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『死神の精度』 伊坂幸太郎 著

ストーリーは死神が対象者を一週間調査して可否の判断をし対象者の生死を決めていく。
それに至るまでの人間ドラマと謎に迫るものになっている。

作中にも何度も出てくる話として死神は大抵の場合調査結果は死という決断をするのが常識のように語られている。

そして、ほとんどの対象者が死んでいく。
死んでいくのを前提として読んでいることもあり余計に物語の途中でも死を意識させられる。
100日後に死ぬワニ的な感じ。日常が語られているにも関わらず死が意識に上がってくる感じになる。

そして、悪人の中の善人も、善人の中の悪人も、ただひたすらに純粋な人間も、みんな死んでいく。
それを淡々と決定していく死神を見ることになる。

コレを読んでいくと日常に死は間近にあるんだと気付かされる。
それに良い人間だから死なないってこともないし、悪い人間だから死ぬなんてこともない。


小説だから最後に正義が勝ってほしいと望んでしまうせいもあるからか余計にどこまでも理不尽に思えるが、それがリアルなんだと思う。

今回コレを読んで思うことは、良いことをしようと悪いことをしようと死は来る。
それでも、良いことをしている人の方が幸せなんじゃないかと思う。
憎んだり、憎まれたりしながら生活するのは辛い。


ただ自己犠牲はどうかと僕は思っている。
自分に負荷が大きいなら、誰かの犠牲になるだけじゃ幸せじゃない。
負荷を折半して折り合いをつけていくことは必要で、ちゃんとバランスが取れた状態がベストだと思う。
小学校の理科の授業で使った天秤で測るように正確に。

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