精神科医はぐりん

精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしてます。精神科専門医/精神保健指定医 /産業医…

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精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしてます。精神科専門医/精神保健指定医 /産業医/現代ビジネス(講談社)に執筆中

マガジン

  • 神経発達症

    ASD、ADHD、その他発達障害について書いています。

  • メンタルヘルス全般

    対人関係、毒親問題、フェミニズム、共依存、箱庭療法、食い尽くし系、その他諸々について書いています。

  • 愛着障害

    愛着障害について、書いています。

  • カサンドラ症候群

    夫婦やパートナー間を悩ます、現代病でもあるカサンドラ症候群、についてかいています。

  • ヨガ

    某大手ヨガ教室に通っています。精神科医の視点からヨガについて書きました。

最近の記事

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自己紹介

はじめまして。精神科医のはぐりんと言います。 このブログでは、精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。また日々の生活に役立つ情報、主に対人面の問題について、精神科医の視点でお伝えしています。 私がnoteを始めようと思ったきっかけですが、日々精神科病院で勤務している中で、以前に比べれば敷居は低くはなったものの、まだまだ精神科への受診や治療へのハードルが高く、一般の方々にも精神科のことが広まっていないと感じたからです。 また精神医学は人の心を扱う学問のため、身体

    • 双子の姉妹が歩み始めたそれぞれの道

      先日、不登校を理由に、とある女子高校生(Aさん)が病院を受診されました。 1年ほど前から徐々に学校に行けなくなり、友人もほとんどおらずに孤立し、勉強もついていけない状況でした。 Aさんにはいくつかの特性がありました。 特定の色の服しか着ない、偏食が著しく食べ物のレパートリーが極端に少ない、多人数でいると何を話していいのかわからない、生活音が気になり時にトイレにこもる、等々こだわりやコミュニケーションの問題、さらには感覚過敏といった特性が見られました。 こういった特性は

      • 日常生活を浸食する強迫性障害という病

        こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は強迫性障害について書いてみたいと思います。最近では俳優の佐藤二朗さんや、アイドルの道重さゆみさんが強迫性障害を告白され、少なからず話題にもなりました。一口に強迫性障害と言っても様々な症状があるのですが、今回は私が実際に診た患者さんを例に、2つの典型的なパターンをご紹介したいと思います。 車で誰かを轢いたのではないか‥ 40代の女性Aさん、車での出勤途中に「人を轢いたのではないか

        • 入院中にスマホでゲーム!?

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は精神科病院での入院生活について、特に スマホの扱いについて書いていきたいと思います。 ※長いのでお時間ない方は、まとめ〜だけでもお読みいただければと思います。 入院中はどんな生活を送っているのか 精神科病院に入院中の方は一体どんな生活を送っているのでしょうか? 比較的落ち着いている方を例に挙げると、起床と就寝、三食の食事時間は決まっています。薬も決まった時間に配薬され、退院が

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        • 神経発達症
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          6本

        記事

          精神科医は何を考えて薬を処方しているのか

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 今回は薬についてです。私自身、薬があまり好きではないほうなのですが、それでも 「薬を飲む必要のある方(症状が良くなる方)が一定数いる」と言えます。 一体精神科医がどういったことを考えながら薬を処方しているのか、書いていきたいと思います。 何を考えて薬の量を調整しているのか まずお伝えしたいのは、ほとんどの精神科医は 「患者さんはできれば薬を飲みたくないと思っている」 ということ

          精神科医は何を考えて薬を処方しているのか

          【書評】『母という呪縛 娘という牢獄』〜最恐レベルの毒親実録集

          「母という呪縛 娘という牢獄」という本を読んだ。2018年に起きた、娘が「究極の毒親」を刺殺した事件、俗に言う医学部9浪殺人事件のルポルタージュだ。 300ページ近くに及ぶが、前評判通りスラスラと三日で読めた。娘の「あかり」と母の「妙子」の臨場感あふれる壮絶なやり取りに引き込まれた。 内容的にはひたすら陰惨としていて、特に同じような「毒親育ち」の方が読むと、フラッシュバックして少々きついかもしれない。読破後にこれ程やるせない気持ちになる本も珍しいと思う。 事件の経緯

          【書評】『母という呪縛 娘という牢獄』〜最恐レベルの毒親実録集

          診断をどう捉えるか

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 精神科における診断(病名)について、デリケートな問題で様々な意見があるかと思いますが、精神科医(私個人)が考える診断の捉え方、診断との付き合い方を書いていこうと思います。 診断することの意味 医師から診断を受ける、ということは患者さんにとって非常に大きな意味を持ちます。その理由の一つとして、場合によってはその診断名が一生ついて回るものになるからです。 統合失調症や躁うつ病、知的障害

          診断をどう捉えるか

          現代ビジネスに記事が掲載されました。 前編 https://gendai.media/articles/-/127056 後編 https://gendai.media/articles/-/127057 内容は、境界知能と発達障害についてです。

          現代ビジネスに記事が掲載されました。 前編 https://gendai.media/articles/-/127056 後編 https://gendai.media/articles/-/127057 内容は、境界知能と発達障害についてです。

          統合失調症の現状とクロザピンのススメ

          今回は統合失調症について書こうと思う。 昨今のtopicでもある発達障害と比べるとあまり話題にはならない。統合失調症の有病率は1%弱、個人的には意外に多いとは思うが発達障害のそれと比べると少なく(ASD約3%、ADHD約5%)、その分世間からの関心も薄い。 ただ、今も昔も入院患者の多くを占めるのは統合失調症で、やはり無視はできない病気だ。今回は統合失調症の最終兵器とも言うべき薬を紹介したいと思う。 統合失調症と言うとどういったイメージをお持ちだろうか?幻覚妄想状態で暴れ

          統合失調症の現状とクロザピンのススメ

          他人からの指摘は自分を知るチャンス

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 ※3分で読めます。 周囲に、面と向かってあなたに指摘してくれる人はどれくらいいるでしょうか? 年を重ねるに連れてそういった人たちは減ってきますし、指摘されたとしても素直に受け入れられない方も少なくないかと思います。 私自身、医師として働く中である程度の年齢を過ぎると周囲から指摘を受ける機会はめっきり減ってきました(以前の記事、医者は32歳を過ぎたらバカになる!?にも書きました)。

          他人からの指摘は自分を知るチャンス

          実体験に基づいたギャンブル依存症からの脱却法

          大谷翔平選手の専属通訳、水原一平氏が突如解雇された。同時に「ギャンブル依存症」を告白し日米に衝撃が走った。 ギャンブル依存症に関しては、私自身も当事者であった。6-7年ほど公営ギャンブルにはまり込み、ここでは言えないくらいの額負けた。幸い借金するまでには至らなかったが、常に貯金は底をついていた。 ギャンブル依存症は、脳の病気、それに環境因が加わると発症する。ADHDや躁うつ病の方が、絶えず刺激を求めギャンブルにのめり込みやすい。自己愛が強い方なども危ないと思っている。

          実体験に基づいたギャンブル依存症からの脱却法

          自分に合った主治医の選び方

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 ※3分で読めます。 精神科にかかる場合、主治医がどんな医師なのかは非常に重要です。内科や外科のように知識や技術ももちろんですが、加えて「相性」の問題があるからです。 外見や話し方、雰囲気などは大事な要素です。緊張していては話したいことも話せないですし、合わないと思っている医師の話は入ってきません。 年齢、性別、既婚か未婚か、子供がいるか、ASDかどうか、ここらあたりも主治医を選ぶ際に

          自分に合った主治医の選び方

          女性を見たら〜未だに触れづらい生理の話

          「女性を見たら妊娠していると思え」 普段の会話でこんなことを言ったらアウトですが、実はこの言葉、医師であれば知らない人がいないほど有名な、今も昔も必ず教わる教訓です。 妊娠中に飲んではいけない薬を処方してしまわないように、レントゲンやCT検査(放射線検査)をなんの説明もなく行ってしまわないように、 腹痛と吐気を訴えている方が実は妊娠していたなど、女性を診察する際には妊娠の可能性を常に頭の片隅に入れておく必要があるのです。 さて精神科の場合、女性を診察する際に妊娠と同等

          女性を見たら〜未だに触れづらい生理の話

          待合室は怖くないのか

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 ※3分で読めます。 精神科病院の待合室というと、叫び声が聞こえてきたりして物騒なイメージをお持ちの方も多いかと思います。 まず申し上げておくと、私が勤めている急性期の入院患者さんを受け入れているような病院でも、頻繁にはそういったことはありません。 また例えそういった場合でも過剰な心配は無用である理由を、いくつか具体例を挙げながら説明していきたいと思います。 ①大声で何かにつけてクレ

          待合室は怖くないのか

          共依存を超えた関係性

          こんにちは、精神科医のはぐりんです。精神科医のリアルな日常とホンネをお届けしています。 ※3分で読めます。 「共依存」という言葉を聞いたことがあるかと思います。 元々の語源は、アルコール依存症患者とその世話をする家族の関係性から来ています。 日常生活の世話をしたり、あるいはお金を与えて時にはお酒を買い与えたり、また飲酒トラブルで迷惑をかけた際に本人に代わって謝罪して回ったりなど、 依存症患者の面倒を見ることや尻ぬぐいをすることは一見すると献身的なことのようにも思えます

          共依存を超えた関係性

          大谷選手に学ぶセルフ精神療法

          先日、ご結婚を発表された大谷翔平選手。 自分自身のことをよく把握されていて、物事を達観されていて、それでいて周囲への優しさや気配りも欠かさない、まさに非の打ち所がないような方に思えます。 今回は僭越ながら、そんな大谷選手の特に気になった発言を2つ取り上げさせてもらい、個人的な感想を述べさせて頂きたいと思います。 「心が平穏なのが何よりも良いことかなと思うので、私生活はそうありたいなと思います。」 これは昨年末に某企業のCEOとの対談で、将来設計について尋ねられた際に大

          大谷選手に学ぶセルフ精神療法