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アドラー心理学と看護師・保健師

ちらほら耳にするアドラー心理学。これって実際、どう使うんかなーという話でございます。

アドラー心理学は、看護師や保健師目線で簡単に言うと、「対象者(患者・従業員など)の独自性や個性を尊重し、その人が抱える問題やニーズに焦点を当てることが重要だぜ、そして勇気づけてこうぜ!」ってことです。

では少し深堀りしてみましょう。

その人の個性・独自性を尊重する

アドラー心理学では、人は自分の目標や価値観を持っていると考えられています。
看護・保健においては、対象者の独自性や個性を尊重し、その人が抱える問題やニーズに焦点を当てることが重要だという、そりゃそうだろ的なことですが原点回帰しましょう。

共感的なコミュニケーション

アドラーさんは、相手の立場に立ち、共感することが重要だと考えました(そりゃそうだ)。
看護師・保健師は対象者とのコミュニケーションにおいて、共感的で対話重視のアプローチを取り入れることで、信頼を得やすくなり、より介入しやすくなります。
寄り添うって大事。

目標志向のアプローチ

アドラー心理学は目標志向的なアプローチを強調しています。
看護・保健においても、対象者と協力して共通の目標を設定し、その目標に向かって共に努力することが大切です。
マラソンでいうと伴奏する意識ですかね。
相手に目標をただ投げっぱなしにしないで、一緒に走ろうぜって感じを出せたら勝ちです。
そのためには看護師も保健師も対象者が立てた目標に対してしっかり参加している姿勢を見せることがポイントです。

生活スタイル(バックグラウンド)の理解

アドラーさんは、その人の行動はその生活スタイル(背景)によって形成されると考えました。
看護師・保健師は対象者の生活スタイルを理解し、治療計画や生活指導、アドバイスを提供する際に、対象者が実際に取り組みやすい方法を模索することが重要です。
一方的な価値観の押し付けでは、対象者は行動意欲を失います。『郷に入れば郷に従え』とでもいいましょうか、相手を動かすためには相手を知って相手のやり方を理解して提案をすることがめっちゃ重要だと思います。

社会的関係の影響を考慮する

アドラーさんは社会的な環境が個人の行動に影響を与えるとも言っています。
看護・保健においては、対象者の家族などのキーパーソン、社会的サポートシステムまで考慮して、治療計画やケアの立案、生活習慣の見直しに反映させることが必要です。
『木を見て森を見ず』にならないように、先述した生活背景と合わせて、その人を取り巻く環境まで捉えて初めて見えてくる個別性です。
いくら頑張って断酒指導しても、家に帰れば溢れるストックのお酒に加え、毎日晩酌する家族がいたらどうでしょう。
よっぽど誘惑にも負けない強い決意を抱いたか、命の危険を感じて改心するような体験をしたとかでないと断酒は難しいでしょう。
環境から整えるのはすごく大切です。

最後に

いかがでしたでしょうか。
「アドラーさん、当たり前のことばかり言ってるやん」、と思えたら正解です。
でもこの当たり前の考えが意外と現場では置いてけぼりになってたりしません?

目の前にいる人の全てを理解することはできないけど、それぞれに個性があって、それぞれの当たり前があって生活しているわけです。
私たちも人間ですから「は?」と思うこともありますが、そこは一旦グッとこらえて、相手に寄り添う姿勢をとることは忘れちゃいけませんね。

アドラー心理学は『勇気づけの心理学』なんて言われることもあるそう。勇気づけられたら相手はポジティブに行動を起こそうとします。
ぜひこれらのアプローチを取り入れて、看護師・保健師は患者や従業員との関係を深め、効果的な看護・保健を提供することができるようにしたいですね。


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