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3人に1人が抱えている幼少期の愛着形成の問題

こんにちは、精神科医のはぐりんです。
※3分で読めます。

今回は幼少期の愛着形成の問題と、ひいては大人の愛着障害と呼ばれる問題に至るまでを書いていきたいと思います。

愛着形成、最近はアタッチメントという呼称も少しずつ広まってきました。養育者、おもに母親との結びつきを指します。

愛着形成が不十分であった場合、子供の場合、

声をかけたり抱きかかえたりしても反応に乏しかったり(反応性愛着障害)、逆に誰にでもほいほい付いていったり抱きついてしまったり(脱抑制型愛着障害)といった反応を示します。

愛着障害と言うと狭義には上記のような子供の言動面での問題を指しますが、

対して最近は「大人の愛着障害」という言葉もよく耳にするようになりました。乳幼児期に愛着形成がうまくいかなかったことで、大人になってから人間関係の構築や、情緒面・言動面に影響が出てくることを指します。

幼少期における母親とのかかわりが、人間関係のひな型・テンプレートを作ることになるので(新雪の丘にソリを滑らせるように同じ道を辿る)、大人になってから人間関係を構築していく上でも影響が及んでくるのです。

健全な愛着形成の型を「安定型」と呼びますが、全体の60%ほどと言われています。60%、、個人的には思っていたよりもかなり少ない数字に感じます。

愛着のタイプについては、発達心理学者のエインズワースと精神科医のボウルヴィが提唱した分類があります。

安定型 子供の欲求に敏感で、かといってなんでも答えるのではなく(40%くらいがよいそう)、柔軟に対応する
アンビバレント型 子供への対応は母親都合、一貫していない
回避型 子供からの要求に拒否的に振る舞う
無秩序型 虐待や不適切な養育環境、母親自身が極度に不安定

安定型は約60%、裏を返せば約3人に1人が、残り3つのアンビバレント型、回避型、無秩序型、いずれかの愛着パターンで養育されていることになります。 

例えば幼少期に母親が子供に対して関心を示さなかったような場合(回避型の愛着)、大人になってから親密な人間関係を築くのを避けようとしたりします。これはASDの方の対人関係パターンとよく似ていてASDだと思っていたら実は背景に回避型の愛着障害が潜んでいた、といったこともあります。

どうも人間関係がうまくいかない、感情コントロールできない、自分に自信が持てない、と言った方は、幼少期の母親との関係性を見直してみると自分自身のことをよく知る機会になるかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。



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