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障害福祉の現場は属人化の温床

属人化はいけない。


とビジネス書にはよく書かれている。

属人化とは「その人がいないと業務が回らない」というように特定の人に依存していることを差す。

さて、障害福祉の現場での利用者支援では、ほとんどのことが属人化していると言える。

対人関係の仕事では、属人化を防ぐことはかなり難しいのではないか。

効率をもとめるような業種では、属人化を悪としてだれでも同じ成果がでるようにシステム化するのが良いだろう。

それはわかる。


でも障害福祉の分野ではどうだろうか。

もちろん、利用者ひとりひとりの障害特性を理解して、統一した支援を実施することは求められている。

しかし、相手は人間だ。


その日の気分もあるだろう。

利用者が、こちらを苦手とすることもある。

誰でも同じように接することは不可能だろう。

利用者の反応が違うのだから。

仮に利用者ひとりひとりのマニュアルを作成したとしよう。

職員はマニュアルに沿ってその利用者と関わるように、とする。

そんな膨大データ量のマニュアルを作成できるだろうか。

日常会話をすべて収録することはできないし、膨大なマニュアルを覚えられるだろうか。

統一した支援の必要性は理解できるが、機械のように全員が同じ表情、感情、抑揚で接することは不可能だ

属人化まっしぐら。


しかし、なにも100%を目指す必要はない。

ある程度、属人化を防ぎつつ、統一した支援を目指すのだ。

その為には、ベテラン職員が無意識にしている支援の極意を言語化し、データにする必要がある。

そういうノウハウを気軽に明かしたくないベテラン職員もいるかもしれない。


感覚でやっている支援を言語化するのも困難だろう。

この困難さが余計に属人化を加速させる。

そして、大事なのは苦労して収集したそのデータを、いつでも閲覧できる状態にすることだ。

せっかく膨大な量のデータを蓄積しても、閲覧できる場所が限定されていては活用できない。

そういった環境を整えることも重要だ。


そうこうして、マニュアルを作成できたとしても「はいこの通りに支援してね」というだけでは誰も取り組まないだろう。

そのマニュアルに説得力を持たせる必要がある。

そこまで努力を重ねても「ジブンのやり方の方が良い」という人間は必ずいる。

それを回避するには、定期的に評価していくしかない。

その評価によってはマニュアルを見直す必要もでてくるだろう。

だがそれでいいい。

人間相手のマニュアルなのだから刻一刻と変化してもなんらおかしくはない。

ここでまた「マニュアル覚えられない問題」が噴出する。

やはり属人化まったなし。


属人化を防ぐには問題が山積しすぎている。

まるで夢物語のようにふわふわとしている

この山をどう切り崩していくのか。

その山を崩すにも特定の職員が頑張らなければいけない。

そして「〇〇さんがいないと属人化はとまらない」となり、属人化の無限ループに突入だ。

「この職員がいなくなったらやばい」という、属人化の温床とかしている福祉現場は多いのではないだろうか。

利用者もその職員のことを信頼しているし、安心している。

でも、それを誰でもこなすことができるようになれば、障害福祉は難しそう、とっつきにくいといういイメージを払拭できるのではなかろうか。

と淡い期待をもっている。

誰でも気軽に支援に参加できますよ〜。


そんなことが可能なら、タイミーのような単発アルバイトなども募集できて人手不足解消に一役買う可能性もある。

たかが属人化と侮るなかれ。

無理と決めつけるなかれ。


属人化を防ぐことで、施設も職員も利用者も助かるのだ。

凝り固まったベテラン職員に属人化はいけないというのは勇気がいるだろう。

だが負けるな。


僕はすっかりベテランの域だけど、僕よりもベテランはたくさんいる。

中堅が属人化を防ぐ要となるのだ。

これは長期戦になる。

計画的に少しずつ属人化の砦(ベテラン職員)を攻略しよう。

あなたの会社も「〇〇さんがいないと回らない」となっていればそれは属人化の温床となっている証拠だ。

あなたがなんとかするしかない。

そしてあなたは周囲から「〇〇さんがいないとやばい」と言われるようになる。

あれ?

属人化の無限ループは終わらないね。


ではまた。

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