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パワハラで訴えられた!

#私だけかもしれないレア体験

はじめに

 自分は、パワハラで訴えられ、実質勝利(正確には原告が「請求を放棄」)する経験を致しました。
 なかなかレアな体験だと思います。
 はじめから、負けるわけがないと思っていましたが、裁判の準備や相手が何をするかわからない不安、所属組織への報告などを考え、精神的な負担は大きかったです。
 結局、訴えられることは、事故みたいなもの。裁判で実質勝利してもいわゆる裁判費用を取り戻すことは難しいのです。
 これから書いていくことは、自分は法律の専門家ではありませんし、現在でも原告(相手)も同じ組織に所属する者ですので、組織特定がされないようにしている部分もあります。
 また、自分は保険に入っており、裁判の弁護士費用は保険対応で済ませることができましたので、金銭的な部分では参考にならないかと思いますで、ご了承ください。

いきなり裁判所から郵便物

 ある日、裁判所から原告(相手)、被告(自分)とする訴状と関連資料などが届きました。
 自分の場合、相手は少額訴訟で20万円をパワハラの損害賠償として請求し、簡易裁判所はとりあえず調停(という話合い)にすることにし、調停日については後日、連絡があるとされていました。
 1週間後くらいに、またもや郵便で調停期日の決定通知があり、約3週間後に調停期日があると通知がありました。正直、スケジュールがタイトと思いましたが、少額訴訟は、本来、貸金や敷金返還など事実関係が明らかなもののはずなので、そんなものかも知れません。

なぜ保険に入っていたのか

 すでに裁判について、保険に入っていたことを述べました。
もしかすると、ヤバいことばかりやっている後ろ暗いところがあるから、保険に入っていたのではないかと考える方が居るかもしれませんが、どちらかというと逆です。
 職業柄、また中間管理職的な立場から、訴訟のリスクを認識しており、組織で訴訟対応保険の(負担は自己負担ですが)斡旋がありましたので、それに加入していたところです。保険料は年間約1万円のに入っていました。
 裁判所から通知があった後、上司に伝え、組織を通じて保険会社に連絡し弁護士を紹介していただけました。普通の勤労者は、顧問弁護士や弁護士の知り合いなど中々おらず、相談することもできないと思いますので、年間1万円の出費は負担になると感じるかもしれませんが、弁護士相談1時間程度のコストですので、入る価値はあると思います。
 保険対応のため弁護士費用は不明ですが、相手方の請求額である20万円よりも多かったはずです。
 保険に入っていなければ、そういったコストのことを考えて、弁護士への相談に躊躇したり、どの弁護士に頼って良いか分からなかったり、弁護士に裁判を代理することで避けられる負担や不安感が増大したはずです。20万円だから支払ってやるかと、そんな狂った判断をしてしまった可能性はゼロではありません。少額訴訟は民事ですが、そこで負けたら刑事訴訟に繋がることすらあり得ます。
 自分は今回、弁護士に大変お世話になりました。組織に居る限り、保険がある限り、入り続けることになるでしょう。

トラブルの経緯

 突然の裁判所からの通知は驚きではありましたが、相手やその(一方的な)請求内容は、職場でトラブルとして認識していたものです。
 自分は、数千人規模の組織の、本社部門の中間管理職的な立場に居りました。原告(相手)は、同じ組織ではありますが、所属は異なり現場部門の者でした。
 実はその原告は、過去にパワハラで組織とともに訴えられ勝訴しましたが、その関連で勝訴後の事案を自分が調整をすることとなりました。個人と組織と絡む案件で、郵便資料が組織に届き自分が開封したら原告のもあり、それを相手は自分が「信書の秘密」を侵したと主張してきたのです。
 自分は、相手に何度も組織宛てに届いた資料であることを説明のですが、相手はひたすら自分に謝罪を求め、さもなければ自分を訴えると、相手の上司を通じて自分に通知してきました。自分も何度も謝罪を求められたことに法的措置を取ると相手の上司を通して伝えました。
 (なお、今思うと、自分が法的措置を取ると主張したのは、冷静でなかったと思います。受け流してもよかったかなと、思わないことも無いです。)
 この自分が法的措置を取ると言ったことを、上司から伝えられ、相手は、それをパワハラと主張し、少額訴訟(民事)で20万円請求したわけです

無理筋でも提訴できる。しかも低コスト。

  いかがでしょうか。相手の訴訟理由。無理筋だと思いませんか?
 もちろん訴状は、一方的な主張でありますが、それなりのものに仕上げていましたし、相手方の上司が証拠書類を提出していましたので、裁判所が誤解したのかなとも思います。
 つまり、自分(原告)からみれば無理筋の主張でも、それなりの証言があれば、裁判所としては提訴を受け付けるということです。それはやむを得ないところかなとも思います。
 しかも、少額訴訟は、弁護士に依頼せず自分で提訴が可能で、相手も弁護士に依頼していませんでした。10万円、20万円の訴訟では弁護士費用で赤字になるでしょう。自ら行えば、印紙費用とか数万円あればできるのかなと思います。

裁判の経緯

 まず調停がありました。裁判ではなく、まあ話合いで解決しよう的な位置づけです。弁護士に任せたいところでしたが、自分も出た方がよいとの弁護士の助言に従い、有休をとって裁判所に行きました。入り口で弁護士を待ってスマホに目を落としていましたが、相手が入ってきたのは分かりました。
 調停では、原告と被告は別々の部屋にいて、調停員が部屋を行き来し、話を聞くという形式でした。自分が加害者とされた感じがありありとして、イラつきながら「ここに書いてある」とか言ったことを覚えています。
 調停は成立せず、裁判となりますが、提訴は少額訴訟でしたが、こちらは通常訴訟で争うことにしました。(この決定権のようなものは被告にある)少額裁判は1日で結審し、狂った判決が出ても従わざるを得ませんが、通常訴訟でしたら必要な日数をかけて慎重に審議されますし、最高裁まで争えるからです。
 すると、相手方は請求の放棄(相手方の敗訴)をしました。通常裁判になれば素人では裁判の審議は事実上不可能で、弁護士に依頼することになります。そうなれば、損害賠償20万円では赤字になるからかと思います。
(相手は、勝てると思っていたのかもしれません。)

名誉は守られたけど、利益は無い

 裁判で実質勝ちましたので、名誉は守られました
 しかし、保険対応があったとはいえ、有休は使いましたし、弁護士打ち合わせの時間や精神的は負担はありました。相手に賠償を求めたいところでしたが、判例的に無理筋のようでしたし、弁護士も事故に遭ったと思って済ませるべきとのアドバイスでしたので、自分から訴訟のようなことはしませんでした。微々たるものかもしれませんが、裁判のための時間や精神的負担はコストは負担せざるを得ない結果です。
 なお、組織には係争を報告しましたが、自分の味方も相手の味方もせず、個人の係争なので勝手にやれ、というスタンスでした。パワハラが事実なら安全配慮義務違反等に問われると思うので、無能なのかと思いましたが、自分が当然勝つと思っていて、相手を刺激して変な行動をとることを抑えたかったのかも知れません。また、自分が変な動きをしないと見越していたのかかもしれず、当事者としては頭に来ますが、客観的に見れば取り得る判断かとも思います。

訴えられるということは

 結局、自分の身は自分で守るしかないし、生活していたり、一定の立場にある以上、裁判費用は必要なコストとして割り切るしかない、というのが、自分の得た教訓でしょうか。
 日ごろから、法令に遵守、模範的な行動をとれば、裁判で負けることは無いでしょう。ただ、訴えられるリスクは、避けがたいとよく分かりました。   
 訴えられたときのリスクに対応するため、弁護士へのアクセスと、保険なり使う前提の資金を確保しておくことも必要です。なかなか弁護士のアクセス確保は困難ですから、やはり損害賠償保険などに入り、保険会社を経由して弁護士に相談できるようにするべきですね。
 あとは、心構えです。ワーカホリック気味だった自分は、組織が自分を守ると勘違いしていました。組織は正義のためではなく、あくまで組織の利益のために合理的に判断するものだと身に沁みました。冷たいようですが自己責任を求められるのが、この国の現実です。


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