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女性を見たら〜未だに触れづらい生理の話

「女性を見たら妊娠していると思え」

普段の会話でこんなことを言ったらアウトですが、実はこの言葉、医師であれば知らない人がいないほど有名な、今も昔も必ず教わる教訓です。

妊娠中に飲んではいけない薬を処方してしまわないように、レントゲンやCT検査(放射線検査)をなんの説明もなく行ってしまわないように、

腹痛と吐気を訴えている方が実は妊娠していたなど、女性を診察する際には妊娠の可能性を常に頭の片隅に入れておく必要があるのです。

さて精神科の場合、女性を診察する際に妊娠と同等かそれ以上に気にかけなければならないことがあります。

20代の統合失調症の女性。普段はおっとりしていて口数も少ないような方なのですが、急に何かに憑りつかれたかのように絶叫し、皮膚をかきむしり、髪の毛をむしり取る、といったことを繰り返していました。

当初は統合失調症の症状かと思い薬を調整していたのですが、どうにも良くなりません。よくよく話を聞いてみると、どうやら月経前に周期的にイライラし興奮することを繰り返していたのです。

PMDD、月経前不快気分障害と呼ばれる状態で、生理前にイライラや情緒不安定、絶望感など、特に精神面で日常生活に支障が出るほど不安定になる状態を指します。

「生理の話」は、世間的にはある種タブーのようなところもあり、それ故男性の理解も進んでいないように思います。

診察していても女性側からは話を切り出しにくいことが多く、こちらから聞かないと中々話してくれなかったりもします。

PMDD/PMSに限らず、ほとんどの女性が生理前になんらかの心身の不調を来しているというデータもあります。また生理前に限らず、生理中も同様に様々な心身の不調を伴います。

生理に関する知識が広まり、よりオープンに話し合えるようになれば、今よりも少し優しい世の中になるのではないか、そう感じています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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