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卒園式が泣けすぎて困った話

うん、と頷く先生。それを合図に、卒業生が一斉に立ち上がる。それは、軍隊のような緊張感ではない。先生と園児の信頼感によって成立する、正しい規律だ。

ほんとうに堂々としている・・・。大きくなったな・・・。と、どの保護者も思っていただろう。保護者代表の方の挨拶が、じんと胸を打つ。

「3年前、初めて真新しいスモッグに袖を通した日のことを思い出します。先生の言うことをちゃんときいてくれるのか、トイレにちゃんと一人で行けるのか、お弁当を一人で食べられるのか、本当に本当に心配だったあの頃・・・。」

涙腺が勝手に崩壊していく。最後尾の立ち見で本当によかった。堂々と泣いてしまおう。しかしこの、「子供の成長」というワードは、一生ずっと、私の心の中でバズり続けるだろう。心の旧TwitterことXでは、ずっとバスりワードのトップを走っていてほしい。まっすぐな成長。子供だけがもつ、当たり前のまっすぐさは、いつまでも大人の胸を打つ。園長先生がいう。「挑戦する気持ち、優しい気持ち。この2つは小学校にいっても忘れないで下さい」。全てが大人に刺さる。大人になるというのは、一体何なんだろうか。我々は、どんどん生きる本質からずれているのかもしれない。

鳥山明先生のことを、考える。たくさんの鳥山エピソードをみた。その中で先生がおっしゃっていたらしいこのコメントが心に残る。

「ただ強くなることを目指すというキャラクター。それが結果的に世の中のためになっている、という方が良いんですよね」

それは、どこかシュールな世界。「じゃあ、あの世で待ってるからなー」といって、死んでも頭の上に丸い輪っかが浮かぶだけの死生観。地球を守るという大きな使命感ではない。ただ強くなりたい、目の前の仲間が殺されたことに怒る孫悟空。それが、この世界を結果的に救っている。まっすぐな孫悟空。だからこそ、これだけ世界中の人が鳥山ワールドに夢中になったのか。


「みーんなともだちー、ずっとずっとともだちー、おとなーになってもー、ずっとともだちーでー♪」

この子供の声の合唱というのは、本当に困る。泣かせるためにあるとしか思えない。みんな一生懸命歌っている。それにしても、式典は1時間以上あり、子供には退屈そうな挨拶や、賞状の授与の時間もあったが、子供たちは式典の雰囲気を壊すことなく、ちゃんと、ちゃんとイスに座っていた。ふだん、まともに座ってご飯も食べられないくせに、、、と思っている保護者の方もたくさんいただろう。とにかく立派だ。

「狂気じみた没頭力、これが大事だと思うんですよ」。
仕事で会社のDX化を進めている私。なんか色々分かんなくなって、改めてイチからインターネットの歴史から調べているうちに、ホリエモンの大ファンになってしまった。堀江貴文という人、すごいです。なんか、完全に誤解した。

でもこの「没頭力」って本当に大事だ。楽しいから没頭するのではない。没頭するから楽しい。楽しいから笑うんじゃない、笑うから楽しい。

つまり、何事も自分から行動を起こすという事なのだ。そのきっかけはなんだっていい。過去の成功者は、最初から正しい目標をもって進んでたわけではない。親に勧められてしょうがなく、貧乏で止むを得ず、たまたま入った会社で責任者が辞めたのでやっているうちに。。。

「作業興奮」という言葉がある通り、作業しているうちにアドレナリンがでてくるわけで、何かを待っていたら、結局何も始まらないのだ。


うん、と最後にうなづく先生。それに呼応してまた園児が一斉に立ち上がる。いよいよ退場である。それにしても、私はずっと先生に感情移入してしまっている。いや、これが本当に困る。

先生と園児の信頼感なのだ。この1年間、本当に園児に向き合ってくれたんだなと感じる。その信頼が今日で解散してしまう。そのはかなさと、園児の成長を誰よりも知っている先生の、たくさんの想いがあふれ出ていて、もうなんか、本当にぐっと来てしまった。


そこには、先生たちが一生懸命に向き合った仕事があった。経営の神様と称される稲盛和夫氏が大事にした言葉。「敬天愛人」。商売というのは、損得で動くものではない。天を敬い、人を愛す。人のためになっているか、という基準で判断すること。利他の心。己ではない、誰かのためになっているか。

という話。どれもこれも、ビジネスや会社の在り方について悩んでいた私にとっては、子供と先生のピュアな姿勢が、全て学びとなって突き刺さりました。最初、若い女性の先生に会えることが、幼稚園にいくことのモチベーションだったわけだが、やはり作業興奮と言いますか、実際に行動して卒園式に参加すれば、大きな学びと感動があるわけですね。

先生たち、本当にお世話になりました。もう幼稚園に行く機会が無いかと思うと本当に寂しいですが。いつまでもあの空間のことを忘れずに僕もがんばります。本当にありがとうございました。

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