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2022年、児童労働問題に対する世界会議が南アフリカで開催されたことの意味


第5回児童労働撤廃世界会議画像ACE「第5回児童労働撤廃世界会議が開催されました」2022.06.30 https://acejapan.org/info/2022/06/346889

 2022年5月15~20日、第5回児童労働撤廃世界会議が南アフリカのダーバンで開催されました。この会議の目的はあらゆる形態の児童労働をなくすためにあります。コロナ禍でも児童労働をなくす取り組みを加速化していくために、課題、政策、アプローチ、各ステークホルダーの責任などについて具体的な議論が行われました。
 なぜ、アフリカで開催されたことに意味があったのでしょうか?この記事ではその意味を3点に分けて解説していきたいと思います!

55.7%


児童労働の推移(5-17歳) ILO (2017年), ILO・UNICEF (2021年)をもとに作成
児童労働ネットワーク(CL-Net)「児童労働データ」よりhttps://cl-net.org/

 2020年、世界では児童労働者(5歳-17歳)は1億6000万人もいます。そのうちの8660万人を占めているのが南アフリカです。つまり、世界で55.7%の児童労働者は南アフリカに存在しています。
 また、コロナ禍で貧困が増えていて、きちんと対応しなければ、児童労働者がさらに増えるという予測もあります。

迫るSDGs8.7


すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する

 SDGs8.7とは「強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する」(日本SDGs協会より)ことです。
 そして、そのSDGs8.7の達成目標は2025年です。もう時間がないんです!

成果文書「ダーバン行動要請」の周知

 第5回児童労働撤廃世界会議では、成果文書「ダーバン行動要請」が採択されました。これまでの成果文書と比べて、各ステークホルダーがとるべき行動が具体的、詳細に示されています。

ダーバン行動要請について:日本語版|「児童労働の撤廃に関するダーバン行動要請」

第5回児童労働撤廃世界会議画像ACE「第5回児童労働撤廃世界会議が開催されました」2022.06.30 https://acejapan.org/info/2022/06/346889

 この会議には、政府、労働者団体、使用者団体、国連機関、市民社会、地域団体から1000人超の代表者が参加し、7000人がリモートで参加しました。国単位で見ると日本を含む約150か国が参加しました。  南アフリカ、現地の代表者が数多く出席し、初めての子供の代表者が会議に参加、成果文書に署名しました。 また、参加者に対して、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領やILO事務局長が児童労働は、子どもたちの発達の敵であり、進歩の敵であるとの意思を示しました。

まとめ|いまこそ南アフリカにメスを!

  2020年時点、世界では1億6000万人の児童労働者。そして、SDGs8.7の達成目標の期限が2025年と迫ってきています。
 これらのことから、さらなる児童労働者の削減に向けて、世界の児童労働者の内、55.7%が存在している南アフリカで第5回児童労働撤廃世界会議を行うことで、アフリカのリーダーをはじめとしたさまざまなステークホルダーがコミットメントを高める機会とする意味がありました。いまこそ、南アフリカにメスを入れることが求められます。

参考文献

  • ILO国際労働機関. (2022, 5 20). 第5回児童労働撤廃世界会議. Retrieved from ILO国際労働機関: https://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_845861/lang--ja/index.htm

  • 国際連合 南アフリカ. (2022). 第5回児童労働撤廃世界会議は、ダーバン行動要請に合意した. Retrieved from 国際連合 南アフリカ: https://southafrica.un.org/en/186135-5th-global-conference-elimination-child-labour-agreed-durban-call-action

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