「いま」に深みをもたせるために
予定の入っていない休日。
断捨離がてら、家にある数百枚のCDを売りに行こうかと思い立つ。
かつてはディスクユニオンで働いていたほどCD大好きだった私。
それが、ここ7~8年はCDを触りもしない。
いまや全部がSpotifyだ。
DVDもほとんど手にしなくなったし、書籍も半分以上は電子書籍で購入するようになった。
視覚・聴覚に関しては、モノ次元での媒体はどんどん不要になる。
今後もVRみたいな世界に加速度的に移行していくのは明らか。
では、五感のうち他の3つはどうだろう。
触覚・嗅覚・味覚。
視覚・聴覚にくらべ、なかなかバーチャル化しづらい領域のように思える。
そういえば夢を見ているときも、視覚・聴覚に関しては脳内だけでリアルに体験するが、触覚・嗅覚・味覚に関してはあまり夢で実感した記憶がない。
それと関係あるのだろうか。そもそも視覚・聴覚は理性と相互に作用しやすいが、触覚・嗅覚・味覚はより本能に近く、受け手側で抗いにくいように思える。
つまり、見たもの・聞いたものは受け手の解釈次第で積極的にも消極的にもなりうるが(加工の余地がある)、手触り・匂い・味に関しては受け手側で加工する余地が少ない(生理的にムリ、など)。
これらの特徴の違いから、私たちの意識はとかく視覚・聴覚に向きがちだ。
でも、それはナマの情報ではない「加工済みの世界亅ということかもしれない。
より寡黙で本能的な触覚・嗅覚・味覚にこそ、ナマの世界がありそうだ。こちらにもっと意識を向けてみよう。
「いま」に深みが増すのではないだろうか。
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