つのギャラリーを梯子して鑑賞する

ある雨の金曜日、Mario Schifano(1934-1998)というイタリアの画家兼ロックミュージシャン兼映画製作者の展示を観に行った。ちょうど同時期に2か所のギャラリーで別の展示をやっていたので、駆け足で梯子した様子をまとめてお届けしたいと思う。
その前にまず、Mario Schifanoとは、についてWikipediaから抜粋しまとめた人となりを紹介したいと思う。


※Mario Schifanoとは

・青春とアーティストとしての始まり
 →勉強はダメで早くに学校を辞めてしまったが、父親が修復家として働いていた美術館で刺激を受ける
・アートと映画
 →ローリングストーンズのメンバー二人と付き合っていた女性の愛人になり、New Yorkを初めて旅行し、Andy WarholやRoy Lichtensteinを含むポップ・アートとヌーヴォー・レアリスムの若手アーティストのほとんどが参加したグループ展に参加。その後ヨーロッパで音楽活動や映画制作を手掛ける
・1970年代
→キャンバスに糊付けされた包装紙に施された1色か2色だけの色彩を特徴とする「モノクローム」呼ばれる作品を多数生み出す
・1980年代
→ポップアートに近い作品(コカ・コーラ等の広告ブランド)を多く手掛ける

つまり、芸能界的な華やかな場所で幅を利かせている女性の愛人となったことが人生を変えたわけだ。

※ギャラリーAの展示

ここの展示のタイトルは「Correre rapinoso attraverso le cose del mondo(意訳: 世界の物事を貪欲に駆け抜ける)」という。
6×6フォーマットの35mmフィルムとポラロイドの作品、及び70年代の「モノクローム」作品が幾つか展示されていた。

では幾つか作品を紹介しよう。

70年代の「モノクローム」の作品①
よく見ると、色が塗られている場所の下は新聞の切り抜きになっている
70年代の「モノクローム」の作品②
70年代の「モノクローム」の作品③
写真: 船上の肖像(1963-64年)
写真: 都市の景観(1963-64年)
写真: 映画のセット①(1963-64年)
写真: 手すりの上の子供(1963-64年)
写真: 車(1963-64年)
写真: 映画のセット②(1963-64年)

有名になりたい、自分を確立させたい、ともがいている様子がうかがえる作品たちだと思う。

※ギャラリーBの展示

ここの展示のタイトルは「Calligrafia autografa(意訳: 自筆のカリグラフィー)」という。
ギャラリーのインターフォンを押すと、画廊のオーナーが顔を出して真っ先に「あなた、日本人ですか?私の妻が日本人でね」と話し出す。札幌オリンピックの頃に子供だったと言っていたので、推定年齢は60前後だ。
このギャラリーは、風変わりなセレクトショップや可愛い食器屋等もある、中心地の一本も二本も奥のギャラリー地区にあり、最初は入りづらい印象だったが、一瞬でそれが崩れて、ある意味良かった。
しかし、ささっと展示の説明がされた後、「妻の電話番号と名前はこれこれで、あなたの番号は?」とか「妻の両親が千葉の○○の駅に住んでいて、あなたはどこの出身?」等の個人情報を色々聞かれ、ちょっと厄介だった。もし妻なる人に今後会う機会があれば、その際に直接会話をして情報交換したかったが、次の次の展示で妻が和菓子をふるまうからその際に連絡させます、と言われ、断る術がなかったのだ。
というわけできっと、3月には晴れて妻の○○子さんに会い、ミラノで3人目の日本人の知り合いができることと思う(一人日本人の同僚はいるが、仕事以外では全く話さないので、知り合いからは除く…苦笑)。非常に上品な紳士だったので、個人情報を悪用される心配はなさそうだから、和菓子が食べられる日を楽しみにしようと思う。

雑談が長すぎたので、さっそく幾つか作品を紹介しよう。

Paesaggio Anemico(訳: 貧血の風景 1974-78年)
Estinti①(訳: 絶滅したもの 1996年)
これと次の作品は、50近くになって生まれた息子が幼少期に恐竜が好きで、それを見ていて作ったセリグラフだそうだ
Estinti②(訳: 絶滅したもの 1996年)
乳化キャンバス①(1974-78年)
乳化キャンバス②(1974-78年)
昔の分厚いテレビの画面見たいに見える
finestra del suicidio(訳: 自殺の窓 1980-81年)
Coca Cola(1981年)

若い頃のもがきはなくなり、生活と貫禄が垣間見える気がする。

映画も、有名ではないけれど、かなりの本数を制作しているので、もしどこかで偶然見つけたら、「あっ、シマ子さんが書いていたあの人だ」と思っていただけたらいいな、と思う。

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