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私が耳鼻科嫌いになった話(中)

翌日の朝いちばんに予約の電話をかける。

耳鼻科初心者どころか
医者にかかる事も少ないから
電話も非常に緊張する。

「恐れ入ります、お忙しい所すみません
 ちょっとお伺いしたいのですが
 今、よろしいでしょうか?
 そちらに耳の掃除だけで
 お伺いしたいと思っているのですが
 それだけでお伺いしても
 よろしいのでしょうか?」

正しい敬語かどうかは別にして
これくらいの緊張感と敬意を持って
確認の電話をした事は覚えている。

すると優しそうなお姉さんの声で

「あ、はい、大丈夫ですよ〜。
 予約はいつになさいますか?」

みたいな返事が来た。

そんな〝当たり前にいいよ〜〟
みたいな優しい返事だったから
やはり〝耳の掃除〟も〝歯の掃除〟も
やる人は定期的に行なっている
当たり前な行為だったのかと思えてきた。

予約は当日の夕方4時ごろになった
しょうがない、午後の予定は次回に回して
実家近くの耳鼻科へ車を30分程走らせる。

そして予約の時間10分前
緊張しながら受付で名前を名乗った。

そこで再度、耳掃除だけでいいか確認する
やはり受付のお姉さんは笑顔で
〝大丈夫〟だと返事をしてくれた。

渡された〝問診票〟に住所氏名など
必要事項を記入後した後
耳掃除希望である事を記入する。
あと、記入欄の最後の方に

〝その他に気になる事があれば〟

みたいな欄があった。

どうしようかと思ったが、せっかくだから
自分の〝いびき〟の事を書いてみた
私は睡眠中〝いびき〟をかいている様で
何か対策や治す方法があればと
少し相談してみようと思ったのだ。

問診票を受付に提出
しばらくすると名前が呼ばれた

緊張しながら診察室に入る
すると中には先生が座っており
後ろにお姉さん看護師2人が立っていた

実家の家族がお世話になっているであろう
先生の顔を初めて拝見し
「お願いします。」と頭を下げて席に座った

すると、問診票を見ながら先生が
耳掃除の話はそこそこにして
〝いびき〟の事を次々と質問してくる

先生と話していると
何か乱暴な、上から物を言う様な口調で
イメージしていた感じとは少し違っていた。

しばらく違和感を感じながら
返答をしていたのだが
〝いびき〟の話からだんだんと
睡眠時無呼吸症候群の調査方法とかの
話に進んでいってしまう

いや、それもきっと
大切な事なのかもしれない。

でも今日は
耳掃除をしてもらう為に来ているのだ
少しとまどいながらも
勇気を出して聞いてみる事にした。

「あ、いや、あの先生、
 問診票にも書かせてもらいましたが、
 今日は耳掃除をしてもらおうと
 お伺いしたんですが…。」と。

すると明らかに先生の顔が
不機嫌そうな表情へと変貌し
こんな返答をされる

「耳の中のゴミは自然に出てくるものだから
 掃除なんてする必要はないんですよ。」
と。

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