これは私が高校生の頃に体験した話です。

私が生まれてから高校生まで住んでいたマンションは
とても不気味で気持ち悪い雰囲気のマンションで
自殺者や病死などで何人も亡くなった方が居ました。
(ちなみにあの有名な事故物件サイトで調べても全く出てきません)

私が高校生になってから、母が父に頼み込み
新築のマンションを購入する事になりました。

新築マンションだったので、どこもかしこも本当に綺麗で
初めて自分の部屋も出来て本当にうれしかったです。

ただ、このマンションでも変な体験をよくしていました。
今回の話はその中の一つです。

そのマンションのお風呂場には大きな鏡があり
その鏡の向かい側に出入口がありました。

なので身体や頭を洗っていると
自分の姿のちょうど真後ろにすりガラスの出入口が見えます。

その日もいつものように身体を洗っていると
鮮やかな水色の作業着の男性がお風呂場の前を通ったのが見えました。

その通った方向には洗濯機が置いてあり
父が洗濯機を回しに来たとおもいました。

『うわ…お父さん来た…最悪……』

そろそろお風呂を上がろうと思っていたので
父がすぐそばの洗濯機に居ると思うと
出たくありませんでした。

…………

５分ほど待ちましたが、まだ戻ってきません。

洗濯機が置いてあるその先にはベランダに繋がる扉しかないので
お風呂場の前を通って洗濯機の所へ行くと
必ず再度お風呂場の前を通らないと部屋へ戻れない構造でした。

(……ちょっと…いつまで洗濯機の所に居てんの？)

あまりにも戻ってこないので
そーっと顔だけ出して洗濯機の付近を捜しましたが

そこには誰もいませんでした。

(おかしいなぁ…まさかベランダに一旦出て部屋に戻ったとか？)

そんな風に考えながらバスタオルで体を拭き
着替えて自室に戻ることにしました。

自室へ戻る途中に父の部屋があるので
いつも扉が開いている父の部屋をそーっと覗くと
紺色の服を着た父が背中を向けてパソコンを触っていました。

(え…！お父さんじゃなかった…！じゃああれって一体…)

はっきりと見たのでかなり驚きましたが

恐らく戻ってこなかったという事は
ベランダから出ていったのかなぁと思い
特に誰に話すまでもなくさっさと寝ることにしました。

このマンションでも怖い体験というのはなかったのですが
目に見えない存在にからかわれたような体験もあるので
また書きたいと思います。